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銀狼ルナの心情~異世界で勇者になりましたが引きこもります番外編  作者: きゆり
二章 現代編

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第三十一話

 ユウが部屋へと戻って来た。まだ考え込んでいるようだ。


「ルナが戦ったときは魔王とは最初知らなかったんだよね?」

『あぁ、最初はただの魔物だと思っていた』

「それまでは魔王の存在は周知されてなかったってこと?」

「そうだな。魔王が現れたということは、あの当時の人間は恐らく誰も知らなかった」

「そっか……」


『何か気になるのか?』

「うん……、でも何かが分からない」


「あー、何かモヤモヤムズムズする!」


 ユウは我に思い切りしがみついた。


『おい』

「ごめーん、でももふもふさせてー!」


 ユウは我の身体に顔を埋めてスリスリスリスリと……


「はぁ、落ち着く……」


 あまりにも警戒心なしにしがみつく。いくら何でも我も雄だ。絶対に襲わないという自信はない。

 少しからかってやるか。それにユウは考え過ぎだ……。


 ユウが小型化だと安心しきっているところで人間化してみせた。


「!! ちょ、ちょっと!! 何で人間化!?」

『抱き付くならばこちらでも良いだろう』


 ニッと笑って見せた。


『思う存分抱き付いたら良い』


 そう言いながらユウを抱き締めた。ユウは急に人間化した我に抱き締められ固まった。

 ユウは我の人間化に何故か緊張するらしいしな。


「やーめーてー!!」


 ユウは力一杯我の身体を押してはいるが、所詮女の力では抵抗出来ないだろう。

 笑いながらユウをしっかりと抱き締める。


 ユウがムキになっているとオブシディアンが割り込んで来た。


『ぼくもいれて~』


 我とユウの間に顔を出した。


『残念だな』


 ユウの頬に口を近付け囁いた。わざと耳に息がかかる位置で。

 ユウは咄嗟に耳を押さえた。


「ルナ、何か意地悪になった!?」


 ユウは真っ赤になり焦り顔だ。


『フッ』


 最近のモヤモヤがなくなったようにすっきりとしたな。

 そうか、我も同じようにユウに触れたら良いのだな。


 ユウはオブシディアンを抱き締め後ろを向いたが、何かを察したのかチラリとこちらを向いた。

 我がわざとやったことに気付いたか。

 やられた、といったユウの顔が可笑しく、ユウと目が合うとフッ笑った。



「昨日引っ掛かると言っていたのは、何か分かったのか?」


 翌日イグリードの私室に全員が集まった。

 考え込むユウに視線が集まる。


「勇者が現れると魔物が増える……?」


「えっ!?」


「それに……勇者が現れると魔王が現れる……?」


「!?」


「ずっと何かがおかしい気がして引っ掛かってたんだけど、順序がおかしい気がするんだ。時系列で見ても魔王が現れたから討伐のために勇者が現れた、とは一度も書かれていない。それどころか勇者が現れてから魔物が増え、魔王が現れてる……」


「ど、どういうことだ……」



 全員が唖然として沈黙が流れた。




「ピンポーン!! せいかーい!!」


「!?」


 突然聞いたことのない声が聞こえ、全員が驚き顔を見合った。

 誰だ!? 辺りをキョロキョロ見回す。


「こっちこっち」


 声がした方に向くと高い天井の近くに人が浮いていた。


「!?」

「何者だ!?」


 全員が警戒して臨戦態勢を取る。


「やだなぁ、そんな警戒しないで」


 そう言いながらその人物はゆっくり降りてきた。

 白い肌に銀色のような足まで伸びる長い白い髪と瞳。服も真っ白なローブのようなものを着ている。


 男なのか女なのか分からない顔。

 しかも空中に突然現れた。一体何者だ!?


「あなたは誰!?」


「私は~、神でーす!」


「!?」


 全員が「!?」だった。意味が分からない。神!?


「か、神だって!?」


 アレンが辛うじて口を開いた。


「そうでーす。神だよ~」


 何だこのユルい喋りは……。


「本当に神だよ~。君たちの魔法に引っ掛からなかったでしょ?」


 ニコニコしながら言う。確かにユウの索敵にもかからなかったようだし、部屋には誰も近付けないように言ってある。さらには話は聞こえないように空間隔離をしている。


 なのに、この人物は突然空中に浮いて現れた。


「本当に神様?」

「うんうん、神様!」

「本当に神なら、何のためにここに現れた!?」


 ディルアスが少し声を荒らげて言った。


「うん、そうね~、頑張って調べて真実に近付いたご褒美に答え合わせをしてあげようと思って」

「真実? 答え合わせ?」

「そうそう! 今までの勇者でここまでたどり着いた人いないのよ~。だからご褒美~」


 何かイラッとする喋り方だ。


「私たちが知りたいことを全部教えてくれるの?」

「うんうん、教えてあげる~! 特別!」


 全員が息を呑んだ。


「ユウが勇者なのか?」


 アレンが真っ先に聞いた。


「うん、そうだね~。私がこちらの世界に召還したよ」

「!!」


 全員がユウを見た。やはりユウが勇者だったのか。ショーゴと同じ……。


「何で私だったの?」

「勇者の聖魔法を授けるのに、その時一番相性が良い人物で選んだんだよ」


 ニッコリと笑顔で言った。


「勇者が現れると魔王が現れるの?」

「うん、それ、正解~!」

「!? 正解ってどういうことだ!? なぜ勇者が現れると魔王が現れる!?」

「うーんとねぇ、逆に言うと勇者がいなければ魔王は生まれないし魔物も増えないのね~」

「どういうことだ!?」

「これ、私の凄いとこ!聞いてくれる~? すっごい効率の良い仕組みなの!」

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