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雪もパラパラと降る、冬も半ばのクリスマス。
髪を茶色く染めたその女は、もう暗くなった路地をフラフラと歩いていた。
毛皮のコートをだらしなく羽織り、酒臭い溜め息を吐きだした。
「はぁーぁ、なんなのよぉー…」
酷く酔っ払っているらしく、ブツブツと独り言を漏らす。
「なんでよぉ、あたしの何が悪かったってのよぉ。子供がいるくらいでそんな…あいつか、あいつがいるせいで…!」
ゴツンッ
「いたっ!?」
女はフラフラと、そのまま電信柱にぶつかった。
下を向き、痛い痛いと額を抑えてグリグリと揉む。
「うぅーなによぉー、あんたまであたしを馬鹿にする気ぃ?」
そう言って女は顔をあげた。
まだ文句を垂れるのか、と思いきや。
「あら、なあに?これ。」
自分が額を思いっきりぶつけた電信柱に、一枚の廃れたチラシが貼ってある。
女は痛みを忘れたかのように、目を丸くしてチラシを読んだ。
「咲神学園 入学生募集
勉強も運動能力も、この学校は必要としていません。
試験や面接もありません。
これさえあれば結構です。
『才能』」
読み終えると、女は歩き出した。
ニヤリ、不敵な笑みを顔に浮かべて。