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第8話

 7月19日、朝。目覚ましより早く起きて、すぐスマホつかんだ。もう四日目。

 あの変な日記アプリ、頭から離れないよ。

 白いノートにペンのマークついた、めっちゃ不思議なやつ。

 昨日、佐藤健一さんってオジサンから三つ目のメモ来て、初めてわたしに話しかけてきた。「君はどこ?」「助けてくれる?」って、マジ心臓バクバク。

 知らない誰かと繋がってる感じ、なんか怖いけど、困ってるし助けたい。

 スマホ、いつも通り動く。LINEもSNSも音楽もバッチリ。ネットもサクサク繋がる。

 なのに、このアプリだけ、なんか別世界。

 ベッドでロック解除して、ドキドキしながらアプリ開いた。四度目のメモ、来てるかな? そしたら、ドン! 新しいメッセージ!


『魚は捕まえられない。危険な動物もいるかも。武器を考える。空に長い白い生物が飛んでいた。そして月が二つ! 新しい情報は他に無し。枯れ草で寝床作った。君はどこ? このアプリ、どうやって繋がってる?』


 うわ、月が二つ!? 長い白い生物!? なにそれ、めっちゃヤバい! 心臓ドキドキ。健一さん、わたしのメモ読んでるっぽい! ちゃんと届いてる!

 でも、また「君はどこ?」って。やっぱり時間差?東京と書いたのは昨日で届いてなくて、魚、動物、武器は一昨日の返事っぽい。

この時間差で間違いなさそう。

 でも健一さんの日記は当日来ている?

 いや、まって。見直してみよう。

 最初の7月16日、50歳の誕生日って健一さんの日記。これ書いたタイミングは?

私が日記アプリ気がついて読んだのは、昼の教室だった。これは問題無いかな?

 でも毎日の日記、一日の終わりに書いてるっぽくない?

 でも私は毎朝見ている。健一さんが夜書いて、私はその日の朝にソレを読む?

 健一さんの居る場所と時間がリンクしてないのかも。謎増える。

 それと魚捕まえられないって、食べ物は木の実だけ?足りる?

 動物危険、白い生物、月二つ。怖すぎ。胸がギュッてなる。

 月二つって、地球じゃないよね? ほんとに異世界? 「どうやって繋がってる?」って、わたしも知りたいよ!

 てか、健一さんのスマホ、充電どうしてんだろ? 小屋にコンセントないよね? 日記書けてるってことは、まだ電池あるんだ。

 ノート出して、メモ書き出した。佐藤健一、50歳、湖、草原、山脈、小屋、木の家具、鉄のカケラ、魚捕まえられない、動物危険、白い生物、月二つ、手がかりなし。前のメモで火起こせたってあったから、暖はOK。

 けど、白い生物、鳥? いや、ドラゴン? まさかね。月二つ、めっちゃSFっぽい。

 健一さん、どんな人? 50歳、佐藤って名前、わたしと同じ。会社員? アニメ好き?「異世界」って言葉使うの、なんかオタクっぽいけど、ほんとにヤバいとこにいるからそう書いたのかも。

 湖のそばで、木の椅子に座って、月二つ見てるオジサン、なんか寂しそう。家族いるかな? いたら、行方不明で心配してるよね。健一さんのこと、調べるべき?

 でも、佐藤健一って名前、めっちゃ普通。ネットで検索しても、絞り込むの無理そう。


 入力欄タップ。キーボード出た! よし、でも、急いで書くより、ちゃんと調べてからにしよう。健一さん、魚捕まえられないって困ってる。サバイバル系の情報、ネットで調べよ。学校行くまで時間あるし。

 ノートパソコン開いて、「サバイバル 魚 捕まえる」「自然 釣り糸 作り方」で検索。サクサク繋がる。

 サバイバルサイト、めっちゃ出てきた。小枝でカゴ罠作る方法、植物の繊維で釣り糸、棘の植物で釣り針。すげえ、こんなんできるんだ!

 健一さん、小屋の周りにそんな植物あるかな?

 でも、200文字じゃ全部伝えられない。学校から帰るまで、じっくり考えるか。

 学校行く準備しながら、頭ぐるぐる。健一さん、わたしのメモ読んでるなら、魚捕まえる方法、ちゃんと伝えなきゃ。白い生物、なに? 月二つ、めっちゃ気になる。

 電車で、彩花がニヤニヤしながら話しかけてきた。


「ね、葵。今週、なんか予定ある?」


「無いかな。テスト終わって何も考えたくない〜」


 そう言って笑ったけど、頭ん中、健一さんが支配。

 彩花、わたしのスマホいじってるの見て、からかってきた。


「葵、最近スマホばっか見てる。アプリのバグそのまま?それとも、なんか秘密?」


「え、いや、なんでも無いよ!変なアプリが気になってるだけ!」


 慌てて誤魔化した。彩花に、健一さんの話、言えないよ。こんなん、絶対頭おかしいって思われる。

 電車揺れながら、考える。魚捕まえられないなら、健一さん、腹ペコだよね。動物に襲われるかもしれなく、白い生物が空飛んでて、月二つ。想像したら、めっちゃ怖い。

 学校着いて、授業中も頭ん中、メモでいっぱい。社会のノートに「月二つ」「白い生物」「サバイバルと帰還」って書いた。

 健一さん、小屋で毛布にくるまって、月二つ見てるのかな? 手がかりなしって、絶望的。わたし、なんかできることない?

 昼休み、図書室でこっそりスマホ開いた。新しいメモ、まだ。保存ボタンもグレーアウトしてない。よし、帰ってから書こう。

 

 家帰って、ノート広げて、メモ見直した。魚捕まえる方法、もっと調べよう。サバイバルサイトで、小枝のカゴ罠、植物の繊維でロープ、棘で針、メモった。200文字でどう伝える?

 夜、ベッドでスマホ握って、返事考える。


『魚罠。枝を10本ぐらい集めて束ね、底の輪をつくる。枝の先を上に曲げて漏斗形にする。枝や蔓で網目にする。入り口は狭くして餌を入れて完成。伝わるかな?画像添付したい!カラムシやカヤなど繊維が丈夫な草を探し、捻り合わせて紐の代用品。繊維は水につけると柔らかく編みやすくなる。一番簡単な武器は丁度良い枝を探して先を尖らせた槍かも。頑張って!』


「保存」押したら、画面チラッて光った。電池、40%。まぁ、いつも通り充電しとこ。

 次のメモ、待ってる。健一さん大丈夫だろうか?


最後まで読んでくれて感謝します!

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