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ちゃんとありがとうが言える子なんですよ?

 アカツキはバカである。


 銃火器で武装する多人数に包囲された状態では、さすがの彼女でも全ての弾丸を受け切ることはできない。


 考えなしに喧嘩をふっかけるから、そういう絶体絶命の状況に陥るのだ。


 まったく、この状況でなに「私にそんな豆鉄砲が効くとでも?」みたいな顔をしているんだこのバカ。


 今は課金装備を使ってないんだからねお前。



「アル! アカツキ! まぶしいの注意な!」



 俺はこの状況を変えるため、仲間たちに警告した後、足元でフラッシュ・グレネードを炸裂させた。



「うわっ!?」



 知らない人たち、それと町中を歩いていた通行人の皆さまが、強烈な閃光に悲鳴をあげる。


 目眩ましで敵が怯んでいる間に、俺は素早く彼らの背後に回り込み、



「お綺麗な首周りをしてらっしゃいますわね!」



 カタナを二度、高速で振るう。


 直後、知らない人たちのうち二人の首が、すぽぽんと宙を舞った。



「がっ!?」

「ぎっ!?」



 首へのクリティカルヒット、間違いなく即死級のダメージが入っただろう。


 ……今すげぇ暗殺っぽいことやってるな俺!


 自らのカッコいいムーブにドキドキしつつ、ふとアカツキの方を見れば、彼女は大剣をぶん回しており。



「ぐっ!」

「げっ!」

「ごっ!?」

「ざっ!」



 その力任せの斬撃で、知らない人たちのうち四人の胴体が、上半身と下半身に分離する。


 一振り4キル。


 恐るべきは大剣の攻撃範囲か、それともアカツキの超火力か……。


 ともかく、あっという間に知らない人たちのうち6人が死んだ。


 残る4人は恐慌状態に陥りつつも、



「ち、ちくしょう!?」



 二人がアカツキに、二人が俺に銃口を向けて、引き金を引く。


 銃弾が飛んできた。


 俺は飛んできた弾丸をカタナで切り払う。


 アカツキは大剣の刃を盾にして頭部への直撃弾を防御、それ以外の弾丸は彼女の鎧を貫通できずに弾かれていた。


 そのまま、アカツキは銃弾を受け止めながらも前進し、敵へと迫る。


 撃っても撃っても怯まない金ピカ女騎士にじわじわと距離を詰められて、知らない人たちは恐怖のあまり半泣きになっていた。



「ひ、ひぃぃ!? くるな、くるなよ!?」


「に、逃げ……足が動かねえ!?」



 逃げ出そうとする知らない人たちだったが、その足は地面に接着されており動けない。


 それは俺の仕業だ。


 敵が閃光に怯んでいる間に、こっそり足元に転がしておきました、炸裂するとトリモチを撒き散らす地雷――スティッキー・マインを。


 粘着質な白い物体が、知らない人たちの脚部をがっしりと捕まえている。


 逃げられない獲物に接近すると、アカツキは再び大剣を振り回した。



「じっ!?」

「ずぅぅ!?」



 上下に分離した死体、また二人分追加です。



「ぜっ!」



 俺は俺で首のない死体を一人分生産して、さてさて残る知らない人はあと一人。



「く、くそっ!? バケモノどもめ!」


「言われてますよアカツキさん」


「誰がバケモノよ失礼な」


「素手で人間の首を引っこ抜くようなヤツはそう呼ばれても仕方ないと思う」


「……そう言われると反論できないわね」



 普段どおりに会話をしている俺たちの姿を見て、油断していると思ったのだろう。


 最後に残った知らない人が、スキありとばかりに引き金を引こうとした。



「遅いのよ!」

「遅いんだよ!」



 その瞬間、俺たちは同時に武器を振るって、知らない人の両腕両足を斬りとばす。



「ぎゃああ!?」 



 手足を失いその場に転がる知らない人。ちょっとグロい。


 彼のHPはわずかに残っており、ギリギリ死んではいない状態。


 動けない相手をいたぶる趣味はないので、俺はさっさとトドメを刺してやろうと、知らない人に刃を向ける。



「ひ、ひぃぃ!?」


「これにこりたらもうアルに絡んでくるなよな」



 忠告してから、相手の首を刎ねるために刃を振り上げ、



「……待って、ほしい」



 しかし、アルに止められた。



「どうした?」


「……そいつに、言っておきたい、ことが、あるから」



 アルは愛銃に弾丸を装填しながら、知らない人へ近づいていく。



「な、なんだよ、ぽ、ポイズンちゃん?」


「……あやまれ」


「わ、わかった! あやまる! 騙して悪かった!」


「違う」


「ひいぃぃ!?」



 いいながら、アルはごっつい狙撃銃の銃口を知らない人の顔に突きつけた。



「私が、ほしいのは、私の、仲間への、侮辱に対する、謝罪」


「な、なかま……あのバケモノコンビをクソザコって言ったことか!? わかった、わかったよ! 謝るからその銃をこっちに向けないでくれ!」


「謝罪が、先」


「くっ……わ、悪かったなあんたら! ぜんぜんザコじゃねえ! 気持ち悪いくらいにつええ! あやまるよ! すまん! ……こ、これでいいか、ポイズンちゃん?」


「よし」



 男の謝罪が終わると、アルはにやあと笑い、



「ところで、お前は、私の射撃が、当たらないと、思っている、らしいが」


「え?」


「この距離なら、当てられる」



 愛銃の引き金を引いた。


 轟音と共に弾丸が発射され、男の頭部をふっとばす。



「うそつきぃぃぃぃぃ!?」



 断末魔をあげながら死体に変わった男を見下ろし、アルはぼそっと呟く。



「謝ったら、許すなんて、言った、覚えは、ねえよ、ド低脳が」



 UNOでは、騙される方が悪いのだ。


 知らない人にとどめを刺し終えると、アルは俺たちに向き直る。



「……その、感謝、する。あと、ごめん」


「え?」


「感謝?」


「……私の、因縁に、巻き込んで、手間取らせたから、その謝罪。あと、私のために、怒ってくれたから、その感謝」



 彼女にしては珍しくしおらしい程度。


 そう素直に感謝されると照れくさくなってくる。


 アカツキも頬を赤くし目を泳がせて、手持ち無沙汰に金髪をくるくる。


 彼女の分も含めて、俺はアルの感謝に返答した。



「ま、まあ連中の顔とか気にいらんかっただけだし!? べ、べつにお前のためにやったんじゃないんだからねッ!」


「そのキャラ、うぜぇ」


「元に戻るのはええよお前!?」



 しおらしい態度はどこへやら、すでにアルはいつもの調子に戻り、そのどんよりとした赤目で心底うざったそうにこっちを見ている。


 まあそういう”いつもの感じ”のほうが接しやすいけどさ!


 ともかく、俺たちはそこそこムカつく知らない人たちを倒した。


 と、周りの人たちの会話が聞こえてくる。



「はい決着ゥー! 勝者はフォーハンド一行! こっちに賭けたやつはおめでとう!」


「ちっくしょう、なに10人がかりで負けてんだよあいつら! だらしねえな数の暴力!」


「信じてたぜフォーハンド! イェーイ!」



 どうやら、俺たちの喧嘩の勝敗で賭けが行われていたらしい。


 何でも賭けにしてしまうのも、UNOではよく見る光景であり、



「……ふ、ふふ。儲かった」



 胴元からシェルを受け取っているアルの姿を見るに、彼女もこっそり賭けていたっぽい。


 ちゃっかりしてんなこいつ……!


 そんなこんなでうちのスナイパーを巡るちょっとしたトラブルがあったのだが、あとでこの話をエニグマにしたところ、



「ボクもその場に居合わせたらようやく使えるようになったスーサイド・ドロイドで爆殺してたんだけどなぁ」



 とか物騒なことを言い始め、さらにペスカは、



「ウチもその場に居合わせたらそいつらスクアロのタイヤのサビにしてやれたのに……!」



 と、恐ろしいことを口にしながら悔しがっていた。


 人の首を素手で引っこ抜く女といい、人の頭にゼロ距離から大型狙撃銃の弾丸をぶち込む女といい……俺以外にまともな人はいないんですかこのパーティ!?

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[一言] おまゆう
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