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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

短編小説

夏好きと冬好きと

作者: 半信半疑
掲載日:2018/05/28

「え? なに?」

「だーかーらー。あんたは夏と冬、どっちが好きなのって聞いてるのー」


 夏と冬か…。


「冬だね」

「なんで?」

「なんでってそりゃあ、冬はぬくぬくできるだろう?」

「ぬくぬく?」

「こたつだよ」

「あーね」


 冷えた足をつっこんで、ぬくぬくと温まる。

 みかん(アイスでも可)でも食べながら、だらだらとテレビを見る。

 最高の過ごし方だろ?

 うちのタマも、気づけば中で丸くなってるぞ。


「お前はどっちなの?」

「あたし? あたしはねー、夏」

「ほーん、なんで?」

「なんでってそりゃあ、夏は楽しいことがいっぱいじゃん」

「楽しいこと?」


 そんなんあったっけ?


「お祭りとかキャンプとか、そのたモロモロ!」

「あぁ、そういう…」


 オレはいつも、冷房の効いた部屋にいたわ。


「真夏の外って、もはや灼熱地獄だぞ」

「知ってる。ゆらめいてるもん」


 体を揺らしてるが、それはもしかして、陽炎を表現してるのか?

 そうかい、暑さは実感してるのかい。


「ならどうして?」

「家にこもっていても楽しくないでしょ?」

「それは違う、全然違う」


 家の中でも楽しく過ごせるぞ。


「動画見たりゲームしたりとか…色々やれるし」

「それはいつでもできるじゃん」

「うーむ…」


 そう言われると、その通りなんだけど…。


「夏は情熱的で、開放的な季節なんだよ。」

「お前はいつも解放してるじゃん。足とか胸元とか」

「あーっ、やーらしぃーんだーやらしんだー」


 子どもかよ。別にいいだろ…。


「いつもそんなとこばっかり見てるんでしょ」

「違わい」


 即答した。


「違わなくない?」

「違わなくなくない」

「事の真偽は後で判断するとして。実際問題、どうしてそんなに夏が嫌いなの?」

「嫌いとは言ってない」

「嘘。言葉では誤魔化せても、顔は正直だよ」

「…そんなに?」

「うん」


 マジかよ。ポーカーフェイスには自信あったのに。


「まぁ、たしかに、オレは夏が嫌いだ」

「言葉も正直になったね」

「暑いとほら、思考が鈍るじゃん」

「うん、ついついぼーっとなるね」

「だろう? あれが嫌なんだよ」


 考え事しなくちゃならないのに、一向に捗らない状況。

 うむ、エターナル思考放棄を実行したくなる。

 冬ならば、逆に研ぎ澄まされていくのにな。


「うーん? ちょっと真実から遠ざかった?」

「どういう意味?」

「嘘ついてるわけじゃないけど、それが一番の理由ってわけでもない感じ?」

「どうしてそう思うんだ?」

「勘」


 ドヤ顔がうざい。


「あんたと一緒に過ごしてきたあたしの、勘」


 何だよ、ちょっと照れるじゃないか。


「そうだな…、そうかもしれない」

「多分ね、あたしが思うに、あんたは内罰的なの」

「内罰的だと夏が嫌いになるのか?」

「自分を責める気持ちが強すぎて、開放的な気分になることを禁じてるのかも」


 そうかね?


「もしくは…卑屈すぎるせい。あんたリア充嫌いでしょ?」


 嫌いだけど、


「リア充と夏嫌いにどんな関係が?」

「夏にキャンプとかするのは、大抵リア充だと思ってない?」


 思ってる。馬鹿みたいにはしゃいでる奴らを見ると、軽く殺意が湧く。


「あんたは普段から家にこもりがちだし、思考や性格も暗くなってるから、反対の人生を歩んでるリア充に負の感情を持ってるのよ」

「………」

「人はそんなに賢くないよ。あんたももう少し馬鹿になりな」

「お前も馬鹿なのか?」

「そうよ、あたしも馬鹿よ」


 ニカッという擬音語が聞こえてきそうな、笑顔が眩しい。


「…今年の夏は、どこかへ旅行に行ってみようか」

「ほうほう、いいねいいね。そうしよう」

「おい、そのうざったい顔をやめろ」

「えぇ~? 普通の顔でしょ~?」


 一瞬で鬱陶しい顔に変化しやがって。

 オレは深くツッコまれる前に、別の方向へと口を開いた。


「んで、今まで黙って聞いてきたあんたは、夏と冬のどっちが好きなんだい?」

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