表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちの仲間おかしい人ばっか! ~首狩りホラーゲーマーは変人だらけの仲間たちと気楽に楽しくゲームを遊ぶ!~  作者: 川里モノ
第一章:無課金勢は宿敵の金ピカ脳筋女騎士にお金をかけずとも勝てますか?
17/101

早くも登場する最強の敵! ……の、情報。

 ゲーマーとして、学校から帰ったらゲームを遊ばねば無作法というもの。


 今日も元気にやたらカオスな仮想世界へ。


 UNOにログインすると、プレイヤーは現在登録しているリスポーン地点からゲームに復帰する。


 俺の場合は土曜日に設定した通り、アレイスの町の中央広場、初代市長の銅像前。


 賞金一億円の最速攻略レース”MBF”真っ只中のワールドは、平日の夜も大賑わいだ。


 次々とログインしてくる他のプレイヤーの邪魔にならないよう、リスポーン地点から少し離れて広場の端っこへ。


 メニュー画面を呼び出し、指先で操作、三人分の名前しかないフレンドリストを表示させた。


 フレンドリストでは、フレンド登録しているプレイヤーの現在位置やログイン状況を確認できるのだが、



「エニグマは……まだログインしていないか」



 エニグマの名前の横にはオフラインと表示されている。


 まだゲームにログインしていないということだ。


 今日は来ない可能性もある。


 エニグマとはすでに三年の付き合いになるが、あいつは一日も欠かさずログインするというタイプではなく、来ない時は来ない。


 リアルの事情とか、色々とあるのだろう。


 俺だって365日、休まずUNOにログインしている、というわけでもないし。


 無理せず遊ぶのがオンラインゲームを長く楽しむコツなのだ。


 ひとまず今日はソロで動こう。


 とは言っても、何をするか。



「レベル上げは少し詰まり気味だしな……」



 普段からゲームをやる人ならわかると思うが、効率的にレベルを上げるには、身の丈にあった敵を狩ることが重要である。


 ゲームにおいてキャラのレベルというのは、高レベルになるほど上がりにくくなるのが一般的。


 レベル1から2に上げるために必要な経験値は100だが、レベル2から3にするため必要な経験値は120、といった具合に、レベルアップに必要な経験値はどんどん増えていくのだ。


 倒すと10の経験値を落とす”弱い敵”がいるとして、低レベル帯ならそいつを狩り続けるだけでもあっさりとレベルアップできるだろう。


 しかし、レベルアップに必要な経験値が10万とか100万とかになる高レベル帯でもまだその敵を狩り続けるというのは非効率的。


 レベルが上がってきたら上昇した能力を生かし、倒すと5千とか1万の経験値を落とす”強い敵”を狩った方が効率よく強くなれる。


 だから、強くなったら敵が強い土地へ行き、身の丈にあった敵を狩るべきなのだ。


 さて、土日を費やしたレベル上げの甲斐もあり、現在の俺のレベルは15になっている。


 カタナマスタリーと、重量の軽い装備を身に着けての戦闘熟練度を示す軽装マスタリー、ついでに俺の戦術において切り札の役割を果たす”とあるスキル”も習得できた。


 もうアレイス周辺のザコ敵にはどうやっても負けないくらいの強さだ。


 この辺のザコ敵が落とす経験値では物足りなくなって来たし、そろそろ強い敵を求めて次の土地へ向かうべき時期。


 ここで必要になるのは情報だ。


 だって次の町がどこにあるかわからないんですもの。


 その辺はNPCとの会話や他プレイヤーとの交流で情報を得るしか無い。


 やるべきことを設定した俺は、さっそく情報を得るため手近なNPCと会話しようと――、



「く、くそう! あの野郎めがぁ~!」



 ふと、苛立たしげな怒鳴り声が聞こえてきた。


 なにごと?


 声のした方を見ると、プレイヤーたちが集まってなにやらざわざわやっている。


 気になって近づくと、集団の中心にはモヒカンたちがいた。


 俺がこの地で初めて戦った敵、ギルド”グロリアス・フリューゲル”の皆さんだ。


 周りのモヒカンより一回り大きいモヒカン”モヒカンキング”が、青ざめた顔で頭を抱えている。



「まさか俺たち以外にも封鎖戦術を思いつくヤツがいるとは……! しかもあれはレベルを上げて突破できるようなものではない! どうすれば……!」



 なにやら気になることを言っている。


 俺はプレイヤーの囲いをかきわけて、モヒカンキングに声をかけた。



「あのー」


「ん? ……ゲェー!? キサマはあのクソ強新参プレイヤー!?」


「一昨日はどうも。なんかあったんですか?」


「……むぅ。キサマ、アンセリス廃坑道を知っているか?」


「初耳」


「この町の北にあるダンジョン……というか道である。これを見ろ」



 モヒカンキングはインベントリから一枚の紙を取り出し、その場に広げる。


 黄ばんだ紙にアレイス周辺の地理が描かれた、中世ファンタジーを感じさせるデザインの地図。



「ここがアレイス、北にあるのが次の町”西京さいきょう”だ。見ての通り、アレイスと西京の間には山がある。山を越えるか、山を迂回しなければ、西京に辿り着けんというわけだ」


「なるほど」


「しかし、山を登るにしろ迂回するにしろ、道中に出現する敵はレベル30程度のプレイヤーでようやく相手ができるような強さだ。対して、アレイスから西京を目指すプレイヤーはおおむねレベル20以下」


「レベル20以下のプレイヤーがレベル30以上のエネミーを突破しなきゃならないのか。厳しくない?」


「どうやら山越えも迂回も正規ルートではないらしい。この山にはアンセリス廃坑道という洞窟系のダンジョンがあってな。そこが北と南を繋ぐ通路となっているようなのだ。そしてここに出現する敵の強さはレベル10前後のプレイヤーでも倒せる程度」


「つまりダンジョンを攻略して北へ、というのが、想定されている正規ルートか……」


「うむ。逆に言えば、ここが通れなくなるとプレイヤーは西京へ行くのが困難になる。そしてこの場所を封鎖した輩がおるのだ。我々が宇宙船からアレイスまでの道を封鎖したようにな」


「そういえばもう封鎖やめたの?」


「ああ、次から次にプレイヤーは入ってくるからキリがないし、何より飽きたのでな」


「飽きたって」


「どんなに理に適った行動であろうと飽きたら終わりだゲームだし! ぐぅははははぁ~!」


「ゲームを楽しんでいるようで何よりです。……しかしそうか、封鎖されているのか、困ったな。俺も次の町に行こうと思っていたんだけど、高レベルプレイヤーが塞いでいるとなると厳しいかな」


「む? 廃坑道を封鎖しているヤツは高レベルではないぞ。レベルは10前後だ」


「普通すぎる……。え、なんでそんな強さの敵に通せんぼされてるの? めちゃくちゃ人数が多いとか?」


「プレイヤーの数自体はたった一人だ、我々グロリアス・フリューゲル総勢88人に比べればカスである」


「いまモヒカン集団が88人もいることに驚いているよ。……人数もレベルも普通の相手が、どうやって他のプレイヤーを追い返しているんだ?」


「それは……」



 モヒカンキングがガタガタと震え始めた。


 同様に他のモヒカンたち、また周囲のプレイヤーの中にも怯えた様子を見せる者が続出する。



「こ、言葉で解説することすら恐ろしい……」


「そんなにヤバいの!?」


「キサマも体験すればわかるだろう……オススメはせんがな……」


「よし、行こう!」


「話、聞いてました?」


「聞いてた聞いてた。おかげで好奇心がツンツン刺激された。怖いもの見たさというやつ?」


「く、ぐぅふふふぅ~! いい度胸だ! あの地獄を見て後悔するが良い! 警告はしたぞ!」


「フッ! 地獄なんて見慣れているのさ! 情報サンキュー!」


「ぐははどういたしましてだキサマ!」



 こうして情報を得た俺は、準備を整えて北へ――件のアンセリス廃坑道へと向かう。

TIPS:最強の敵

もっとも強い敵。

ゲームではラスボス、あるいはラスボス撃破後に戦える隠しボスなどがこのポジションにいるケースが多い。


……え? こんな序盤から最強の敵を出すんですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ