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状況把握

あらすじ:魔王に異世界に飛ばされた

 気がつくと俺は、木に囲まれた大きな遺跡のような場所にいた。

 

「どこだ此処……」


 魔王を倒すために世界中の遺跡を周ったが、こんな場所には覚えがない。見落としの可能性も考えたが、このサイズの遺跡を見落とすのは考えにくい。


(じゃあ此処はどこだ? 俺の知らない遺跡? いや無いな……)


 魔王に飛ばされる前のことを思い出すと。魔王のセリフが思い浮かぶ。


「別の世界に飛ばす……? いやいやいや、そっちの方が有り得ないだろ」


 俺は浮かんだ可能性を速攻で否定する。

 異世界なんてものは存在しない。しているはずがない。これが一般的な常識だ。

 じゃあ此処はどこだ。世界中の遺跡は全て周り、このサイズの遺跡の見落としは無いと、俺には絶対的な自信がある。

 じゃあ此処は本当に……?


「い、いやいや……そんな馬鹿な……」


 これは早急に異世界では無いと証明しないと、俺の理性が持たない。

 証明するためには、俺の世界と違う部分を探す必要がある。しかし周りには木と瓦礫しか見つからない。


「こ、此処は異世界じゃ無いイセカイジャナイイセカイジャ……」


 俺は現実逃避するために所持品を確かめる。

 鞄をひっくり返すと出てくるものは、地図に、空き瓶に、寝袋に、生活用品などが入っており、今使えそうなものといえば、ふて寝用の寝袋くらいなものだ。


(ろくなもん入ってないし……ふて寝しようかな……)


 俺は若干思考停止しながら鞄の中を見ると、ひっくり返しても飛び出さないように固定されている、中身の入った瓶を見つけた。

 

「これは……エリクサーか!」


 魔王との戦いで、魔力を消費していた今の俺には非常にありがたいものだ。


(流石に知らん場所で魔力が少ないのは不安すぎるし、飲むか!)


 消費していると言っても、まだ魔力は半分ほど残ってはいるのだが、俺は貴重なエリクサーを一気に飲み干し、魔力を全回復する。

 魔力は回復したが、状況は一歩も進展していない。


(とりあえず……索敵でもするか)


 俺は探知魔法で、俺の周りの生物、罠等を探す。その結果、俺は2つの事が把握できた。

 

 まず、小さな魔力が4つ固まって動いていて、その魔力の少し後ろを大きな魔力が追いかけている。これはきっと魔物に追われているのだろう。

 しかし申し訳ないが、俺に重要な情報はもう1つの情報だ。

 探知魔法で感じた魔力は、俺の知っている魔力じゃなかった。どんな生物だろうと持っている魔力は同じだ。しかし、知らない魔力を感じたということは、思いつく原因は1つしか無い。


「マジで異世界じゃん……」


 俺は有り得ない現実を突きつけられ肩を落とす。

 だが落ち込んでも居られない。いつまでも此処に居ても状況は良くなるはずもないし、俺の探知できた範囲で人が魔物に追われている。これは見逃せない。


 

「あー! くそったれ! こうなりゃ開き直るしかねぇ!」


 俺は異世界に飛ばされた事を考えないようにして、自己強化魔法を全力で使い、探知した魔力を追う。

 視界に入ったのは、木に背を向け子供を守っている老人と、5メートル程ありそうな魔物の姿だ。

 俺は両者の間に割り込みつつ、魔法陣を描く。

 俺の魔力の10%を使い、全力で魔法を構築する。


(これで通用しなかったら無理だ!)


 俺の世界の魔王はあまり強くなかったから全力で魔法を使っていなかった。しかしこの魔物は未知の魔物だ。これを耐えたとしたら、この魔物は俺の世界の魔王に匹敵、もしくはそれ以上に強いことになる。


 魔物が飛び掛かってくると同時に魔法が完成し、放つ。

 選んだ魔法は爆風を放つ単純な魔法。しかし、込めた魔力量が異常に多いので、狂った規模の爆発となった。

 爆音とともに、前方の景色が消し飛び、大きなクレーターが出来上がっていた。


「ふぅ……なんとか通用してよかったよ」


 俺は肩の力を抜き、後ろを振り向くと、新たな魔物を見るような目で見ている子供と目が合った。

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