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うちの仲間おかしい人ばっか! ~首狩りホラーゲーマーは変人だらけの仲間たちと気楽に楽しくゲームを遊ぶ!~  作者: 川里モノ
第一章:無課金勢は宿敵の金ピカ脳筋女騎士にお金をかけずとも勝てますか?
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★解説のアカツキさん。

「「「虫が平気な人だとッ!?」」」



 賭けの参加者たちがざわついていた。


 ドローンアイのマイクが拾った音声で、彼らもカネツグの力を知ることとなったのだ。


 そう、カネツグは――私の幼馴染・八坂兼続やさかかねつぐは、限定的だが虫が平気な人である。


 うさんくさい男が私に問うてきた。



「き、騎士の姉ちゃんは知っていたんだな? ニンジャの兄ちゃんが、虫が平気な人だって」


「ええ。だってカネツグは、ホラーゲーマーだから」


「「「ホラーゲーマーだってッ!?」」」



 またもや信じられんと、賭けの参加者たちが揃って声をあげる。


 FDVR技術が一般に普及してからすでに10年以上。


 この年月の間に発売されたFDVRゲームは、UNOのようなMMOのみではない。


 一人プレイ用のRPGやアクション、レースゲーム、恋愛SLGなど、実に様々なジャンルのゲームが発売されている。


 その中にはホラーゲームも含まれているのだが、しかし、その作品数は極端に少ない。


 なぜなら、ホラーとFDVR技術との相性が良すぎたからだ。


 ホラーゲームとは、現実では味わえない恐怖を楽しむゲームである。


 恐怖を体験する上で、ゲーム内の登場人物を自分の身体として操作するFDVRは非常に相性が良い。


 プレイヤーが画面上のキャラクターを手にしたコントローラーで操作するという昔ながらのゲームの場合、バケモノに襲われるのはあくまで画面の向こうのキャラクター。


 言ってしまえば、プレイヤーは自分のキャラが襲われるのを安全な場所から見ているだけだ。


 しかしFDVRでは、バケモノに襲われるのはプレイヤー自身の五感を宿したキャラクター。


 だから、プレイヤーは自分自身が恐ろしい存在に追われているかのような”本当の恐怖”を味わえる。


 本当に相性が良い。


 あまりに良すぎた。


 FDVRのホラーゲームは、怖すぎたのだ。


 あまりに怖すぎて、一般のプレイヤーどころかヘビーなホラーゲーマーすらも耐えられず、そのジャンルから離れて行ってしまうほどに。


 恐怖を楽しむゲームである以上、怖ければ怖いほど良質なホラーゲームである。


 けれど、怖くすれば怖くするほどプレイヤーが減っていく。


 かといって、怖くないホラーゲームなど誰も買わない。


 恐怖を追求しても、恐怖を加減しても客が減るというジレンマに陥った結果、ホラーゲームというジャンルは開発者もユーザーも数を減らし、急速に廃れていった。


 残ったのは、ホラーゲームへの熱い情熱を胸に秘める開発者が、とんでもなくコアなホラーゲーマーに向けて作った、それはもう尖りに尖った恐ろしさの作品のみである。


 それらのゲームは恐怖を追求するため、敵に触れたら即死するほどプレイヤーが弱い、歩いているだけで心臓に悪いトラップが発動し死ぬ、攻撃手段はあったとしてもナイフや弾数の限られた拳銃程度など、非常に高難易度な作りになっている場合がほとんど。


 カネツグはそんな異常に恐ろしく異常に高難度なゲームを愛好し、ついには恐怖を恐怖と感じないくらいに感覚が麻痺してしまった、いまや絶滅危惧種のホラーゲーマーなのである。


 人々の驚愕の声は、そんな希少な存在を目撃した驚きから発せられたものだ。


 と、うさんくさい男が首を傾げた。



「ん? ホラーゲームって、幽霊とか相手にするやつだろ? なんでそれが虫への耐性に繋がるんだ?」


「それは――」



 私が解説する前に、ドローンアイのマイクが拾ったカネツグとベルゼブの会話が、その謎を解き明かし始める。



『キサマ、どこでその力を身に着けた!? FDVRで巨大な黒いアレに飛びかかられる時の強烈な精神ダメージ、リアルで害虫駆除業者をやっているような人々ですら耐えきれる者は少ないのだぞ!?』


『フッ、簡単なことだ。俺は――ホラーゲーマーだからな』


『ホラーゲーマー!? 実在していたのか!?』


『人をツチノコかなんかだと思っていませんか?』


『……いや待て、ホラーゲームとは怪異を相手にするゲームだろう? それを遊んで、なぜ虫が平気な人になれる?』


『フッ、教えてやろう。ホラーゲームってのは、人間の嫌なもの、怖がるものを積極的に登場させるジャンルだ。幽霊、ゾンビ、バケモノ、国税局……』


『国税局!?』


『ああ、脱税した社長になって迫りくる国税局から逃げるゲームがあるんだよ。いや、それはどうでもいいか。で、人が恐怖するものには虫も含まれる。ちょうど――』



 カネツグは、自らの周囲で蠢く虫を顎で指す。



『――こういう異常にデカくてキモい虫の群れとかな。つまり、ホラーゲームじゃこの程度の状況は日常茶飯事。いや、違うな』



 ニヤリと、カネツグが不気味に笑ったと思ったら、次の瞬間、その姿が画面上からかき消える。


 あまりに素早く動いたせいで、ドローンアイのカメラの追尾が間に合わなかったのだ。


 次にドローンアイがカネツグの姿を捉えた時、その全身はなんかデロっとした変な色の汁で汚れていた。


 その周囲には踏み潰されたり、握り潰されたり、斬り殺されたりしたのであろう、虫たちの無残な死骸が転がっている。



『やめろキサマ!? 我が邪悪なる昏きレギオンたちを!?』


『きみ虫軍団の呼び名のバリエーションが多彩すぎない? ……そう、ここにいる虫の群れは、俺が相手にしてきたホラーゲームのそれと比べて脆弱すぎる。当然だ、群虫アグロに適しているとされる虫系ミニオンの多くは、UNOにおいて最弱クラスの連中。その能力はレベル1のプレイヤーでも苦もなく倒せるような、まさに虫けらレベル。精神ダメージがなければ、この場に蠢く黒いヤツらなんてただのザコオブザコエネミー』



 対して、と。



『俺が今まで相手にしてきたホラーゲームの虫系クリーチャーは、精神ダメージも戦闘力もここのザコとは比べ物にならない強豪ばかりだ。UNOのものよりもアレな質感の黒いヤツが、一体一体が単独でプレイヤーのHPをごっそりかじり取っていくほどの戦闘力を有するバケモノが、床や天井をびっしり埋め尽くすほどの数で襲いかかってくるんだ。俺はそんな地獄をノーダメージクリアのタイムアタックをやる程度にはやり込んできた男だぞ?』



 自らのゲーム歴を主張した後、カネツグはこう締めくくる。



『俺にとってはこの程度の群虫アグロ、ぬるくてやってられないレベルなのさ! この100倍は連れてこいって感じ!』



 画面越しに話を聞いていた人々は、声を揃えてこう言った。



「「「ホラーゲーマーすげぇ……」」」



 種明かしが終われば、私がカネツグの勝利を確信し、攻略成功に全財産をベットした理由については語る必要もないだろう。


 カネツグに群虫アグロは効かない。


 カネツグは虫の群れなんかに負けるほど――私ほど、弱くはない。


 そして、カネツグは並のプレイヤーなら容易く倒せるくらいの実力を持っている。


 あいつは強い。


 真っ当な手段では追いつけないほどに。


 だから私は、なんとしてもあいつに勝てるようになりたいんだ……!

TIPS:ホラーゲーム

本文中で説明した通り、恐怖を楽しむゲーム。

いきなり怪物がバーン! と登場して驚かせてくる作品もあれば、不気味な存在がじわじわと迫ってくるじっとり怖い作品もある。


VRでやるとマジで怖い。

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[気になる点] 国税局から逃げるゲーム…果たしてそれはホラゲーなのだろうか
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