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仲間、必要じゃないですか?

「どうなっているのよこのレース!!! 滅べ!!!」



 ナイトベールのリスポーン地点――巨大なサイコロを頭上に掲げたギャンブルの女神像前で復活したアカツキは、怒りをあらわに天へと吠えていた。



「いやー様子見をしていて正解でしたなエニグマさん」


「そうですねぇカネツグさん」


「……あなたたち、もしかしてこの展開、予想してたの?」


「ルール無用とか完走者0人とか聞いた辺りでなんとなく。ここまで酷いとは思わなかったけどな」


「言ってよ……」


「気がついた上で勝算があるのかなと……お前が脳筋なことを忘れていたぜ……」


「誰が脳筋だ!? ……ああもう、全財産をつぎ込んで買ったバイクが1ミリも走らずスクラップよ。やってられないわ」



 バイク――というか乗り物全般にも、装備品などと同じく耐久値が設定されている。


 耐久値が減ると性能低下、0になったら壊れて使い物にならなくなるのも武器防具と同じ。


 修理には素材アイテムや専門スキルが必要な点も一緒だ。


 性能の良いバイクとなるとかなりの修理費がかかるだろう。



「ねえアカツキさん、修理費のこととかあるのになんで全財産を突っ込んだの?」


「……修理費のこと忘れてたのよ。普段はその辺を課金でどうにかしていたから気にしてなかったし」


「……カネツグ、もしかしてこの人」


「言わないであげてください、バカなんですこの子」


「誰がバカか! 滅ぼすわよ!?」



 俺は「まさか自分がバカじゃないと思っていたんですか!?」という想いを込めた驚愕の表情でアカツキを見た。



「その顔やめろ!」


「……さて、というわけでBDRがどういうものかこれでわかったな。どう攻略する?」


「私をスルーして話を進めないで! ……どうするも何も、勝つまで挑戦するしかないでしょう?」


「これだから脳筋は! そのたびにマシンの修理費を払っていたらお金がいくらあっても足りないでしょ!」


「むむむ」


「なにがむむむだ!」


「そもそもなんだけどさ、カネツグとアカツキさん、FDVRのレースゲーム得意?」


「苦手」


「それほど得意ではないわね……」


「かくいうボクも激しい操作が必要なのは苦手だよ。っていうかライディングマスタリーやドライビングマスタリーのスキルも取ってないし。どうする? 妨害云々以前に、そもそもボクらレース系コンテンツだと勝ち目なくない?」


「スタート地点で他の参加者を全滅させればいいのよ。それからゴールすればどれだけ遅くても1位になれるはず」


「えー? 今日の時点で参加者400人近くいるんですぜー? ムリだと思う。仮に出来たとしても、その後に外野から飛んでくる攻撃を全部回避しなきゃならないわけだし。それこそ足の早い乗り物をすっごい上手に乗りこなさないと……」


「その辺、お前のミニオンでどうにかならないか? UNOにはレース用のミニオンっているだろ、確か」


「いるにはいるけど、難しいだろうね。レース用ミニオンのAIは妨害ありのレースに対応できるようには出来てないから。一流のレーサー系プレイヤーに勝てるほど早くもないし」


「そうか……」



 やはり根本がレース系コンテンツである以上、レースに強いヤツが仲間にいないと優勝は難しいだろう。



「妨害に関しても、カネツグとアカツキさんは基本的に近接専門。遠距離攻撃でライバルをリタイアさせられる仲間が欲しいかも」


「射撃系のミニオンって色々といるだろ? それを使えば」


「今のレベルで使えるようなミニオンの戦闘力はそんなに高くないからね。射撃精度もイマイチ。素早い相手だと10体まとめて出しての飽和攻撃でようやく攻撃を当てられるかどうか、って感じだから、例えば有象無象の数を減らすくらいならできるけど……」


「特定の強敵をピンポイントで排除したりはできない、か」


「そういうのは腕の良い”スナイパー”のお仕事さ。BDRに勝とうと思ったら、狙撃手も必要だと思うよ?」


「狙撃、狙撃なぁ。できるか、アカツキ?」


「無理ね。狙って撃つのは性に合わないから」


「俺も近距離や中距離の射撃戦ならできるけど、遠距離からの正確な狙撃、となるとちょっとな」



 困った。


 考えてみてわかったが、俺たちにはBDRを攻略するのに必要な技能を持つ仲間が足りていないのだ。


 最低でも、実際にレースの参加者として走る”レーサー”と、遠距離からその走りを支援する”スナイパー”が欲しい。



「アカツキ、フレンドに協力してくれそうなレーサーかスナイパーがいたりしないか?」


「私のフレンド、あなたとエニグマさんを含めても四人しかいないし」


「友達少なっ」


「……そういうあなたはどうなのよ、フレンドの数」


「三人」


「人のこと言えないじゃない。……エニグマさんは?」


「聞いて驚けカネツグとアカツキさんしかいないぜ! 二人!」


「人脈が足りていないわね、私たち……」



 俺の経験上、フレ、というか友達は少ないに越したことはない。


 増え過ぎれば、友人同士の集まりの中にも派閥ができてしまう。


 友人同士で仲違い、仲良しグループの中で上下関係、なんて事態は当たり前。


 最悪、友人たちがある日いきなり敵になることも。


 大して親しくもない友人たちをむやみに増やすより、少数でも本当に信頼できる友人だけを選ぶべきだ。


 かつて友達百人を目指した俺が辿り着いた結論である。


 ……だから友達が少ないのはあえて! あえてそうしてるんです! ぼっちじゃないです! 信じて!


 と、脳内で誰に言うでもない言い訳をしつつ、



「……けどさ、アカツキ。レーサーに関しては」


「……ええ、アテがあると言えばその通りね」



 俺たちのフレンドリストに名前が載っている、数少ないフレンド。


 俺たちは揃って同じプレイヤーのことを考えた。


 唯一そのプレイヤーのことを知らないエニグマは、顔にはてなマークを浮かべている。



「いるのかい? 良さげな人材」


「いると言えば。協力してくれるかはわからないけどな」



 このままだとBDRに勝てそうにもない。


 そうなると、R0の攻略にも行き詰ってしまう。


 ……話してみるか、ダメ元で。


 俺はフレンドリストを開き、そいつの所在地を確認する。

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