レベルについて
「じゃあ、隠れていくしかねえよな!」
内面の私が猛々しく言いました。
感情が昂ると、自然とこっちの口調が出てくるみたいです。
屋敷全体が寝静まった夜中の2時の時間帯。
私は、こそこそと自室の窓を開け、浮遊魔法を駆使しながら二階の自室から飛び降りました。
その際、纏っているメイド服の袖部分が木の枝に擦れて、少し破れてしまいますが、後で転んだ際に破けたとでも言い訳しましょう。
ピリッ、と布が裂いた音が立ちましたが、その音を聞いていた人も、その程度の音で起きた人もいないと思います。
それはさておき、何処に行くかというと、
【猛暑の試練】というBランクのダンジョンです。このダンジョンのクリア報酬である『断熱の首飾り』が欲しいのです。
効果は名前の通り、凡ゆる火属性魔法等の熱を操る攻撃を無効化するという物で、アイテムのレア度的には、エピックの次に高いレジェンドランクといった所でしょうか。
ああ、そもそものおさらいをしましょう。
乙女ゲーム『ときめき☆マジカルぱーんち』、通称マジぱんではRPG要素が組み込まれているとは以前お話ししたと思います。
RPGお馴染み、魔物を狩る仕事である冒険者がいて、ダンジョンという摩訶不思議な空間が存在します。ともすれば、魔物を倒した際に経験値やドロップ品。ダンジョンを回る理由である経験値稼ぎやクリア報酬というものが存在する訳です。
当然そのアイテムやドロップ品にレア度の階級というものがありまして、下から順に、
コモン
レア
ユニーク
スーパーレア
レジェンド
エピック
といった順番で階級が分けられており、上に行くにつれて価値が上がったり付与効果、恩恵が強くなっていきます。
魔物にもランク階級はありますよ?
別の表記になりますが、アルファベットで下から、 E、 D、 C、 B、 A、S、の順番でランク分けされており、ランクが上がるにつれて単純計算で、その脅威度が二倍増ししていく感じです。
ダンジョンランクというのもありまして、出てくる魔物の平均ランクを統計して参照したものが、そのダンジョンの攻略難易度としてランク化されるんです。
つまり、今回挑むBランクのダンジョンは、Bランクの魔物が大量に出てきたり、Cランクの魔物も多いが、中にはAランクの魔物もいる——といった感じのイメージです。
そして、ここからが一番重要なのですが、ランク別によって推奨レベルというものが変化していくんです。
——そう、今レベルと言いました。
あるんです。当然。RPGですから。
推奨レベルについて簡略化すると、
Eランク 【1〜5】 『レベル』
Dランク【6〜10】
Cランク 【11〜20】
Bランク 【21〜40】
Aランク 【41〜60】
Sランク 【61〜♾️】
といった感じでその強さによって推奨レベルが変わってくるんです。レベルが下がるとステータスが上がったり新たなスキルを習得したりするので、上位のランクの魔物と張り合うにはそれぐらいのレベルが必要だぞ。という指標の様なものですね。
勿論、主人公が入学した段階では主人公のレベルは1です。初期キャラのアルシェードも1でした。つまり、転生当初の私はレベル1だった訳です。
では、今はどうなのかと?
——実は確認する術がないんです。
だって、此処は現実なんです。この言葉はゲーム感覚で行動しない様に自らを戒める言葉であると同時に、覆しようのない事実でもあるんです。
現実でステータスオープンなんて言ってステータスが見れますかね?
……つまりは、そういう事です。
ですが、大体これぐらいというのは分かりますよ!!
メイドになる前の数日の間でも、メイドになってからも折を見て魔物を討伐しに行ってましたから。戦闘技術も向上したし、新たな魔法だって習得していってます。
今の私はBランクの魔物までなら絶対負けません。レベル40以上は着実にあるという事です。ゲームの中盤から終盤に差しあたる辺りのレベルですかね。
一応ラスボスの魔王がレベル75で、クリア後の要素として条件開放で表れる裏ボスの魔神はレベルのカンストである100を超えて、120です。
パーティ単位で倒す事前提なので、多少のレベル差は容認してくれという事でしょうね。100レベルのプレイヤー4人で120レベルの魔神を倒してね〜っていう運営の意図を感じます。当然、前世の私《俺》は倒しましたよ? ソロは流石に無理でしたけどね……
あ、因みにその裏ボスの降臨条件の一つとして、全てのルートでクリアしているデータと、その他色々の条件。
そして、悪役令嬢であるお嬢様の命を差し出す——
——なんていうものがあります。(天使の輪が付いた笑顔の絵文字)
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