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うちの仲間おかしい人ばっか! ~首狩りホラーゲーマーは変人だらけの仲間たちと気楽に楽しくゲームを遊ぶ!~  作者: 川里モノ
第一章:無課金勢は宿敵の金ピカ脳筋女騎士にお金をかけずとも勝てますか?
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★屈辱のアカツキさん(くっころではない)。

 カネツグと最悪のタイミングで遭遇してしまった。


 まさか負けた直後の姿を見られるなんて。


 屈辱だ。


 この苛立ちを発散しようと、私はこの世界での私――金髪の騎士・アカツキの右腕で、その辺の木をぶん殴った。


 殴られた木はバキリとへし折れる。


 ……そうだった、STRに極振りしているこのアバターは、木の一本や二本は殴っただけで破壊できてしまうのだった。


 無駄なオブジェクト破壊にちょっとだけ罪悪感を覚えつつ、しかし、苛立ちは消えない。


 最悪ついでにもう一つ最悪なことがある。


 カネツグは、この廃坑道を封鎖する敵に容易く勝利するだろう。


 また私の負けになる。


 またあいつとの差が開いてしまう。


 最悪の最悪。


 憂鬱な気持ちのまま、廃坑道前のキャンプ地をふらふらと歩く。


 と、やたら賑わっている集団が目に入った。



「次のチャレンジャーはサイバーニンジャの兄ちゃんだ! どうする? どっちに賭ける?」


「攻略失敗に1万シェルだ!」


「攻略失敗に5000」


「攻略失敗に1000シェルと俺の魂を賭けるぜ!」



 何をしているのかと近づくと、集団の中心にいる胡散臭い雰囲気の男が声をかけてきた。



「おう、フォーハンドの姉ちゃん!」


「その呼び方はやめてください。恥ずかしいから」


「そうかい? それなら騎士の姉ちゃん! アンタのおかげで稼がせて貰ったぜ!」


「稼ぐ?」



 首を傾げる私に、胡散臭い男は解説しだす。



「賭けをやってるのさ、廃坑道に突っ込むプレイヤーが突破に成功するか否かでな! で、さっきはあの恐れ知らずのフォーハンドならば突破できるかもと、成功に賭けたヤツが多かった! 結果は失敗、よって賭け金が俺の懐にどっさりって寸法よ!」


「勝手に賭けの対象にしないでください」



 しかも負けたことを喜ばれるなんて。


 ムカつく。


 こちらが気分を害したと悟って、男は少しだけ申し訳なさそうにする。



「わりぃわりぃ。お詫びってわけでもないが、騎士の姉ちゃんも賭けてみないかい? 手数料はサービスするぜ?」


「……賭けの対象は、カネツグ?」


「カネツグ……? ああ、あのニンジャの兄ちゃんのことか」



 男は手にしていた板状の端末、タブレットPCのような見た目のアイテムを覗き込む。


 確か、ドローンアイから送られてくる映像を画面に映す機能を持ったアイテムだ。


 通常は持ち主しか見ることの出来ないドローンアイの視界も、それを利用すれば複数人で共有できる。


 恐らく、男は自分のドローンアイを使って廃坑道に入ったプレイヤーの様子を撮影しているのだろう。


 覗いてみれば、たいまつを片手に闇の中を進むカネツグの背中が映っていた。



「このニンジャの兄ちゃん、知り合いなのかい?」


「ええ」


「なら、この兄ちゃんの実力もわかってるだろう? 賭けるにちょっと有利だぜ? ユー、賭けてっちゃいなヨ!」



 少し考える。


 正直、だいぶお金に困っていた。


 理由の一つは、普段の私のプレイスタイルに起因するもの。


 普段の私は強い装備の入手から、何かと不足するゲーム内通貨”シェル”の調達まで、何事も課金によって解決してきた。


 そのため効率的な金策の知識を持っていない。


 収入が少ないのだ。


 そしてもう一つ、私には今の装備を揃えた際の借金がある。


 R0には外からアイテムなどを持ち込めない。


 所持金だって同様だ。


 R0に来た時点では、全てのプレイヤーは一文無し。


 これでは最初の町で最低限の装備を整えることも出来ないが、それに対する救済策が借金によるアイテムの購入。


 R0最初の町・アレイスにある店舗では、無一文のプレイヤーにもツケでアイテムを売ってくれるのだ。


 私はこのシステムを利用して装備を整えた。


 それも、アレイスに二軒ある武具屋の高級な方の店で。


 一番良い装備を買ったので、今の私にはかなりのゲーム内借金がある。


 精神衛生上、早く返済したいのだが、現状の収支だとどれくらいの時間がかかるかわからない。


 何かで一気にシェルを稼いでおきたかった。



「……いいわ。賭けます」


「そうこなくっちゃ! んじゃ、どっちに賭ける? ニンジャの兄ちゃんの攻略成功か、失敗か。いまんとこ、失敗に賭けるヤツの方が大多数だ。だから成功に賭けてその通りになったらガッポリだぜ」


「成功に賭けます」



 男の言葉に乗せられたのではない。


 私は私なりに、そうなると思う方にベットする。


 誰もカネツグが攻略成功すると思っていないのだろう、周囲の人々がどよめいた。



「おっ! いいねぇ大穴狙い! さすが名高いフォーハンド!」


「その呼び方はやめてください」


「おっと失礼。それじゃあ騎士の姉ちゃん、いくら賭ける? 今のオッズなら端金を賭けても大富豪だぜ」


「37万8759シェル」


「オーケー、37万……37万!?」


「はい」



 この辺りの金策効率だと、37万8759――四捨五入して38万シェルは、ギャンブルに費やすのが無謀と言えるほどの大金だ。


 敵をひたすら倒したり、襲ってきたプレイヤーを返り討ちにしたりして稼いだ私の全財産である。



「い、良いのかい、騎士の姉ちゃん? 考え直すなら今のうちだぜ?」


「構いません。はい、賭け金」



 私はトレード機能を利用し、胡散臭い男に全財産を預けた。



「ま、まいどあり」



 困惑する人々の視線を受け流して、私は近くに転がっていた丸太に腰を落ち着ける。


 あとは待つだけだ、カネツグが確定している勝利を手にするのを。



「……あいつが私の先を行くのを、黙って見ていることしかできないなんて」



 不本意だ、と、小声で呟きつつ。

TIPS:くっころ

「くっ、ころせ!」の略。

下賤の輩に捕まった高潔な人物が「生き恥をさらすよりは」と死を選ぼうとするシチュエーションをくっころシチュと呼んだりする。


このセリフを言った人物がマジで殺されるところを見たことがないので、ある意味では生存フラグ。

死んだほうがマシな目にあってたりするけど。

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