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ほほえみデンタルクリニック、異世界で開業しました  作者: ポン吉
第4章『ほほえみデンタル、はじまりの日々』

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01.ステータス更新のお知らせ

つむぎの視線は、設置されているTVへ向けられていた。

画面はまだ暗く、そこには何も表示されていない。

けれど、その存在自体に違和感を覚える者は、もう誰もいなかった。

つむぎは手にしたリモコンを軽く確かめるように持ち直す。

 

「電源電源…っと」

 

指先の操作に反応し、画面に光が走る。

暗転していた表示が切り替わり、見慣れたインターフェースが現れた。

それを見た瞬間、周囲にいた者たちの意識が、自然とそこへ集まる。

 

「もはや誰も電源が入ることにツッコまなくなってる」

 

あすかの言葉は、状況そのものを指摘していた。

疑問に思うことすら、いつの間にか日常に溶け込んでいる。

 

「そんなこと気にしてたら生きていけないですよ?」

 

つむぎの返答は、画面から目を離さないまま発せられた。

そこに並ぶ表示は、今や説明を必要としない存在になっている。

 

「そうは言ってもねぇ」

 

智子の声が重なり、空気がわずかに揺れる。

肯定でも否定でもない、その一言が場に留まった。

 

「水とかもそうじゃないですか」

 

つむぎは続ける。

当たり前に使えているものが、なぜそこにあるのか。

それを考え始めたら、きりがないという前提だけが共有されていた。

 

「まぁまぁ………皆さん落ち着いてください」

 

ゆかの言葉が、流れを一度まとめる。

話題が広がり過ぎる前に、場の意識が再び画面へ戻された。

TVには、ステータス画面が表示されている。

項目ごとに区切られた情報が並び、そこには数値も記されていた。

その中の一つに、つむぎの視線が止まる。

 

「あ、ついた。ステータス……あれ?レベル2になってる」

 

数値の変化は、はっきりと確認できた。

昨日までとは違う表示が、そこにある。

 

「なんで!?」

 

しおりの声が即座に飛ぶ。

理由も過程も分からないまま、結果だけが先に示されていた。

 

「………あ、ねぇ左上のアイコン!!メールマークがあるよ!」

 

画面の隅に、今までなかった表示が浮かんでいる。

それは明確な通知だった。

つむぎはリモコンを操作し、選択を確定させる。

画面が切り替わり、短い文章が表示された。

 

『内覧会の成功おめでとう。開業まであと少し、以前注文していた機器を受け取ってくれたまえ』

 

短い文章だった。

だが、その中には、今の状況と直結する情報が含まれている。

祝福と通知が、同時に提示されていた。

その表示が終わった直後、視界に変化が生じる。

光が発生し、空間そのものが反応した。

 

光とともに目の前に機械が届く。

 

説明も予兆もなく、結果だけがそこにあった。

視線が一斉に、突然現れたそれへ向けられる。

 

「これは……」

 

すずの言葉は、確認そのものだった。

目に映る形状を、言葉にしきれないまま受け止めている。

 

「………舌圧測定器……ですね」

 

名称が与えられたことで、機械の役割が明確になる。

専門的な器具であることは、誰の目にも分かった。

 

「いや……確かに注文していて、院長がなかなか届かないとかぼやいていたけども」

 

その言葉は、過去のやり取りを示していた。

偶然ではなく、意図された結果であることが明確になる。

 

「………いや、確かに必要だけれども!」

 

必要性そのものに異論はない。

問題は、そこではなかった。

 

「違う!そうじゃない!」

 

声が重なり、結論だけが場に残る。

TVには更新されたステータスが表示されたまま。

そして、目の前には舌圧測定器が存在していた。

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