第五話
「分かった。あ、そういえば魔獣が人間化したときに服を着せる方法ってないの?」
「ん? 魔獣が人間化? もしかしてその狼かい? 人間化まで出来るのかい?」
「あぁ、そうなんだけど服がないんだよ」
ショーゴは呆れたような顔でこちらを見た。
何故、我が呆れられなければならないのだ。魔獣が服など持つものか!
「あー、ならこの魔導具に附与させな」
老婆はショーゴに腕輪を渡した。使い方の説明を受けた後、ショーゴは自分の部屋らしきところへ行った。
簡素な部屋だ。ベッドと棚のようなもの以外何もない。
『ここは?』
「ばあちゃんが貸してくれた俺の部屋」
そう言いながら、ショーゴはベッドに腰を下ろし、先程の魔導具に附与を行った。
「よし、ロウ! これ付けてみてくれ」
渡された魔導具を左手首に嵌めた。
「んで、人間化!」
命令されることに腹立たしさを覚えたが、言い争うことも面倒だったので、素直に人間化した。
小型化から徐々に人型に……。
「お~! 今度はちゃんと服着てる!」
ショーゴは満足気な顔だ。
これが魔導具というやつか。便利なものだな。
人間化すると魔力が発動し服が現れ、獣姿や小型化では逆に魔力が抑え込まれ、服が消える。
今まで人間と関わったことがなかった為、初めて魔導具を見た。
ふむ。面白い。
「ハハ! 気に入ったか?」
ショーゴはニッと笑った。
『そういえばさっき渡されていた紙切れは何だ?』
面白いと思ったことを悟られた気がして話を変えた。
「ん? あぁ、これか?」
老婆に渡された紙切れを見せた。
『文字は読めん』
「あぁ、そっか。ばあちゃんから仕事の依頼だ」
『仕事?』
「あぁ、レガルドに来てから彷徨ってたら、ばあちゃんが拾ってくれたんだ。それから色々この世界のこと、魔法のこと、全部教えてくれたのも、ばあちゃんだ。だからばあちゃんに頼まれたことは断らないって決めててさ」
そう言いながら、紙切れを見詰める。
「これは魔獣や動物とかの捕獲依頼だな。魔獣とかは高く売れるらしくて頼まれるんだ。後は魔物討伐とか魔導具に魔法附与とか……」
魔獣に魔物、それに魔導具附与か……。
「あ、悪い! 魔獣の捕獲なんて無神経だな! すまん」
『ん? いや、我は別に仲間などいない。人間が魔獣を狩るのは知っているから何とも思わん。所詮強い方が残るのだ』
「ハハ、そうだな」
『魔物討伐も金になるのか?』
「あぁ、魔物を討伐すると国から褒賞金が出るらしい」
『らしい?』
「あー、俺が直接もらった訳じゃないから詳しくは知らないんだ」
『お前……それは……』
あの老婆にいいように使われているだけではないのか……。
『魔導具は?』
「魔導具はばあちゃんが出来ないような魔法を附与させて、それを売ってるみたいだな」
『みたい……』
こいつは本当のバカだな。老婆に利用されているだけではないか。
『そなたはそれで良いのか?』
「ん? あー、ばあちゃんに利用されてるって?」
『分かっているのか……』
「あー、まあなぁ、これだけあからさまだとな」
『分かっていながら受け続けるのか……』
「うん、まあ、やっぱり世話になったしなぁ。ばあちゃんが教えてくれなきゃ、何も知らないままだったし……。それにしても、お前やっぱり良い奴だな。心配してくれてんのか」
ショーゴは嬉しそうに笑った。