三話 新しい人生
妖怪と人間の存在編
はっじまるよー
麻代花「うーん……」
隕石が激突してからどうなったのだろう、当たったのは覚えているから天国のはず、いや暑いから地獄かもしれない。
ポツ……ポツ……と水滴が落ちる音がする。
「ん、起きたのか、おーい。起きないなら酒流すぞー?」
誰かの声が聞こえる、恐竜の声ではないから天国か地獄の可能性が高くなってる、天国がいいなぁ。
麻代花「う……ん?」
「おはよう、人間、酒飲むか?」
麻代花「えっ?」
目の前の女の人がニコニコ笑いながらお酒を勧めてくる。怖そうな人だから地獄か、と少し残念。
麻代花「ここ、地獄かぁ」
「ん、何言ってるんだ?」
麻代花「え、ここどこですか?」
鬼「鬼様が取り締まる山さね」
麻代花「おに?」
鬼「鬼」
麻代花「じゃあ私は生きてるの?」
鬼「頭はぶつけてない……はずなんだけどな」
ニッコリ笑いながら言ってくる人はどうやら鬼らしい。鬼ヶ島って本当にあったんだ……。
麻代花「あれ、でも恐竜は?」
鬼「どうして人間が300年くらい前の生き物を知っているんだい?」
麻代花「300……え、さんびゃくぅ!?」
鬼「うわっ、うるさいよ」
麻代花「あ、ごめんなさい。それと恐竜の死体ってありますか?」
鬼「お前死体愛好者か?」
麻代花「いやいや、違うけどなんか気になって!」
鬼「はぁ…なら、ついて来い。他の奴らとは一言も会話するなよ」
麻代花「……はい」
そういって部屋(?)から出る女の人、ついて来いと言われたのでついて行くことに。でもなんで会話しちゃダメなんだろう?
麻代花「あの、お姉さん?」
迅「ん、私のことなら、迅とでも呼べばいいよ」
麻代花「名前?」
迅「いんや、私は自然から生まれたから名前はない」
麻代花「?」
迅「迅ってのは仲間がつけてくれた名で、ニックネームみたいなもんだよ」
麻代花「自然から生まれたって?」
迅「妖怪ってのは恐怖から生まれるんだよ、そして種族ができる。私は地球の恐怖から生まれた一番初めの妖怪なのさ」
麻代花「一番初め?」
迅「おう」
麻代花「じゃあなんで一番初めって分かったの?」
迅「あ? そりゃ知らん」
麻代花「え?」
迅「確かに角もあったし、力も凄いあった、けど、初めは妖怪って分からなかった」
麻代花「えっと……?」
鬼「生き物はなんで生きるんだろうね、本能かな?」
麻代花「本能?」
迅「本能だとしたら、私も本能で妖怪のだって分かったのかね。なんにしても、200年位前の事なんて覚えてないよ」
麻代花「そっか」
迅「あとは人間達が妖怪って言ってきてたからかな」
麻代花「人間……鬼々島に人間?」
迅「島ってなんだそれ。ここは鬼の取り締まる妖怪の山だっつの」
麻代花「そういえば、そんなことも…ごめん」
迅「話はお終い。後で部屋に帰ったらお前のことを聞くから答えを用意しとけ、着いたぞ」
麻代花「ここが?」
迅「私達鬼が作った穴、覗いてみなよ」
麻代花「うわぁ……沢山あるね」
巨大なクレーターの中には軽く数えても千体はありそう。じっくり数えてみよう……。
麻代花「うん、うん……」
迅「どうした?」
麻代花「……」
迅「おーい?」
麻代花「2001体かな……」
迅「驚いた、でもハズレ、1999体だよ」
呆れ顔で言ってくる、もしかして数えてる間待ってくれてたのかな。にしても、美味しそうなのから食べれなそうなのまで沢山ある。
あ、何も食べてないからお腹空いたなぁ。
麻代花「でも、こんなクレーター何人で作ったの?」
迅「んぁ、私一人だよ」
麻代花「え!?」
迅「まぁ運んだのは他の奴等だけど」
驚いて迅さんを見る、相変わらず笑ってるけどすごく恐ろしいことを言った。恐竜が1999体も入るクレーターを一人で。しかも女の人が作ったなんて誰でも驚くと思う、驚かされてばっかりだこれ。
麻代花「え、えぇ……どうやったの……?」
迅「私達妖怪には能力があってね、人間にはない切り札的なものだよ」
麻代花「能力?」
迅「私は『力を司る』能力」
麻代花「どんな能力?」
迅「簡単に言えば、重力、火力、水力、電力とかの力が関係していることを自由自在に操れるのさ」
麻代花「ふむふむ」
迅「だから重力を操って地面を押し込んでクレーターを作った」
麻代花「すごいんだね……」
迅「でも、自分から電気とかは出ないだろ?」
麻代花「うん」
迅「そういうのは存在すれば操れるけど、存在しなかったら何もできない。力と火力と重力以外は、その場にないと操れないのさ」
麻代花「でもすごいよ迅さん!」
迅「そうかそうか。私の事はいつでも話せるからさっさと戻るぞ……?」
麻代花「あ、うん!」
ぐー……。
誰がどう聞いても私のお腹が訴えている。お腹空いたよ、と。
迅「何も食ってないのかい?」
麻代花「あ、あはは……目が覚めたらここでその……お腹空いたなぁって」
迅「じゃあまずは飯だな、ついて来い」
麻代花「ごめん、お願いします」
はっはっは、と豪快に笑いながら歩く迅さんに憧れるなぁ。
少し歩いて行くとお酒の匂いがする。
久しぶりにお酒の匂いを嗅いだけどやっぱり慣れない。
麻代花「うっ……」
迅「酒の匂いは嫌いか?」
麻代花「少しトラウマで……でも大丈夫だよ」
迅「まぁ、ここは宴会場だ、好きなだけ騒いで食ってスッキリしろよ?」
麻代花「うん、ありがと」
美味しそうな料理が沢山ある、見たことのない物ばかりだけど良い匂い。食欲が出てくるのが分かるほどお腹が空いているので、早く食べたいなぁ。
迅「おい、まだ待て。名前教えてくれ」
麻代花「あ、うん、私は麻代花だよ」
迅「わかった、じゃあちょっとこい」
なんだろう?
鬼(?)のみんなが見ているけどどうしたのかな?
迅「全員注目!!」
麻代花「ひっ!?」
迅「あぁ悪い、麻代花は落ち着いててくれ」
麻代花「う、うん」
迅「今日からお前らの仲間になる人間の麻代花だ、仲良くしろ。喧嘩をした者は相応の罰を与える。以上!!」
鬼のみんながハイ!と返事をしているから、迅さんは結構偉い人なのかな。
喧嘩は嫌だし、仲良くしてもらえるのも嬉しいけど……。
麻代花「みなさん、私は麻代花といいます!」
迅「お、おい?」
麻代花「今迅さんが言ったことは忘れてください……私は心から仲良くなりたいと思ってますし、喧嘩するほど仲が良いと言います。ですから、心から私と過ごしてほしいのです。これから、よろしくお願いします!」
……言いたいことは言ったし、怒られても文句言えない、のかな?
とりあえず前を向こう、みんなの返事を待つために。
迅「よく言った!」
迅さんの言葉の後にみんなから『わかった』『いいぞ』などの言葉が沢山聞こえる。
麻代花「お前は今から鬼の仲間だ!」
そして楽しい宴会が行われ、部屋に戻ると疲れて寝てしまった。
明日からは幸せな人生がありそう、とワクワクしつつ、明日を迎えるために目を閉じる。
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やったね!




