第三十七話
ブックマークに評価にありがとうございます!
嬉しくて涙出ます(ノД`)ノ
ユウが我の額に手を翳そうとし止まった。
「あの……人間化のまま?」
『何だ?』
「いや、あの……」
『人間化のままでも問題はないが?』
何だ? 何を躊躇っているのだ?
ユウは何やらぶつぶつ言っているが、仕方ないとばかりに一息吐き、我の額に手を伸ばした。
我は少し屈み目を瞑る。
待っていると何やら顔やら髪やらをさわさわと触り出した。何だ? 何をしているのだ?
人間化のときには近付こうとすらしないくせに。
目を開きユウの両手を捕まえた。目の前にはユウの顔が。あぁ、ユウだ。思わず見詰め合ってしまう。
『ユウ、契約を』
「あ、ごめん! あなたの名前はルナ、またよろしくね」
ユウは我の額に手を当て言った。額に当てた手から眩い光が放たれそして消えた。
『我が名はルナ、主よ、これから我はそなたと共にある』
「フフ、あの時言ってくれた言葉だね」
以前契約したときの言葉。再び言えたことが嬉しかった。今度こそ共に。
『改めておかえり、ユウ』
「ありがとう、ルナ」
『僕も僕も!』
「オブ、大きくなったね」
大人になったオブシディアンの宝玉はユウの手には収まりきらない大きさになっていた。
宝玉からお互いに魔力を流し合う。
「あなたの名前はオブシディアン。オブまた会えて嬉しい」
『ユウ、おかえり!』
「ありがとう、オブ!」
ユウはオブシディアンの大きな身体に抱き付いた。
「これからユウはどうする?」
契約を終えると、ディルアスが聞いた。
「うーん、今のところ何も考えてないけど、アレンやイグリードにも会いたいかな。神様との約束事も伝えたいし」
「そうだな、このまま会いに行くか?」
「え、今から?」
「あぁ」
「こんな急に行って大丈夫かな?」
「大丈夫だ、連絡を取る」
そういうとディルアスは魔導具で通信しだした。
「アレンとイグリードに連絡をした。行こう」
その前にと、ディルアスは部屋に戻って何かを持って来た。
「私の魔導具……」
ディルアスはユウにその魔導具を渡した。
「ずっと保管してくれてたんだ……」
「あぁ」
「ありがとう」
ユウは嬉しそうな、泣き出しそうな複雑な顔をしていた。
「魔力が少し変わったのなら附与しなおさないといけないかもしれないが……経験がないから分からない」
「うん、また試してみるよ」
『恐らくそのままで大丈夫ではないか? 我やオブシディアンの魔導具もそのまま使えているからな』
我が人間化をしても魔導具で衣服が発動しているからな。
『ユウの魔力が変わったといっても、勇者の魔力がなくなっただけで、根本は変わっていないからではないか?契約には本人が一度消えてしまったから契約が切れたが、魔導具は魔導具自体に魔力を附与しているからな』
「なるほど」
「とりあえずアレンのところへ行こう」
ディルアスはユウを促した。
王宮に着くとディルアスは顔パスだ。ユウが変な顔をしていたが……。
我とオブシディアンは以前のように小型化で一緒に付いていく。
ユウは昔のように抱き上げた我らをさわさわとし出したが、オブシディアンが大きくなり赤子化ではなくなっていたためか、何やらがっかりした様子で、我だけを触り出した。
あぁ、ユウに触れているのがこれほど心地良い気分になるとは。昔はよく怒っていたが、今は違った感情だ。やはりそれ程ユウを欲していたのだろうか。
「ルナ?」
『何だ?』
「いや、いつもならもふもふし過ぎると怒られるのにな~と思って」
『そうだったな。今はユウに触れられると気持ちが良い。ずっと離れていたせいだろうな。今は触れられていたい』
「!!」
驚いたような表情になったユウは何故か急に我らを力強く抱き締めた。
『ユウ……苦しい……』
「あ、ごめん」
オブシディアンが苦しそうだった。
ディルアスはずっと無言で足早に歩いて行く。
「ディルアス、待って」
ユウは少し息を切らしながら追いかけた。
「あぁ、すまない」
ディルアスが振り返り、何か変な顔をしている。
隣を歩くよう促し、ユウはそれに従った。ディルアスの機嫌が気になるのか、ユウは隣を歩くディルアスの顔をずっと見ていた。
「そんなに見ないでくれ」
ディルアスはその視線に気付くと顔を赤くし反対側に向いた。
「ご、ごめん!」
ユウとディルアスは無言になった。何をやっているのだか。気に入らん。
アレンの私室に着くとディルアスが扉を叩いた。中から声がする。
「どうぞ」
中へ入ると、アレンにリシュレル、イグリードがいた。
「ユウ!!」
三人とも驚き、そして喜んでいた。
ユウはアレン、イグリード、そしてリシュレル、と順に抱き合い、再会を喜び合っていた。
アレンは涙ぐんでいる。
「あぁ、ユウ、信じられない。本当にユウなんだな! 良かった……本当に良かった……」
「苦しませてごめんね」
ユウはそこにいる者全てに向けて言った。
アレンはそんなユウの頭に手を置き、クシャクシャと撫でる。
「ばーか、ユウが謝るところじゃないだろ」
ニッと笑った。それに合わせるように、みんな笑っていた。
「ありがとう」
アレンたちはとりあえず話を聞かせて欲しい、とユウを椅子に促し、そしてユウは我らに話したように、神とのやり取りを一部始終話した。
「やはり胡散臭い神だな」
イグリードがフンッと言い放った。
「ユウが戻ったのは喜ばしいが、新しい勇者と関わるとユウは完全消滅って……一体どういうつもりなんだ」
全員が考え込んだ。
「やはり極力新しい勇者と関わらないように動くしかないんだろうな。万が一関わってしまったにしても、全力で避けるようにする。俺たちの元に現れても真実は話さない。ユウのことも話さない。それを徹底しよう」
イグリードがそう言って全員の顔を見た。
「みんなに負担をかけてごめんね」
「ユウが謝ることではないだろう。俺たちの世界のことだ。ユウは巻き込まれただけだ。今度こそ俺たちが守るよ」
「あぁ」
イグリードにみんな賛同する。
新しい勇者についての話が終わると雑談が始まった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
土日祝日と更新お休みします。
いつも読んでくださる皆様には申し訳ありません!
連休明けには再開出来るかと思いますので、お待ちいただけたら嬉しいです!




