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⑤「9条改正」と「緊急事態条項」が同時に盛り込まれた場合の選択は?/緊急事態条項の「悪い化学反応」


質問者:ところで、改正の項目ごとに国民投票ができるということは無いんですか?



筆者:今の国民投票法では「憲法案ごとに当否を問う」と言った形式であるために複数の案を出してくれないと一つの案に対して賛成か反対の欄に〇を付けるだけになります。

 

 理想的な話ですと、この「緊急事態条項」と「9条改正」2項目については特に重要なので両方とも改正賛成案、片方だけ賛成といった案の複数種類が出てくれると有り難いですが……その見込みはあまりありません。



質問者:そうなると、今のままでは議論が足りないまま緊急事態条項が設置されつつ、

9条改正がされる案が出てくる可能性が高そうな気がします。



筆者:僕も基本的には「自民党が改憲したい4項目」が全て盛り込まれている案が改正案として一つ出てくるのみ――そう言った可能性が非常に高いように思いますね。


※更に悪い内容が「しれっと」入る可能性もありますので今後の「草案」に注目したいです。



質問者:その際はどういう選択をしたらいいんでしょうか?



筆者:これはあくまでも僕の結論であり誰にも押し付ける気は無いですし、

 まだ、確定の草案が出ている段階でもありません。現時点での感想です。

読んでいる皆さんの判断を尊重するという前提でお聞きいただきたいと思います。



質問者:わかりました。



筆者:僕の意見の結論から申し上げますと、今の質問者さんの前提の条件下では「憲法改正は先送りがいい」ように思えます。


 細かい理由については後で解説しますが、

 大きな理由としては「9条を改正しないマイナス」よりも、

 9条を改正して緊急事態条項を入れたマイナスの方が大きい」ように思えるからです。



質問者:ちなみに世間的には「緊急事態条項」についてどのような評価をしているのでしょうか?



筆者:これは調査をしている新聞媒体によって異なるのですが、


 保守系の人が多く回答しているであろう、産経新聞社とFNNフジニュースネットワークの4月の世論調査でも緊急事態条項の創設について賛成が72.4%で、反対の19.7%を大きく上回っています。

 

 比較的に回答者の思想的には比較的にはバラけているであろう、NHKの世論調査では憲法を改正して「緊急事態条項」を設けることの賛否「賛成」と「反対」がいずれも40%とほとんど拮抗していたようです。



質問者:比較的保守的な思想な人の方が「緊急事態条項」に賛成の方が多いのですね。

何だか意外な気もしますが……。



筆者: 「保守」とは言えど、日本国を守りたいという気持ちがありますからね。

気持ち的な「保守」ではなく「改革保守」と言った方が正確なところなのでしょうね。


そうなると、地震や感染症などのリスクに対して「緊急事態条項」が必要と考えている方が多いのでしょう。



質問者:なるほど、次に筆者さんの「緊急事態条項」のマイナス点の大きさについてお願いします。



筆者:③では緊急事態条項そのものの法学的な問題点を挙げましたが。


 ここでは複合的な問題点について具体的な解説をしましょう。


 「安全装置」が無い、緊急事態条項を入れた場合のマイナスについて深堀をしていきますと、「悪い化学反応」を及ぼす可能性が高いことが挙げられます



質問者:「悪い化学反応」ってどういうことですか?



筆者:例えば国家に依存している方は「緊急事態条項」によって「意図的に排除」されてしまう可能性があるのです。



質問者:国家に依存している人って……そんな人っています?



筆者:例えば、国や地方公共団体から直接的にお金を貰っている人です。

具体的には公務員や年金受給者、生活保護者などが挙げられるでしょうね。



質問者:そうなるとその人たちはどうなってしまうのですか?



筆者:やはり、「緊急事態」にも拘らず政府の言うことに背くということになると

「言うことを聞くまではお金を支給しないよ」と言ったやり方を取って半ば「脅迫」してきます。



質問者:あぁ、なるほどそう言って半強制的に公権力を利用してくるのですね。



筆者:更に、ベーシックインカム(略してBI)の導入についても今後検討されていくでしょうし、これは国民全体にも影響は広がっていきます。

これにより、行政権の更なる「実質的強化」の可能性は上がっていきます。



質問者:BIって最近よく聞きますけどアレはどういう制度なのですか?



筆者:国民1人につき一律に月6万円~10万円を永続的に支給するという制度です。

 これにより国民の生活を担保し、ゆとりを持って将来に不安無くよりよく生活をしてもらうというものです。


 代わりに社会保障としての年金制度が無くなることや医療負担が増える、

一定以上の所得の家庭に対しては確定申告などで国に返還してもらう――などの案によって財源を確保するらしいです。

 

 ※個人的には本当は財源は国債を発行しろとは思いますけど。それについては触れません。



質問者:そうなると国民は働かなくなっちゃうとかにはならないのですか?



筆者:実際はそう言うこともあまり無いと思われています。

1人6万円程度の給付だと正直家賃程度にしかなりませんからね。

 子供がいる家庭でも養育費用はそれ以上に遥かにかかりますし、

老後に向けた「2000万円問題」もあり、貯金をしてくためには働かなくてはいけません。


 ただこれに関しては、BIを本格導入している国は無いのでよく分からないんですね。

 

 社会実験で一地域のみ一時的に導入した国はあるのです。

その時はほとんどの人は働いたそうなのですが、社会実験として一定期間のみでした。

「生涯安心して貰える」と言う前提条件をクリアしていないのであまり参考にはならないのです。



質問者:なるほど、働くか働かないかはよく分からない……と。

ですが、日本ではBIって導入される可能性はあるんですか?

GDPでは世界3位ですよね?



筆者:やはり、感染症の問題による失業・廃業、物価高の上昇に対して、給与が上がらないなど深刻な経済的ダメージを受けている家庭と言うのが増えているのです。


 2022年6月28日 47NEWSでは

『参院選近いけど、私たちの暮らしや身の回り今どうなってる? 少子化進行、賃金低迷、自殺者増加、ヤングケアラー問題…投票前に知っておきたい日本社会の「現在地」』

 によりますと、


『中間的な所得の半分に当たる127万円に満たない世帯で暮らす人の割合を算出した「相対的貧困率」(厚労省調べ)は、最新データの2018年時点で15・4%だった。

国民の6人に1人が、社会で当たり前とされる生活ができない状態と言える。


 経済が好調だったこともあり、前回調査の15年からはわずかに減ったものの、先進7カ国(G7)では米国に続いて2番目に高い割合となった。


 特に厳しい状況にあるのがひとり親世帯の人で、半数近い48・1%に上った。

母子世帯が多く、女性が男性と比べて非正規雇用の割合が高いため、収入が低くなりがちだ。18歳未満の子どもの貧困率も13・5%となっている。


 阿部彩東京都立大教授(貧困・格差論)は「景気が回復して所得が増える流れから、最も貧しい層は取り残された」と指摘する。

「近年、配達などの仕事を、単発で請け負うなど労働者として保護されない働き方が広がり、脆弱な層が増えた。この傾向は、新型コロナウイルス感染拡大以降、加速しており、貧困率は上がる可能性がある」と分析する。


 コロナ禍2年目の21年に子育て世帯の貧困状況を調べた内閣府調査では、過去1年間で必要な食料を買えなかった経験がある世帯は11・3%、衣服については16・3%に上った。』


 と、日本国内での「相対的貧困率」と言うのは着実に広がっています。


 また、日本においては生活保護捕捉率という

「生活保護を受ける権利を持つ人がどれだけ生活保護を受けられているか?」という割合が20%前後だと日弁連のサイトではあります。 


 これは先進国はほとんどが6割以上の中、断トツで最下位の数値であるそうです。


 このように、自分で「生活保護を受けられる」ことを無自覚な方、若しくは「生活保護を受けることは社会的に恥ずべきことだ」と言う思想の方が多いということが想定されます。


そう言った方々を一律に救うことが出来るBIが注目されている点として挙げられます。


 “世間体”を気にしたり、される方も多いのかもしれません。

特に現役世代と言える若い世代の貧困家庭を救う必要があります。



※厚生労働省など国の機関は生活保護捕捉率に関して統計を出していないようです。

また、データを出している日弁連は「左寄り」の団体なので彼らに有利なデータの可能性はありますがとりわけ先進国の中で低いのは間違いなさそうです。



 一方で民間の貯蓄残高は過去最高を更新し続けていますから、他の国よりはマシとは言え日本の中でも貧富の差が確実に広がっていると言えるでしょうね。



質問者:なるほど……貧困が心配される家庭が増えていて、

そしてそれが自覚が無いということはBIが実施される可能性は上がっているんですね。



筆者:ええ、本来BIは貧困家庭を救う上においては素晴らしい制度だと思います。

 日本では生活保護を受けられる権利があるのに受けていない家庭の割合が高いので尚更です。


 ですが、「安全装置の無い緊急事態条項」と組み合わさることによって「悪い化学反応」を生んでしまうという可能性は大きく上がってしまうのです。



質問者:なるほど、だから「緊急事態条項」の「安全装置」についてもっと議論するべきだというお話になるのですね。



筆者:ええ、不本意でありながらも、「お金のためなら」と言うことで渋々と行政に従ってしまう。

――こうして行政権の独裁と言う最悪の結果を迎えてしまうことも容易に起こり得るのです。


 次に「憲法9条」改正することへのリスクについても触れていきたいと思います。

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