八話 不思議
今回は日常のはずだった。
あの決闘以来、星熊さんとはライバルになった。そして親友に。
親友という言葉の意味を聞いた時、少し泣いてしまった。
でも私はちょっと不満だった、最初の親友は迅が良かったから。肝心の迅に
それを迅に伝えると少し困った顔をして『じゃあ考えといてやるよ』と言ってきたので、答えが来るのが楽しみだ。
そして今日、迅から話があると言ってきた。私は断る理由もないのでわかったと返事をした。
迅「悪いね急に」
麻代花「別にいいよ、で何かな?」
迅「この近くに都があるのは知ってるね?」
麻代花「うん、前に聞いたことならあるよ」
迅「そこに行ってほしいんだ」
麻代花「え?」
迅「少しは人間に触れ合ってほしいんだ」
麻代花「えっと……」
迅「頼む。人間が嫌いなのは分かるが、少しでいいんだ」
麻代花「うん、わかった」
迅「本当か!?」
麻代花「驚き過ぎだよ、本当」
迅「都前まで案内する、帰りはこの札に妖力を当てれば札に引っ張られる」
麻代花「へぇ、すごいね」
迅「都の中では絶対に使うなよ」
麻代花「分かった」
迅「鬼顔門で待っててくれ」
麻代花「はーい」
鬼顔門とは鬼の郷の入り口にある鬼の顔が描かれた大きな門。その口が入口になっており、鬼の顔が描かれている壁は固く迅以外は壊せないらしい。
迅「じゃあ、案内するぞ」
麻代花「うん」
山を下り、街道に出た。そして街道から見える大きなビルが印象的な都市。
そこには異世界の入り口かと思うような。この辺には不自然な、大きな扉があった。
そして、武装をしている兵士も。
迅「私は行けないから一人で行ってきな」
麻代花「バレないかな?」
迅「麻代花は妖力はあれど人間だよ、それに妖力も抑えられるんだろ?」
能力などは迅にだけ説明した。
人間なのに妖力があって、しかも自由に抑えられるのは普通の妖怪じゃ出来ないと褒められた。
麻代花「行って来まーす!」
迅「私も仕事だ。最後までは見送れない、頑張れよ」
麻代花「何日ぐらい居てもいい?」
迅「好きにするといいよ」
麻代花「はーい」
見ては近いが、歩いてみると遠い。
人間が外から来るのはおかしいと思うので、演技をしてみる。
こういう時って迷子の女の子でいいのかな?
麻代花「あの、おじさん」
門番「なんだいお嬢ちゃん」
麻代花「迷ってしまって、都市を探しているんです」
門番「ここがその都市だ、さぁ入った入った」
麻代花「ありがとうございます」
門番「じゃ、親に心配をかけない様に暮らしてくれな」
麻代花「はい!」
案外簡単に通れた、霊力を持つ人間は妖力や霊力を感じるらしい。
逆も同じく、妖力を持つ妖怪も霊力や妖力を感じる。
私は妖怪ではないが、どっちも持っているのでこの兵士が霊力等がない、ただの人間だと感じた。
民「こんにちはー」
麻代花「こんにちは」
通りすぎて行く人達が挨拶を交わしていく。非常に懐かしいと感じながら私も挨拶をする。
でも、鬼の話ならここは妖怪と何回も戦い一方的に勝利したとのこと。
鬼は頭がいい部類なので負ける戦いは挑まない方らしい。故に相手の戦術が分からない。
民「お嬢ちゃん、これ旨いよ!」
麻代花「今は買えなくて、すみません」
民「いいよいいよ。タダで試食だ、ほら」
麻代花「ありがとうございます、美味しいですね!」
民「だろだろ?」
魚屋さんでお刺身を貰った、試食って美味しくなさそうなイメージがあったんだけど、結構美味しかった。
麻代花「ではまた今度買いに来ます」
民「いつでも歓迎するよ」
そしてまた歩く。通る人達すべて、ただの人間。
こんな人達が妖怪を一方的に倒した。
そんなことが信じられない程に穏かで、平凡な人達ばかり。争いもなければ怒号も聞こえない。
麻代花「なんなの、ここ……」
まるで、時がその一瞬で止まってる様。穏かな時間の中の平凡な人達の様子でこの小さな世界は止まっている。
ただ一つ、大きなビルは止まっていない様に見える。あのビルだけ異様な威圧がある。
麻代花「行ってみようか」
自然にその口から出る好奇心と、その好奇心に従う行動が自分じゃなくなっているみたいで怖い。警戒なんて無くなったかの様に進んでいく。
まるで餌を前にトラップに気付かない動物みたい。
鏡『麻代花、しっかりして!!』
麻代花『?』
鏡『妖力を持つ者を混乱させる電波があのビルから流れてるから。半分の妖力を霊力に完全に変えなさい』
麻代花『分かった』
そんな会話をしていると、ビルの近くに来る。今霊力のみの頭で考えていると自分がここに普通に来たのが大失敗に思えてテンションが下がる。
かなり広い駐車場を過ぎればビルが目の前に見える。
ビルの扉から武装集団が出てくる、そして私を囲む。
囲んだ後に、赤と青の変な服を着て、この場に合わない弓を持つ女の人が出てくる。そしてその女の人だけが口を開く。
「貴方はここで何をしているのかしら?」
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