最終話
最終話です!
戦いの日から半年程が過ぎ、ようやく復興の目処が付き出して、ユウとディルアス、我とオブシディアン、ゼルは森のロッジに帰ったのだった。
「あ~、やっと帰って来れたね」
「あぁ」
久しぶりに帰ってきたロッジでユウは満足気な顔をしていた。
そして何やら考えている。いつもの自分を責めているような顔ではない。
ディルアスを見ているのか……、やはりユウはディルアスのことを……。
ユウのことは何でも手伝ってやりたい、助けてやりたい。そう思うがこればかりは助ける訳にはいかない。
ユウは意を決したような表情で言葉を発した。
「ディルアス!」
「ん? どうした?」
「う……、あ、あの……」
ユウの緊張が伝わるようだ。しかし今回ばかりは邪魔をさせてもらう。
人間化しユウに近付いた。そして背後から抱き締める。
「ルナ!?」
ユウは驚き振り向いた。
『ユウ』
抱き締め耳元で囁いた。ユウの頬を片手で支え、反対側の頬に唇を寄せた。
「!! ルナ!!」
ディルアスが叫んだ。
しかしそんなことは関係ない。そのままユウの顔をそっとこちらに向け唇と唇を近付ける。
「やめろ!!」
ディルアスが我を掴んで引き離した。一瞬軽く唇が触れたのだがな。ユウは固まっているが。
「お前!!」
『何だ? ディルアスには関係がない。我はユウが好きだから、そうしただけだ。好きな者同士はするのだろう?』
「ぐっ」
ディルアスは悔しそうな顔だな。ふん。
「それなら俺だって、ユウが好きだ!!」
「!!」
ディルアスがユウの両肩を掴んだ。ユウは完全にパニック状態だな。さっきからずっと目を見開いたまま固まっている。
ディルアスはユウに顔を近付け唇を寄せる。
させるか! 唇が触れる寸前、ディルアスを引き離した。
「お前なぁ!!」
ディルアスが珍しく怒鳴った。
それを見たユウはクスクスと笑い出し嬉しそうだ。
「ディルアス! 好きだよ! 私はあなたがとっても大好き!」
ちっ。結局ユウは伝えてしまうのか。
ディルアスが我に怒鳴っていたかと思うと驚いた顔をしユウのほうを向き顔を赤くした。
ふん、気に入らん。
「ハハ、ディルアス、可愛い」
「笑うな」
「フフ」
「だから笑うな!」
ユウは楽しそうだから仕方ないな……。ユウが嬉しそうであれば、我にとっても嬉しいのだなと改めて思うのだった。そう、だから仕方ない。認めてやる。
「俺はユウが好きだ」
ディルアスが言葉にすると、ユウは一気に顔を赤くした。
「ユウも可愛い」
「!?」
「フフ、アハハ」
「ディルアスが声を上げて笑った……」
「えっ?」
「ずっと見たかったんだ、そんな笑顔」
何やら自分たちの世界に入り込んでいるな。認めはしたが何やら邪魔はしたくなるものだ。
『我も好きだぞ』
ユウを再び抱き締めた。
ディルアスが我を引き離そうとするが、今度は離れてやるものか。
ディルアスがやたらと煩く怒鳴ってくるが、そんなものを聞く義理はない。
好きにさせてもらう。
我はユウが好きなのだ。
これからもずっと側にいる。
ずっとこうやってユウを守り続けるのだ。
今度こそずっと……
最後まで読んでいただきありがとうございました!
こちらの作品はしょっちゅう休載しまして、本当に申し訳ありませんでした。
そんな中ずっと読んでいただいた方々には本当に感謝しかありません。
本編のキャラクターの中で何気に一番好きなキャラクターだったので、
こうやって最後まで書くことが出来て本当に良かったです!
本当にありがとうございました!




