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朝食

朝の攻防を終えたジュリアスとネーナは、リビングで一緒に朝食を食べる。

椅子もテーブルもあるというのに、2人共なぜか床に座り込んでだが。


「今日の飯も美味いな!流石はネーナだ!」

ネーナが用意したサンドイッチをバクバク食べながらジュリアスは幸せそうに言う。


「いえ。大佐にお喜び頂けて嬉しいです!」

ネーナもその言葉通り心底嬉しそうな笑みを浮かべた。


なぜ2人が床で食事をしているかと言うと、発端は奴隷のマナーにある。

奴隷はたとえテーブルがあろうと床に座って食べるのが常識であった。その事をネーナは、2歳から9歳までの7年間を過ごした奴隷養成所にて徹底に刷り込まれていた。

しかし主人であるジュリアスは、彼女だけ床で食べさせるのを良しとはせず、一緒にテーブルで食べようと提案するも、断固拒否されてしまったため、折衷案として2人一緒に床で食事を取る事になったのだ。


「ネーナ、ちゃんと食べてるか?俺に遠慮しなくて良いんだから、どんどん食べなきゃダメだぞ。ネーナも育ち盛りなんだからな!」

そう言って無邪気に笑うジュリアス。


「は、はい」

やや引き攣った笑みで答えるネーナ。


確かに大きな皿の上にネーナは計10個のサンドイッチを用意していた。その中で今残っているのが3個。ジュリアスが食べた数が5個で、ネーナが2個だった。確かに食べている量はジュリアスの方が多いが、これは何もネーナがジュリアスに遠慮をしたからではない。単純にネーナのお腹はもうある程度満たされていたのだ。そもそもネーナが10個ものサンドイッチを用意したのは食いしん坊のジュリアスのためなのだから。


しかし、大佐がせっかくお気を遣って下さるのに、それを無碍にするわけにはいきませんと、ネーナは自分の胃袋を叱咤して新たなサンドイッチに手を付けた。


そして、最後の1個をジュリアスがペロリと食した所で、ネーナに話し掛ける。

「いや~。ネーナは本当に料理上手だな。ネーナに来てもらえて本当に良かったよ。ここにどのくらいになるっけ?」


「えぇと、そろそろ2年ですね。私が奴隷市どれいいちでヴァレンティア伯爵に買って頂いたのが9歳の時ですので」


ヴァレンティア伯爵というのは、ジュリアスが騎士ナイトとして仕えている帝国の名門貴族の1人だった。ジュリアスが帝国軍にて武功を挙げて中佐に昇進した際に、その祝いとしてヴァレンティア伯爵がネーナを購入し、ジュリアスに下賜したのだ。


「最初、伯爵がネーナを連れてきた時は、正直どうなっちゃうんだろうと不安に思ってたけど。今は伯爵には感謝してる。それにネーナにもな」


大貴族なら奴隷を大勢抱える家は多いが、長い戦争で経済的に困窮する平民階級の者は多く、奴隷を養う余裕のある家はそうそういない。

それは準貴族たる騎士ナイトも同じだ。そもそも、今の騎士ナイトは貴族が何らかの功績を立てた平民に報奨金を出すのを渋った末にとりあえず名誉だけ与えてお茶を濁そうという貴族が大勢現れ、騎士ナイトという階級そのものの地位を大きく下げてしまう結果をもたらした。そのため、ジュリアスのシザーランド家も暮らしぶりは平民と大差無い。いや17歳のジュリアスが既に天涯孤独の身として1人で家を維持しているため、平民の一般家庭にも劣るかもしれない。


「私も大佐ような方がご主人様になって下さって本当に良かったと思っています!大佐にはいつも良くして頂いて、感謝してもし切れません!」

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