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銀狼ルナの心情~異世界で勇者になりましたが引きこもります番外編  作者: きゆり
二章 現代編

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第四十七話

再開します!

ブックマークありがとうございます!

 魔導士たちが結界を出来る範囲で目一杯張る。治癒系魔導士が蓄積治癒とやらを行っている。

 ユウたちも蓄積治癒を試していた。上手く発動するかは分からないが、やらないよりマシだろう。


 ユウは我とオブシディアンに身体強化と個別結界をかける。ディルアスもゼルに同じようにかけている。

 有難い、それでも無傷ではいられないだろうが、ないよりはずっとマシだろう。

 そしてユウとディルアスは自分たちにも身体強化と結界を施した。



 魔物たちが間近に迫る。

 何だあれは……見たこともない魔物が山程いるな。

 ユウが震えている。


 我はユウに身体を刷り寄せた。


『大丈夫だ』


 ユウは覚悟を決めた顔をした。


 王宮の上空一面に魔物が集まり、そして一斉に迫り来る!

 魔導士たちが障壁結界を張るが、すぐに壊されてしまう。代わる代わるに何枚もの障壁結界を張る。


 我とオブシディアン、ゼルが炎を吐き出し、障壁結界を破る魔物を焼き尽くす。

 攻撃系魔導士たちも炎や雷撃で攻撃をする。


 魔導士たちの援護を我らに託すと、ユウとディルアスは風魔法に炎を纏わせ炎の竜巻で何十匹かを絡めとり、業火で焼く尽くす。


 雷撃を空高く走らせ、四方八方に飛散させ、手当たり次第に魔物に雷撃を撃つ。雷撃では消滅させることが出来ず、弱った魔物を結界で囲い業火で焼き尽くす。


「ユウ!!」


 ディルアスがユウに向かって叫んだ。

 ユウの背後に魔物が!

 我は急ぎユウの側に駆け寄り、魔物に体当たりをし退ける。


「あ、ありがとう、ルナ!」

『まだだ! 油断するな!』


 体当たりした魔物はすぐさま起き上がり、再び襲いかかる。



 その時だった。

 氷の矢が飛んで来て魔物を貫いた。動きが鈍くなった魔物に炎を吐き出し消滅させた。

 何だ!? 慌てて氷の矢が飛んで来た方向へ目をやる。


「イグリード!!」


 イグリードの率いる魔導士たちから氷の矢が無数に飛んで来た。


「遅くなった! 無事か!?」

「ありがとう! 大丈夫!」


 イグリードたちは空間転移で国境近くまで来たのちに、急ぎエルザイア王宮まで駆け付けたようだ。


「俺はアレンと合流する! 部隊を半分そっちに残す!」

「分かった、ありがとう!」


 氷の矢によって魔物の動きが少し鈍くなる。ユウはその隙に結界内燃焼爆発をさせた。


 オブシディアンとゼルが魔物に噛み付かれ悲鳴を上げる。


「オブ!ゼル!」


 ユウは雷撃を走らせ魔物を貫いた。その衝撃で魔物はオブシディアン、ゼルを離した。ディルアスがすかさず炎で消滅させる。


 オブシディアンとゼルは蓄積治癒が発動した。噛まれ引きちぎられた肉が元通りになる。


「オブ、ゼル、大丈夫!?」

『何とか大丈夫~。蓄積治癒のおかげで傷は治るけど、痛いものは痛いね~』


 オブシディアンは苦笑しながら言った。


 あちこちで徐々にと攻撃を受けるようになってきた。さすがに数が多すぎる。

 一匹ずつなら大したことのない魔物でも、これだけの数を相手にしていると、こちらはどんどん消耗し、疲弊していく。


 魔導士たちを援護するのにも限界がある。



 その時、空中にサクヤが現れた。



 無数の魔物のど真ん中に。空間転移なのか?

 サクヤは我々を見下ろすと、不敵な笑みを浮かべた。


 サクヤは何かを呟くと両手を横に開いた。するとサクヤの両手に黒い炎のようなものが現れ段々と大きくなる。


 それを頭上に持ち上げさらに大きく。巨大な黒い炎が出来上がると、サクヤは両手を振り回し、それに合わせるように、黒い炎がサクヤを中心に渦を巻いた。


 それはどんどんと広がり全ての魔物を飲み込んでいく。


 異変に気付いた魔物たちは逃げようとするが、黒い炎に吸い寄せられるかのように飲み込まれていく。


「こ、これ、もしかして闇魔法か……?」

「闇魔法!? 何で……」


 黒い炎に飲み込まれた魔物たちは苦しみ悶えながら、じわじわと溶けるかのように身体が消滅していっている。


「う……」


 ユウはその光景に眉をひそめている。さすがに不快になる倒し方だ。

 地上にいる皆が突然起こったそれに、驚愕や不快感等、複雑な表情を浮かべている。


 空一面を黒い炎が覆い尽くし、全ての魔物を飲み込み消滅させた。

 サクヤの周りには大量の黒い靄が溢れている。


「魔物はいなくなったのか……?」


 魔導士の誰かが呟いた。皆が顔を見合わせ、ざわついたが、徐々に喜びの表情へと変わって来た。

 歓声が上がり魔物がいなくなったことを喜び合っている。


 我らもユウたちの側へと戻った。


『ユウ』

「うん」


 ユウとディルアスはサクヤを一心に見詰めた。我はユウの側に。何か嫌な予感がする。


 サクヤはまだ空中で黒い炎と黒い靄の中にいる。姿が見えない。気配だけだ。

 一体何をしているのだ……。



 その時声が聞こえた。



「アハハハ!! やはり俺が一番だ! 俺が最強なんだ!」


 声高らかに叫ぶ声と、何とも言えない笑い声が空に響いた。


「ディルアス……」

「あぁ、嫌な感じがする。気を付けろ!」


 サクヤが再び両手を振り回すと、黒い炎と靄は空間を作り、サクヤの姿をそこにいる者たちに晒した。


「あぁ、お前らか。もうお前らはいらない。俺は最強だから。お前らよりもな!」


 見下すように侮蔑を込めた目で眼下を見下ろすサクヤは、以前見た姿とは全く違った。

 顔付きの印象が全く違う。


「俺はまだまだ強くなる。もっと……もっとだ! 俺は更なる力を得るんだ!」


 薄ら笑いを浮かべながらそう呟くと、両手を左右に開き天を仰いだ。

 サクヤの動きに合わせるように、黒い炎と靄はサクヤの周りに集まっていく。

 そしてサクヤの身体を覆うように纏わりついていく。


「!?」

「な、何!?」


 ここにいる誰もが今何が起きているのか理解出来なかった。

 サクヤの身体に纏わりつく黒いものたちはサクヤの身体に触れると消えた。


 消えた? いや、消えているように見えるが、よく見るとサクヤの身体に吸収されている……これは……。


「な、何でサクヤが魔物を吸収!?」

「どうなっている!?」


 ディルアスも困惑している。


『魔王……』

「えっ!?」


 小さく呟いた言葉にユウが反応した。


『我が昔戦った魔王も倒した魔物たちの黒い靄を吸収していた』

「!! え、でもサクヤは勇者なんじゃ……何で魔王……どういうこと!?」


 サクヤは勇者のはず。どういうことだ。勇者ですら魔王になりうるのか……。


「今サクヤが勇者かどうかは関係ない。あれだけの数の魔物を吸収し完全体になった魔王だとしたら……」


 ユウはもう勇者ではない。聖魔法とやらは使えない。どうやって倒す!?


「一体どうしたら……」


 ユウは呆然と立ち尽くしている。我はサクヤに向かって炎を吐き出した。

 黒い靄に包まれたサクヤの前で炎は搔き消えた。


『やはり効かない……あの時と同じだ……』


「無駄だ! そんなものは効かない!」


 サクヤは不敵に笑った。



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