表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀狼ルナの心情~異世界で勇者になりましたが引きこもります番外編  作者: きゆり
二章 現代編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/51

第四十九話

「ガアァァァア!!」


 サクヤは結界に向かって力の限りの炎をぶつけている。

 ユウとディルアスの魔力と集中力が切れそうだ。


「ぐっ」

「あぁ……」


 駄目だ、このままではユウが死んでしまう。そんなことは許さない。もう二度と我の前からいなくなるのは許さない。

 我は必ずユウを守ると誓ったのだ。


 人間化しユウの背後からユウの手を握り締めた。

 まだ完全に治癒されてはいない身体。焼け爛れた身体。苦しい。

 しかし、ユウを諦めるにはいかない!

 我の魔力をくれてやる!!


『諦めるな!!』


 荒い呼吸で叫んだ。握り締めた両手から我の全ての魔力を流す。


「ルナ! 魔力を使ったら怪我が!」


 ユウは泣きそうな顔。


『大丈夫だ』


 後ろから抱き締めるように身体を寄せ、顔を近付け耳元で小さく言った。


『我の魔力も使え!』


 ユウに我の魔力が流れ込んでいく。ユウは俯いて涙を堪えているようだった。


『僕たちの魔力も!』


 オブシディアンとゼルも側に寄った。


「ありがとう、二人とも」


 ユウはオブシディアンの、ディルアスはゼルの宝玉に触れた。


「我々の魔力も使ってください!」


 結界内にいた魔導士たちが声を上げた。


「みんな、ありがとう」

「いけそうだ! このまま集中するぞ!」


 ディルアスが叫んだ。


 光る結界はサクヤの炎に押されていたが、我ら全ての魔力が加わり力が増した。

 さらに厚い壁となり、サクヤの炎を消滅させていく。


 それでもサクヤは炎を出し続け抵抗する。

 しかし結界は炎を完全消滅させ、サクヤの伸ばした手に結界が触れた。


「ガアァァァア!!」


 サクヤは叫び声を上げ、逃げようとするが、結界はサクヤの手を捕らえたまま離さない。

 何とか逃れようと必死に抵抗し、暴れまわる。


「このまま……このまま、いけー!!!!」


 全ての魔力を放出し結界を広げた。


「ギャアアァァア!!」


 結界は堰を切ったかのように一瞬にしてサクヤの身体を飲み込んだ。

 その一瞬でサクヤから黒い靄が溢れ出て消滅していった。


 結界はそのまま広がり、周りの黒い炎も全て消し去って消えた。


 ユウはそのまま意識を失った。我らも意識は辛うじてあったがしばらく動けない。

 魔力切れだ。ディルアスも我もオブシディアンとゼルも倒れ込んだ。


 荒い息のまま倒れ込んでいると宮廷魔導士たちがやって来た。どうやら魔力を分けてくれるようだ。

 助かった。まさか人間から魔力を分け与えてもらう日が来るとはな。


 落ち着いてから重い身体を動かした。ユウは意識がない。大丈夫なのか。


「ユウ、ユウ!」


 ユウは少し目を開けると確認するように、皆の顔を見た。良かった。心底安堵した。

 ユウを守ることが出来て良かった……。


「大丈夫か!? ユウ!」


 ユウはゆっくりと身体を起こし聞いた。


「どうなったの?」

「大丈夫だ、サクヤから魔物の気配は消えた」


 遠くにサクヤが倒れているのが見える。


「私、どれくらい意識がなかった?」

「ほんの数分だ。魔力切れで俺もルナもオブやゼルも倒れたが、宮廷魔導士たちが魔力を分けてくれた」

「そっか」


 周りでは魔導士たちが怪我人や魔力切れの人間たちの治癒にあたっている。

 一人の魔導士が近付いて来た。ユウたちの知り合いのようだな。


 その向こうからはアレンとイグリードも来た。


「ユウ殿、ディルアス殿、ご無事で良かった! ありがとうございます! 貴殿方のお陰で我々はこうして生きている」


「ユウ! ディルアス! 生きていて良かった! お前たちのお陰でまた救われた。本当に心から感謝する」


 アレンは涙ぐみながら言った。それをイグリードは横で笑いながら、アレンの背中をバンバン叩いていた。


「サクヤは? どうなった?」


 倒れているまま動く気配はない。


「分からない、行ってみよう」


 全員が重たい身体を奮い立たせ、サクヤの元まで行った。

 魔物の気配がなくなったサクヤは元の姿に戻っていた。


 ユウはサクヤの顔にそっと触れた。

 小さくだが呼吸する音が聞こえる。心臓も動いている。死んではいないようだ。


「良かった……生きてる……」


 その時ユウは何かを感じたのか怪訝な顔をした。


「?」

『どうした?』

「ここ、サクヤのお腹の辺りに何かを感じた。サクヤの気配と違うもの……」

「まだ魔物の気配が残っているのか!?」

「凄く小さな気配……」


 我も同じようにサクヤに触れてみた。これは……。


「ルナ?」

『あぁ、これは……』

「ルナ、何か分かるの?」

『はっきりとは分からないが……、魔王の気配と似ている』

「!!」


 その言葉に全員が驚愕の表情になった。


『魔王といっても、今のこの気配は小さすぎて自信はないが……』


 何にせよ万が一魔王の気配ならば、まだサクヤの中にあるということだ。


「やっぱり聖魔法じゃないから消せなかったのかも!」

「ならば、またサクヤが魔王になるかもしれないということか!?」


 アレンが驚愕の表情をしている。


「かもしれない……」

「そ、そんな……、どうにかならないのか!?」

「どうにか、と言われても……魔王を倒すことが出来るのは勇者の聖魔法だけって……」


 ユウはもう勇者ではない。どうにも出来ない。

 出来ないはずだが……、きっとユウは諦めない。


 ユウは何やら考え込んでいる。どうするつもりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ