設定1 世界観・技術体系・この世界での史実
本日は2話更新します。
これは、この物語を始めるにあたり、考えたSF的設定や、元にした科学技術的バックボーンです。
局所銀河群
[現実の認識]
太陽のある天の川銀河を初め、現在50から60個の銀河で
構成されていると言うのが一般的。
90程度あるという記載もある。
大きさは直径 約10,000,000光年(1千万光年)とされている。
一番近い銀河団は、おとめ座銀河団
(局所銀河群から約6,500万光年)
[この物語世界]
150程度の銀河が発見されているものとしている。
大きさについては、この物語世界でも同等とする。
人類の版図
[現実の認識]
地球のみ。月に人類が立った実績はある。
[この物語世界]
人類の版図は局所銀河群の範囲である。
おとめ座銀河団までは人類は到達できていない設定。
人類以外の文明
[現実の認識]
見つかっていない。
[この物語世界]
見つかっていない。
ただし、物語内でおとめ座銀河団に地球以外の文明が
あると伝聞されているが、到達できないので眉唾物の
与太話という扱いである。
人類は全て元を辿れば、地球から移住した人の末裔と
いう設定。
超光速航行 (ワープ)
[現実の認識]
現状不可能。
[この物語世界]
見かけ上光速を超えるワープ航法が可能である。
ただし、あくまで見かけ上のものであり、実際に既存
宇宙を光速を超えることができるわけではない。
この見かけ上の超高速航行は、主に二つの技術と世界的な
理により実現しているものとする。
一つ目は、亜空間を作成・設定する技術。人類は、亜空間を
作成することができる。
その作成過程において、ある程度自由に次元を決めて(設定し
て)作ることができるため、人類は重力がない世界を亜空間に
設定して光速を超えることに成功した。
二つ目は、現実世界には光の速度に近づけは近づくほど不明
な物質による抵抗があるのでスピードが上がらなくなるという
設定である。
この不明な物質は、発見当初ダークマター(暗黒物質)と思わ
れたが、この物質が速度が増すことにつれ加速度的に抵抗値を
増すことから、既存のダークマター理論と相容れず、のちに
エーテリアと呼ばれることになる。
ワープを行うときに作成する亜空間航行においては、エー
テリアが存在しない世界を飛行するため、速度は上げ放題で
ある。
亜空間は大きく作るにはエネルギー消費が大きくまた壊れ
やすくなる。
そのため、通常宇宙空間を地上と考えると作成する亜空間は
地下鉄通路のようなものである。
速度面で言うと、通常宇宙空間は向かい風の強い道を歩いて
いくようなものであり、亜空間は抵抗のない地下鉄空間を進む
ようなものであるので、格段に早く進めるという理屈である。
亜空間を進む宇宙船は力場による次元膜の中に包まれたまま
移動する。
次元膜の中は現実と同じ26次元である。
上記の仮定において、この次元膜は地下鉄空間を進む地下鉄
車両のようなものである。
通常の宇宙船では、1回のワープでせいぜい5光年。1日に2回
ぐらいできれば良い方であるが、銀河連邦の高速度艦隊では20
光年の連続ワープにより、1日100光年を超えるジャンプが可能
である。
次元
[現実の認識]
歴史的には、今いる世界は3次元と呼ばれ、そのうち4次元
時空連続体と言われていた過去がある。
その後、超弦理論(超ひも)では10次元。M理論で11次元。
そして、ボソン弦理論では最大26次元と言われている。
[この物語世界]
26次元とする。
なお、ワープのための空間を設定する場合は、この中で15
次元を選択して亜空間世界を構築する。
差し引いた次元は重力に関わるものであり、この亜空間作成
時の次元設定が可能になったことが、ワープ航法を可能たらし
めている。
(というご都合主義な設定である)
恒星の一生
[現実の認識]
太陽のような主系列星において、星の一生はその9割の期間を
水素を燃焼し、残りの1割の期間にヘリウムを燃焼して終わる。
水素がなくなりヘリウムを燃焼するようになると内部温度が
急激に上がり、星は膨張し赤色巨星になる。
場合によっては不安定になって脈動変光星になったりする。
その燃焼過程において、太陽の中心には核ができる。
最初はヘリウムの核ができ、それが窒素になり、炭素になる。
ネオンになり、マグネシウムになり、最終的には星の中心に鉄の
核ができる。
燃え尽きると縮退し、白色矮星になる。
もっと大きな(というか重い)恒星だと中性子星に。
さらに大きな構成だと超新星爆発を起こしてブラックホールに
なる。
この太陽の不安定化が発生すると、実際に目に見える膨張が発
生するよりはるかに早く、人類が暮らしていくことが難しくなる。
[この物語世界]
基本的に同様であるが、星の中心に鉄の核ができる時期について
水素が燃えている時期からすでに鉄の核が出来始めているという
設定になっている。
(後述のソル・シリンジのための設定)
恒星の若返り技術 (ソル・シリンジ)
[現実の認識]
存在しない。
[この物語世界]
ソル・シリンジはこの物語独自の技術である。
太陽が長い年月をかけて燃焼している過程で、恒星の内部には鉄の
核ができるようになる。
この物語世界においては、それを抑えるために恒星の若返り技術が
確立されている。
ソル・シリンジと呼ばれるロケットを太陽に投入する方法である。
ソル・シリンジでは鉄核の奥深くに薬剤を打ち込むことによって、
鉄を水素に変換して戻すことができる。
その結果、恒星の寿命は銀河連邦規格のソル・シリンジで、最大20
億年程度のばすことが可能。
実際に人類が大家なく過ごせるのは半分の10億年と試算されている
が、ソル・シリンジ技術が確立してからまだ数世紀しか経ていないた
め、あくまで計算上の年数である。
ソル・シリンジは大変高価であり、星系政府にとってかなりの負担
である。
その理由はソル・シリンジの薬剤ではなく、ロケット内にてその薬剤
の入れ物であるソル・シリンジ・コアの材料費が高いためである。
アルニラムの惨劇
[現実の認識]
アルニラムという星は存在しない。
[この物語世界]
当初、ソル・シリンジは5年ごとに5回の打ち上げを必要としていて、
最初の打ち上げから25年計画開始から30年もの月日を必要とした。
現在では、4年ごとに3回の打ち上げで済むようになっている。
ただし、これは銀河連邦の標準規格であり、サードパーティーに
よる少回数や金額の安いディスカウント版の打ち上げサービスがある。
連邦としては推奨していないが、安全担保のためサードパーティーに
よるソル・シリンジ打ち上げにも銀河連邦の管理監督艦隊の配備が義務
となっている。
これは、数年前にあった『アルニラムの惨劇』と呼ばれる悲惨な事件
があったことを契機に厳重に定められている。
『アルニラムの惨劇』とは以下のようなものだった。
恒星アルニラムの不安定化に対し、第四惑星フェリアル政府には十分
な資金がなく、サードパーティーにソル・シリンジを依頼。
当時5回必要であった打ち上げが3回で済み、しかも1回当たりの打ち
上げ料金も格安であったことから、政府はよく調べもせずこの格安ソル・
シリンジ請負会社ファーデアル宇宙理学研究社に依頼。
1回目の打ち上げは成功したものの、5年後の2回目の打ち上げは太陽
突入時に炎上。
太陽の表面上でソル・シリンジ・コアの破損し、大規模フレアが発生し
暴走状態になった。
通常、反応抑制物質を搭載したロケットを打ち込めば避難の時間が
稼げるはずであったが、この業者は即座に逃げ出し第四惑星フェリアル
は滅びた。
全人口60億の9割以上が失われる大惨事であった。
ただ、銀河連邦から救出のため急行した艦隊が、残りの1割である6億
もの人たちを救えるはずがないという見方もあり、実際の被害者総数、
救出者総数は公式発表の通りではないと考えるものも多い。
銀河連邦は安全やプライバシーの確保などの理由により、惑星フェリ
シアに住んでいた人達の移住先について公表しなかった。
この物語は決して、ハードSFではありません。
そっちに近づけたいと思いましたが、勉強しても理解が追いつかず……
なので、中途半端に寄り添わず、もっと現実からかけ離れた荒唐無稽な方がいいかな、とも思ったのですが流石にSFを書くのにそれではつまらない。
そこで、せめて「何を考えて書き始めたか」だけでも記しておいた方が良いと考えてこれを書いています。
私自身、SFの説明書きが好きですし。
現実の科学技術については、手持ちの本とWikiなどで一応確認していますが、全部が正しいわけでもないし、時間と共に学説が変わるものもありますので、そこはあんまり考えていません。
明かな間違いは直すつもりですが、設定上の都合で書いているものはそのままにします。
そういう、少し緩い感じで進めていきます。
以上、よろしくお願いします。
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