集うおかしな仲間たち。
うちのパーティメンバーは、おかしな人ばっかだった。
脳筋金ピカ女騎士・アカツキ。
ピンクの爆殺魔・エンネア。
青いスピード狂・ペスカ。
狙撃下手白色スナイパー・アルファルド。
天然チート剣客男(女)・セイガイハ。
一癖も二癖もあるどころか、癖しかないような変人揃い。
まあ、変人なりに強かったし、変人なりにいい奴らだ、一緒のパーティになれてよかったと思う。
しかし、そんな俺以外は変人ばかりの六人パーティでも、R0の最速攻略は不可能だった。
賞金一億円を賭けた最速攻略レースイベント”MBF”は、開催から半年も経たぬうちに、とあるプレイヤーが魔王を討伐したことで幕を閉じる。
……っていうかね、そのプレイヤー、Tさんって言うんですよ。
周りの情報に疎い俺でも知ってるくらいの有名な人物です。
なんたって、100万人いるUNOプレイヤーの頂点に君臨すると言われているお方だ。
実力的には、俺とせーさんの完全上位互換、といえばわかりやすいだろう。
攻撃には当たらず、しかし攻撃を当てて、高速で敵を葬るクリティカルアタッカー。
しかしそのプレイヤースキルは俺たちのはるか上を行く。
MBFの最中、俺たちは一度だけ彼とやりあったが、1VS6でも傷すらつけられず全滅させられたほど。
そんなクソ強いTさんだが、なんとソロで五つの証集めを終わらせ、魔王城の攻略も一人で完了させてしまった。
他のプレイヤーが四つ目の証をどう取るかで悩んでいるような時期に、ソロでの最速勝利である。
頭おかしいわあの人。
というわけで、人智を超越するレベルの強者に敗北し、俺たちのMBFは終了した。
そう、MBFは。
MBFが終わったとしても、その間に築いた交友関係が終了するわけではない。
俺たち六人の関係は今でも継続中だ。
MBFが終了してから数ヶ月後、12月22日。
学校は冬休みである。
だから、学生ばかりの俺たちが一箇所に集まるのには、ちょうどいい時期だったのだ。
「兼続ちゃんのお友達が来るなんてね~。何年ぶりかしら~」
「一応、私はちょくちょく来ていましたよ?」
「天音ちゃんはお友達っていうか……兼続ちゃんのお姉さん? みたいな感じだし」
ご機嫌な様子の母さんが、キッチンで料理を準備している。
その隣では天音もお手伝い、二人で和気藹々。
さり気なく、母公認で天音が俺の姉扱いされていたのは聞き流すとしよう。
「つぐ兄つぐ兄、みんな道に迷ってないかな?」
俺と一緒にリビングでだらだらしていた奈緒が、ふと不安そうに問うてくる。
俺は大丈夫だろ、と、答えた。
「エンネア……じゃなかった、はてなが駅まで迎えに行ってるからな。あいつは天音と違って方向音痴じゃないし」
「いや、ここに来るまでにサメに襲われたらヤバいじゃん?」
「サメ映画から離れような?」
と、奈緒のサメザメしい心配は杞憂に終わる。
ぴんぽんと、家のチャイムが鳴らされた。
「来たか」
俺は玄関に向かい、扉を開ける。
外には三人の女性がいた。
「やっほー兼続ー、メリークリスマース!」
「クリスマスまだだからね? あわてんぼうのサンタクロースかお前は」
「いや、雑誌関連の忘年会とかでクリスマス辺りは遊ぶ暇がないからさ、今日中にメリクリしとかないと言いそびれるんだよ」
「そういえばお前、いっつもクリスマスはログインしてこなかったな……」
「リアルで大変なんすよボクも。……でもよく考えてみて? クリスマスなんてリアルめでたい日にオンラインゲーム世界にいるの、悲しくない?」
「お前それ言ったら戦争だからなリアルが充実していない全世界30億のオンラインゲーマーと!」
あはは、と、彼女はゲーム内と同じように笑う。
エンネアの中の人、九鬼丸はてな。
三つ目の証探しの途中に正体が判明した彼女とは、学校でも毎日のように顔を合わせていた。
なんたってクラスメイトだし。
しかし、はてなが八坂家を訪れるのは初めてだ。
さて、我がマイフレンドの後ろには、やたら背の高い女性がいた。
いやマジででかい、猫背のせいで多少は小さく見えるが、それでも。
間違いなく190センチを越えている。
おまけに目つきが悪い。
前髪が長く、見るからに陰気そう。
その女性はどろんとした目で俺を見下ろしながら、ぽつぽつと唇を開く。
「……よう、イカスミ。……ミス、はじめまして、カネツグさん。アルファルドのプレイヤー、七星灯です」
「はじめまして、カネツグの中の兼続です、……結局、半年程度じゃ治らなかったな根本的な口の悪さ」
「人は、そうそう、変われねえ、よ」
達観したセリフを吐く彼女――七星灯。
かつて本人が言っていた通り、本当に背の高い女性だった。
さらにその隣、こちらは見るからに淑女といった雰囲気の女性。ちょっぴりぽやんとしている。
背丈は俺や天音と同じくらいで、同年代。
彼女は深々とお辞儀し、礼儀正しく挨拶をする。
「はじめまして。セイガイハ、あらため、四堂花月と申します」
「はじめまして、カネツグ以下略です。……想像通りの良家のお嬢様って感じの人が来た……!」
「お嬢様だなんて、そんな……あっ、ゲーム内で私が自らそう言ったんでしたね」
「そうですそうです。あ、夢、見つかりました?」
「今は声優を目指して頑張っています!」
「先週はファッションデザイナーを目指してるって言ってませんでしたかあなた!?」
相変わらず、やりたいことを片っ端からやっているらしい。
アカツキ――東雲天音。
エンネア――九鬼丸はてな。
ペスカ――八坂奈緒。
アルファルド――七星灯。
セイガイハ――四堂美波。
そして俺、カネツグ――八坂兼続。
ゲーム内では何百時間も一緒だったメンバーが、現実世界で六人が揃ったのは初めてだ。
そう、今日はいわゆる”オフ会”の日である。




