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新実装惑星首狩り救世主伝説KANETUGU。

「ぐぅふふぅ、パンイチでよくもまあいい度胸ッ! しかしキサマ如き、我らが全力を出すまでもない! ジャック!」


「は!」


「あやつに力の差を見せつけてやるのだ! 行けい!」


「イエスマイキング!」



 芝居がかったモヒカンキングの命に従い、あちらで一番レベルが高いという件のモヒカンジャックさんが前に出る。


 手にした曲刀の刃を長い舌でべろりと舐めながら、げへへと笑って近づいてくる姿は、完全に漫画かなにかのザコキャラそのものであった。


 こ、こんなザコキャラ100%なヤツに負けたくねえ!



「くくくくく、我が剣のサビとする前に名を聞いておこうか……」


「フッ、名乗るほどのものじゃないさ」


「いやまあそっちが名乗らなくてもアバターの頭上にHPバーと名前が表示されてるからわかるんだけど」


「確かに」


「……くくく、それでは我らに歯向かったことを後悔して死ねい、カネツグぅ!」



 ギラギラと輝く刃を振りかぶり、モヒカンジャックが走り出す。


 猪突猛進、こちらへ向かって一直線。


 すぐさま俺を射程内に捉え、獲物を真っ二つにしようと腕を横薙ぎに振るった。


 ……あれ? 遅い?


 高速の切っ先を容易く見切れる。 


 横一閃の斬撃に対し、俺は膝蹴りを刃の腹に叩き込んだ。



「なにっ!?」



 モヒカンジャックは予想外の衝撃に対応できない。


 その手から武器が弾かれ、上方向へくるくると上昇。


 ある程度の高さで静止した後、重力に引かれて落下してくる曲刀を、俺は右手でキャッチ。


 同時、その刃を横に一閃、モヒカンジャックの首を跳ね飛ばす。



「ぼらあなぁぁぁッ!?」



 ザコっぽい悲鳴と共に、モヒカンジャックの首が地面に転がった。


 少し遅れて、頭を失った胴体が仰向けに倒れる。


 血が噴出したりはしない。


 切断面は光のエフェクトでいい感じに誤魔化されていた。


 海外製のダークなFDVRゲームだと血がドバー! 内蔵デロー! の超リアルなゴア表現も珍しくないのだが、日本製はその辺の表現がマイルドになっている作品が多い。


 日本国内での運営がメインのUNOは後者であり、ゴア表現は一部のダンジョンなどに限られている。


 と、モヒカンジャックの頭部が残った力を振り絞り、首だけで喋り始めた。



「く、くくく、まさかレベル1の新参に倒されるとは。しかし俺はモヒカン八英雄の中でも最弱、俺を倒しても第二第三のモヒカンがガクッ」



 死んだ。



「ば、バカな!? ジャックが装備すらないレベル1に敗北しただとぉ~!?」



 良いリアクションをするモヒカンキングは置いといて、とりあえず俺はモヒカンジャックの死体にアクセスしインベントリを漁る。


 持ち物は低レベル帯向けの防具や回復アイテム、ザコモンスターを倒すと入手できるドロップアイテムがいくつか、所持金が少々。


 とりあえずぜんぶ奪って、防具はすぐさま装備する。


 さっき戦闘中に奪った曲刀も含め、多少は装備が整い下着姿よりはマシな格好になった。


 トゲつき肩パットの鎧とか趣味ではないんですけどね。


 で、やることをやり終えたので、俺はモヒカンキングに向き直る。



「フッ! 言っただろう、そっちに勝ち目はないとな!」


「ぐぬぬぅ~! 生意気な小僧めがぁ~! もう許さん! かかれ者ども! きゃつめをひき肉に変えてやれぃ~!」


「「「イエスマイキング!」」」


「えっ? マジでタコ殴りルート?」



 モヒカンキングの号令に従い、こちらに向かってくる11人のモブモヒカン。


 モヒカンジャックみたく一人ずつ戦わせてくれるのかと期待したのだが、さすがにそこまで甘くはないらしい。


 この人数差はキツいな、どうすれば――、



「喰らえい!」



 考える暇も与えてくれず、モヒカンの一人が手斧を投げつけてきた。


 猛烈な勢いで縦回転しながら飛んでくる手斧を、俺は空いている左手でキャッチ。


 そのまま元の持ち主に投げ返す。



「なまげっ!?」



 ザクっという効果音と共に鉄の刃が左胸に刺さり、そいつはその場に倒れ伏した。



「きえぇぇい!」



 別のモヒカンが奇声と共に金属バットを振り下ろす。


 俺の頭をかち割ろうと落ちてくる鈍器の先端は、少し横に避けただけで簡単に回避できた。


 地面に金属バットをめりこませたまま唖然としているモヒカン。


 俺が曲刀を振るうと、そいつの首が驚愕の表情のまますぽーんと宙を舞う。



「えぇい生意気な! 喰らえい!」


「そぉれい!」



 二人のモヒカンが左右から剣で挟み込むよう斬撃を繰り出してくる


 横に逃げ場はない、ならば正面。


 モヒカン二人の間をすり抜けて、背後へと回り込む。


 すぐさま振り向きながら、敵の背中に一撃、二撃、三撃と、素早く連続の斬撃を食らわせた。



「ひぐまっ!」


「つきのばっ!?」



 断末魔と共に崩れ落ちる二人のモヒ……なんか断末魔のバラエティが豊かだなこいつら!?


 ともかくこれで4人、襲い来るモヒカンの3分の1ほどを撃破だ。


 まだ敵は残っている。


 息つく暇もなく、俺は次のモヒカンに立ち向かう。

TIPS:ゲームのスプラッタ描写

剣で斬られれば人間の首や手足はすぽーんと吹っ飛ぶのは当たり前。

ゲームのキャラでもそれは同様なのだが、日本においては自主規制され、剣で斬られても血しぶきが飛び散る程度の描写で済まされる事が多い。

グロいのが苦手な人にはありがたいが、物足りないという人もわりといる。


逆に海外だと手足が千切れるどころか骨や内臓までドバーってなる作品もある。

有名なのはモータル・コ◯バットだろう。

グロいのが苦手な人は絶対に検索してはいけない。

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