表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/101

将軍が将軍たる理由。

『レースも終盤! トップを独走するのはサムライジェネラル・シンノスケ! 愛馬の白米号も絶好調だ! っていうか本当に馬かアレ!? 何だあの速度!?』



 街頭モニターには高架道路を疾走する白馬が映っていた。


 このままだと将軍が一位になるのは間違いない。


 その結末を変えるため、将軍を止めると言いはしました、俺。



「……成功するかなぁ、この作戦」



 しかし、俺が思いついたのは、自分自身でも成功するか半信半疑な策だった。


 将軍がエニグマに聞いた通りの人物なら成功するだろうが、この場で優勝を優先するお方だったら失敗する。


 なにせ一億円へと繋がる勝利だ、まともな精神をしていたら間違いなく優勝を取るだろう。


 ……やっぱダメそう。


 しかし、何もやらなければ負けるだけ。


 ここに至るまでの仲間たちの苦労を無駄にはしたくない。


 ダメで元々、やってみるか。


 俺はカタナを抜刀し、ナイトベールの裏路地を駆け抜ける。


 人通りが少ない道、助けなんて誰も来ないような場所。


 そんな道を、一人の女性プレイヤーが歩いていた。


 俺は心の中で謝罪する、巻き込むけどごめんね。


 刃を輝かせながら、俺はその女性の目の前に立ち塞がった。



「へい姉ちゃん! 命が惜しけりゃ金目のものを置いてきな!」


「えっ!? なに!?」


「見ての通りの悪党さ!」



 恐れおののく女性の首筋に、俺はカタナを突きつける。



「聞こえなかったか? 金目のもんを寄越せ!」


「い、いやああああああ!? 誰かー!」



 女性の悲鳴が響き渡る。


 しかしここは人通りのない裏路地。


 叫んだところで誰も助けには来ないだろう。


 それこそ、勧善懲悪の時代劇で悪党どもをばったばったと切り伏せるヒーローでもない限りは。



『――っと、どうしたことだぁ!? トップを走り続けていたシンノスケが、急に進路を変え高架道路を飛び降り……優勝争いから脱落ぅ!』



 困惑する実況。


 ……俺もいま困惑してます。


 まさか、



「待ていっ!」



 振り返る。


 白馬に乗った将軍がそこに居た。


 射抜くような視線で、将軍は女性を襲う悪党を見据えている。


 まさか、一億円よりも正義の味方ロールプレイを優先するなんて!?



「な、なんだてめえは!?」


「かようなめでたき祭りの夜に、闇夜に紛れての狼藉千万、恥を知れい! 貴様のような悪党、例え天が許しても、このシンノスケが許しはせん!」



 思わずノリをあわせてしまった。


 カッコいい。


 超カッコいい。


 ああいう名乗り、日常的に使ってみたいくらいに憧れる。


 ……いや、感動してる場合じゃない!


 将軍を止めるという俺の目的自体はひとまず果たされた。


 しかし、このままだとすぐさまレースに復帰されてしまうかもしれない。


 後顧の憂いを断つため、将軍にはここで倒れてもらう。


 ちょうど殿様とか斬ってみたいお年頃だったし!



「はっ! てめえがあのシンノスケか! 話は聞いてるぜ、よくも俺のかわいい手下をやってくれやがったな!」



 なお手下とはアカツキのことを指す。



「下郎の名など覚えてはおらん」


「ほざきやがってぇ! 死ねぇぇい!」



 俺は黒刃モードの四色刀で、将軍に真正面から斬りかかる。


 狙うは首へのクリティカル。


 その一撃は、並のプレイヤーでは反応不可能、最高にして最速の斬撃だった。


 しかし、



「ふっ」


「んなぁ!?」



 俺の攻撃を軽々と回避すると共に、将軍はカタナで神速の居合斬り。


 恐るべき速度で振られた刃は、こちらの胴体を横一文字に斬り裂いた。



「がはっ!?」



 一撃で俺はHPを失い、冷たい地面へと無様に転がった。


 視界が暗闇に閉ざされる直前、将軍の勇ましい声が耳を打つ。



「成敗ッ!」



 く、くそ、最後までカッコいいなこの将軍……!


 時代劇のザコキャラみたいに成敗された俺は、そのまま死亡した。


 まあ、やることはやった。


 あとは任せるぜ、妹よ……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ