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姫君と犬  作者: 狗山黒
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平凡は素敵だ!

俺には三つ上の兄がいる。ある一点を除けば平凡を絵に描いたような兄だ。

 そのある一点とは、ある一定の確率で変人を引き寄せやすいことである。それも同い年の変人を引き寄せやすかった。

 そんな兄は大学に行くために家を出る前、俺にありがたいお言葉を残していってくれた。

 「変な奴には気をつけろよ」

 しかし、時既に遅し、後の祭りだった。

 なぜ兄が惨状に気付かなかったかといえば、年のせいだ。兄がぼけていたとかそういう話ではない。三つ差では小学校以来一緒にはならない、浪人しなければ。どちらも小学校の頃は変人には気づかなかったから、兄は俺が手遅れだと知らないのだ。

 俺は兄にそっくりだ。苦手科目は違うがどっちも文系だし、顔や声は勿論、身長や体重も似たり寄ったりだ。何より二人とも平凡なのだ。成績は中間、運動神経もまあまあ。特別嫌われてるわけでも、特別好かれるわけでもなく、そこそこ友達がいる。取り柄がまるでないわけではないし、とんでもない欠陥もない。

 ここまでくればお分かりだろうが、才能もそっくりだった。そう、同い年の変人を一定の割合で引き寄せる、あの忌々しい才能。

 おかげで俺には小学校からずっと一緒の変人がいる。一緒とはいっても友達や幼馴染なわけじゃない。しかしかれこれ九年以上一緒になるので、嫌でも「仲いいだろう」という目で見られる。

 はっきり言うが、俺は彼女とは仲良くない。迷惑とまでは言わないが、仲良くなった覚えもあちらから好かれている覚えもない。

何より生きる世界が違い過ぎる。俺はせいぜい中流家庭の次男、あちらは公立学校にいるのが不思議なくらい金持ちの家の一人娘だ。仲良くなるはずがない。

彼女を見ていると、本当に普通の家で普通に育てられてよかったなと思う。おそらく、この先も大きな問題を抱えることなく、可もなく不可もなく人生を送り続けることができるのだ。刺激がないと言うかもしれないが、当たり前で自然なことが一番幸せなのだ。彼女を見ていると日常の大切さをかみしめることができる。

まったくもって

「平凡は素敵だ!」

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