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五人目 天然チート剣客男(女) セイガイハ が なかまになった!

 文句なく、せーさんは実技テストに合格した。


 俺はちょっと震えつつ、せーさんに握手を求める。



「あ、あまりに強すぎてビックリしたけど問題なし! これからよろしくせーさん!」



 せーさんはパッと表情を明るくすると、声を弾ませて握手に応じてくれた。



「は、はい! よろしくおねがいします! よかった、認めて頂けたんですね……!」


「ええ、そりゃあもうあんな戦いっぷりを見せられたら認めざるを得ないというか」



 ……正直、俺は不安になっていた。


 カタナ使いの高速クリティカルアタッカーというキャラかぶり。


 しかもせーさんはたぶん俺よりカッコよく動ける。


 加えて、弓での狙撃技術を持ち、ミニオンを指揮しての集団戦もバッチリ。


 完全に俺の上位互換、こっちの立場がないっちゃその通り。


 しかし、それよりも、



「男性メンバーが増えてよかった……!」



 これでパーティメンバーを女性で固めるむっつりスケベ呼ばわりされずに済むぞ……!


 と、つい声に出してしまったセリフについて、アカツキにツッコまれる。



「カネツグ、あなた男性メンバーを増やしたかったの?」


「あっ。……い、いや、パーティの男女比が偏りすぎるのもどうかなと思って」



 エンネアが、俺の言葉になるほどと頷く。



「このゲーム、男性アバターにだけ状態異常を仕掛けてくる敵とか、女性アバターを優先して狙う敵とかいるからね。偏りすぎるのもよくないか」


「そう、そういうことです!」



 ナイスフォローだエンネア、さすが我が友!



「これでそれ系の敵に出会ってもアバターの性別をいちいち変更せず戦えるわけです! 先々を考えての采配!」



 アカツキとエンネアはそれで納得してくれた。


 アルはどうでもよさそうにしている。


 しかし、にやにやと笑うペスカが耳元で囁きかけてくるのだ。



「……ツグ兄、周りが女の子ばっかだとドスケベ野郎って言われると思ってせーさん勧誘してきたんでしょ?」


「……ぐっ!? ……な、なぜバレた?」


「妹を何年やってると思ってるのさ? ふふふ、そんな情けない理由で仲間を増やしたんだとみんなに知られたくなければあとで私におやつを奢れ」


「く、クソッ! 500円までだかんな!」



 恐るべし妹の洞察力。


 さらば俺の500円。


 ひそひそと話す俺たちに、アカツキが怪訝そうな顔で聞いてくる。



「どうしたの? 二人とも」


「い、いや、なんでもない。なあペスカ?」


「そうそう、大したことじゃないよ。ツグ兄、男友達がほしかったんだってさ。友達がほしいなんて口に出すのが恥ずかしくて言わなかっただけで」


「あなた、友達が少ないものね……」



 アカツキが哀れみの目を向けてきた。


 確かに俺に友達は少なく、男友達に関しては0人。


 しかし、お前にだけは友達が少ないなんて言われたくなかったぞぼっちめ。


 あんまり余計なことを口走るとボロがでそうなので黙っておくけど。



「……あ、あの」



 と、せーさんがおずおずと会話に割り込んできた。



「ん? なんですか、せーさん?」


「え、えと、男友達が欲しいんですか? カネツグさんは」


「そうです、そういうことです」



 本当は違うけど。


 それを確認するとせーさんは、本当に申し訳無さそうな顔をした。



「それなら、その、言いにくいのですが……」


「はい?」


「……わ、私、こんなアバターを使っていますが、中身は女でして」


「あ、そうなんですか」



 そっか、せーさん、男性アバターを使ってるだけで中身は女性なんだ。


 へー。


 …………。



「「「えっ!?」」」



 俺だけではなく、仲間たちみんなが耳を疑った。


 驚愕の声と視線が集中し、せーさんはびくんと身を縮こまらせる。



「ご、ごめんなさい! 騙すつもりではなかったんですけど! カネツグさんの目的が男性のお友達を作ることだとは思っていなくて!」


「それはもはやどうでもよくてマジで女の子なのせーさん!? あんなにカッコいいのに!? そんなにイケメンな剣客アバター使ってるのに!?」


「はい……いまこの場で証明する手段はないのですけれど、確かに女です」



 彼……いや、彼女のアバターを、足元から頭のてっぺんまでじっくり観察。


 言われてみれば、その立ち姿に女性的なものを感じるような。


 中性的でカッコいいと見えていた表情も、なんとなくかわいく見えてくるような。


 せーさんは俺に恐る恐ると問うてくる。



「あ、あの、カネツグさん。やはり、ダメですよね?」


「え?」


「カネツグさんの目的には応えられない私を、仲間として迎え入れることはできませんよね……?」



 潤んだ瞳が俺を見つめていた。


 男性型アバターってことを忘れそうになるほどかわいい。


 いや、かわいいとかではなく、少し考えてみる。


 俺が問題としたのは俺以外のパーティメンバーが女性アバターばかりなことだ。


 せーさんは中の人の性別が女だろうとアバター自体は男性。


 ならば、俺としては何の問題もない。


 それに、こっちから誘っておいて、挙げ句に実技テストまでさせた相手を、リアルの性別を理由にやっぱりダメと追い出すのは、不誠実すぎるだろう。


 俺はピッと親指を立てる。



「俺は大丈夫! 何の問題もない! みんなは?」


「まあ、中身が女性の方が接しやすいものね。私はいいと思うわ」


「ウチも問題ないっすわ!」


「ボクもオッケーだよ、カネツグ。アルは?」


「……どっち、でも、いい」



 反対意見なし。


 ならばと、俺はせーさんを再び歓迎した。



「あらためてよろしくな、せーさん!」



 せーさんは先ほどよりも明るい表情で、嬉しそうに頷くのだ。



「は、はい! よろしくおねがいします、皆さん!」



 ……正直、周りが全員リアル女の子というのは、それはそれで肩身が狭い思いをしそうな気もするが、その笑顔と引き換えならば耐えてみせようこのアウェー感!


 と、メッセージを受信したというシステムメッセージが視界の端に表示される。


 何事かとメニューウィンドウを操作し、そのメッセージを確認。


 差出人はカレンだ。



《カネツグちゃんへ》

《人のリアルをバラすのはどうかとも思ったんやけど、やっぱり一応は教えとくことにします》

《せーさん、男性アバターつこうとるけど、中身は女の子やからね》

《あとウチのリアルの友達でもあるんよ。だから優しくしたってな?》



 なるほど、せーさんの中身は女の子なのかー。


 …………。


 言うのが遅いよカレンさん!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 安心しろ、事情を知らないヤツが端から見たらちゃんと男性二人だから(なお、本人の精神的安定は無視するものとする)
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