表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/101

四人目 狙撃苦手なスナイパー アルファルド が なかまになった!

 仲間たちのところまで戻ると、アルファルドががっくりとうなだれていた。



「……無理、対人狙撃、専門外」



 彼女は辛そうにぽつりと呟く。



「専門外って……はっ! まさか過去になにかあって人を撃つことができないみたいなカッコいい感じのやつ!?」


「小さい的、当てられない、だけ」


「あ、そうですか。……いや人間サイズに当てられないとなるとだいぶ厳しくない?」


「私の、専門、対物狙撃」



 アルファルドは狙撃銃の銃身をふわりと撫でる。



「これ、”AMSRハイドラハウル”っていう、銃。狙撃銃だけど、射撃精度は、まあまあレベル」


「狙撃銃なのに?」


「代わりに、威力が、高い。普通の狙撃銃じゃ、重装鎧や、戦車の装甲は、貫けない。けれど、これなら、装甲ごと、ぶち抜ける。性質は、狙撃銃というより、大砲。実際、武器の分類も、キャノン系、だし」



 UNOの銃火器は、その重量によって三種類に分けられている。


 軽い銃を”ハンドガン系”、重い銃を”キャノン系”、二つの中間が”ライフル系”だ。


 これは武器性能ではなく重量による区分なので、例えば散弾ばらまくショットガンであっても重量がほどほどならライフル系に分類され、連射性能の高いマシンガンでも軽ければハンドガン系。


 ガトリングガン、ロケットランチャー、火炎放射器など、重量のある射撃武器はその性質に関わらず全てキャノン系扱いだ。


 銃火器系の技能スキルもそれぞれに対応した三種のみで、ハンドガンマスタリーを鍛えれば軽量の銃火器全てを、ライフルマスタリーを鍛えれば中量の銃火器全てを、そしてキャノンマスタリーを鍛えればガトリング砲もロケットランチャーも火炎放射器も使いこなせるようになる。


 余談だが、そんなシステムなのでガンナー系のプレイヤーはハンドガンとサブマシンガン、ショットガンとアサルトライフルなどの重量が近く性質は異なる二種以上の武器を併用し、状況に応じて使い分けるというプレイヤーが多い。


 さて、狙撃銃系統は基本的に”ほどほどの重量の武器”で、ライフル系に分類されるものがほとんどらしい。


 そのためSTRをそれほど強化する必要がなく、その分をDEXに回すことでクリティカルダメージや射撃精度が向上、スナイパーらしい必中必殺を可能とするステ振りができる。


 対して、アルの”AMSRハイドラハウル”はキャノン系、非常に重い狙撃銃。


 扱うにはSTRに多く振る必要があり、その分DEXが落ちる。


 結果、クリティカルダメージが下がるので敵の弱点を的確に撃ち抜くような運用は効果が薄い。


 射撃精度も悪いので、小さい敵を撃つには向かない。


 その代わり、当たりさえすればどんな敵でも一撃で仕留められるほどの威力を秘めている。


 その性能を活かすために大型の物体に対する狙撃を専門としてきた、だから人間のような小さな目標を狙い撃つのは苦手――というのが、アルの主張。



「私、みたいな、スナイパーを、アンチマテリアルスナイパー、って、呼ぶ。ちなみに、スキルにも”アンチマテリアルスナイパー”って、ある。大型の敵に対し、与ダメージ、アップ。私、それ、覚えてる」



 ちょっぴり得意げに語ったアルに、アカツキがドスリと言う。



「結局、小型の敵には当てられないのよね?」


「……大型以外への、命中率が、非常に、低いことは、否定しない」


「……どうする、カネツグ? 私としてはもっと腕のいい人を探した方が良いと思うけれど」


「うーん……」



 俺はアルの顔をちらりと見る。


 すごくしょんぼりしていた、見ていて可哀想になるくらいに。



「…………まあせっかく募集に乗ってくれたんだし、仲間になってもらう方向でいいんじゃないですかね?」


「……あなた、会社の人事課に配属しちゃダメな人よね。面接を受けに来た人をせっかく来て貰ったんだからで全員合格させそう」



 アカツキの言葉に、エニグマとペスカも「わかる」と頷いた。



「人を情に流されるアホみたいに言って! そ、それなりに考えがあるんだからね! ……ほら、BDRには戦車みたいな大型のビークルも出場してただろ? 対物狙撃専門でも活躍できると思うし」


「バイクとかに乗っている小型ですばしっこい相手はどうするのかしら?」


「……気合でなんとかする! この先、アル以外の対人狙撃専門スナイパーが仲間になろうと応募してきてくれるかもしれないし! スナイパー二人体制!」



 ……その後のことを言ってしまうと、結局アル以外には誰もメンバー募集に乗ってきませんでした。



「とにかく俺はアルをスナイパーとして仲間にして良いんじゃないかと思いますが構いませんねッ!?」


「……まあ、スナイパーは必要だものね」


「ボクはカネツグの判断に任せるよ」


「ウチもウチも」



 反対0。


 ならばと、俺はアルに手を差し出す。



「決まった。アル、君も今日から俺たちの仲間だ」



 真っ白い少女は、嬉しそうな顔をして俺の手を握り、



「わかった、仲間に、なってやる。ありがたく、思え」



 可愛らしい笑顔に似合わない高圧的なセリフを吐くのだった。



「……ミス、ありがとう、仲間に、いれて、くれて」


「訂正前と訂正後の落差が激しすぎる……」



 ……なんか、俺以外は変人ばっかだな、このパーティ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ