表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/127

ゴルゴーン三姉妹との交渉②

 「私から貴女達に差し出せる代償は、この身を以て出来る限りの協力です。その代わり、私からの条件は一つ。私を強くして欲しいのです」


 お嬢様を助ける為に、一番必要なもの。それは、力だと思った。


 ステンノーさんの言ってたもう一人の転生者がゲームの知識を持っていたのなら、彼女は効率の良いレベリングや、強くなる方法を知っているはず。


 もしかしたら、今の私よりレベルが高いかも知れない。


 先ずは、いつ襲撃されても対応出来るぐらいの実力を付けたかった。


 丁度ここにいるのは、現実離れした強さを持つ災厄級の魔物達。


 修行を付けて貰おうと考えが及ぶのは同然だろう。


「……へえ、強くなるねえ。それは何故かしら?」


 エウリュアレさんが詰問する様に訊き返しました。


「……襲い掛かる危機から、お嬢様を護り抜く為です」


「アナタ、その格好を見るにメイドでしょう? 騎士でも無いのに出過ぎた真似ではないかしら? それに、理由に具体性が無いわね」


「ぐ、具体性っていわれても……」


「何で救いたいのかは聞かないわ。アタシが聞きたいのは、どうやって護るかよ。力を付けたとして、アナタのお嬢様の死が、運命に定められている事は変わらないわ」


「……はい。その通りです。だけど、力が無ければその運命から逃げられない……」


「あのねえ。目的と手段が逆になってるわよ。それじゃ、必ず失敗するわ。これまでアナタの力で、そのお嬢様を助けれた事があったかしら?」


 私はその言葉に、口を噤みます。


 反論のしようが無かったからです。


 ゲーム内でも幾ら強くなっても、悪役令嬢を助ける事は出来なかった。


 そもそもゲームでは敵キャラである悪役令嬢の味方なんて出来ない。


 寧ろ、レベリングを過剰に行った場合には、その強くなったステータスを悪役令嬢に向けるイベントが発生する。


 その手で悪役令嬢を殺してしまうルートもあるのだ。


 ゲームの中でだけでも、力を付けたぐらいでお嬢様の死が覆らない事は明らかだった。


 ——では、諦めるか?


 何を馬鹿な事を。


 これぐらいで折れるぐらいなら、私はそもそも転生しなかっただろうし、今此処にはいない。


「何だか、話が拗れそうだから、ワタクシがエウリュアレの言葉を代弁するわね」


 黙って聞いていたステンノーさんが口を挟んだ。


「エウリュアレはこう言いたいのよ。一人の力でダメなら、どうして私達を頼らないのか? とね。私達はアナタを強くする為だけの機械装置なの? ってね。そうでしょう? エウリュアレ?」


 そう言って、ステンノーさんはエウリュアレさんに伺うような視線を向けます。


 エウリュアレさんはというと、その顔を真っ赤に染めて、照れ臭そうに俯きながら言いました。


「そ、そんなわけないじゃ無い!! アナタが失敗すると思って、口出しをしてみただけだし!! べ、別にお姉が言うみたいに、アナタを心配してとかそういうのじゃ無いからね!!」


「…………えっ?」


 あまりものギャップに、言葉が出ませんでした。


 さっきまで私をキツく叱ってませんでしたか? この人!


「な、何よ! その凄いものを見ちゃったって顔!?!


 反応を見るに、ステンノーさんが言ってた事は合ってると考えて良いのでしょうか?


 キツめに問い質したのは、本当は私の事を案じてくれたからであって……その本心は慈愛満ちていた……


 も、もしかして。ですよ?


 私はふと思い至った、その属性の性格をエウリュアレさんに当て嵌めて分析しました。


 ——99%合致。


 間違いない。


 もしかしなくても、エウリュアレさんは俗にいうアレなのかも知れない。


「……も、もしかしてエウリュアレさんてツンデレなんですか……?」




「ち、違うわよ!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ