第19話
カフェのドアがガチャッて開いて、でっかい男の人が入ってきた瞬間、わたしと彩花、目合わせてドキッとした。
佐藤健一さんの友達、野比岳人さんだ。めっちゃガタイいい!
筋肉質で、顔もちょっと怖いくらい厳つい。スーツ着てるけど、会社員ってよりアスリートっぽい?
でも、軽く挨拶して話すと、めっちゃ落ち着いてて、なんか安心する。どっしりした山みたいな感じ。
彩花も「うわ、なんか頼れるね」って小声で。うん、めっちゃわかる。
席について、アイスティー頼んで、まず自己紹介。
「佐藤葵、高校二年、健一さんと日記アプリで繋がってます」
「鈴木彩花、葵の親友で、相談乗ってます」
ちょっと緊張気味。岳人さん、低い声で喋る。
「野比岳人、50歳。健一の会社の同僚で、親友だ。既婚で、大学生の娘がいる。よろしく」
へえ、岳人さん、娘いるんだ! 私達より歳上の大学生のパパさん。なんか、落ち着いた声にほっとした。
わたし、早速スマホ出して、日記アプリのこと話した。
「7月16日、急にスマホに白いノートにペンのマークの日記アプリ出てきて、健一さんのメモが。時系列で話しますね」
そう言って、全部ぶちまけた。
最初、7月16日、健一さんのメモ。「2025年7月16日、50歳の誕生日。突然、知らない場所に飛ばされた。草原と湖、山脈に囲まれた高原。古い小屋。異世界? どうすればいい?」から始まった交換日記。文字数に制限がある中で、やり取りを続けてきた。
湖や小屋の話し、魚捕まえられないって困ってた事、木の実、空に白い生物が飛んでいて、後で白竜とわかった事、月二つある事。
わたし、魚罠やヤリのアイデアを伝えたら健一さん、試してくれてる事。守護者の老人に会って、高原が白竜の庭らしい事、道具と食料もらったらしい事。
最新は、魚罠作って、木の実と香草で料理した事と野比さんに連絡してと頼まれた事。
「でも、彩花にはアプリ見えないんです。わたしにしか見えない…」
そう言って、ノートに書き写した日記を見せた。岳人さんも、わたしのスマホ見て、難しい顔。
「…何もねえ。ホーム画面だ」
彩花も頷く。
「ほんと、わたしも同じなんです」
わたしには健一さんの日記、めっちゃ見えるのに! 岳人さん、ノート見て、確認している。
「健一の日記か確証は無い。けど、『月の盃』で獺祭の約束、俺と健一の話だ。他の人間に知ってる奴は居ない。信じるよ」
そう言ってくれた。
「健一さん、16日から連絡ないんですよね?」
「ああ、16日、健一、会社来なかった。俺、健一の家にも行ったけど、いなかった。約束破る奴じゃないし、心配してた」
岳人さん、健一さんのこと話してくれた。
「健一、俺と10年来の付き合いでな。真面目で、酒好き。アニメとか詳しいから、『異世界』って言葉、らしいっちゃらしい」
「健一さん、月二つの世界で困ってる。助けたいんです!」
「葵、ガチで助けたいんだよね。わたしも手伝う」
岳人さん、真剣な目で頷く。
「この話、ぶっ飛んでるけど、健一がどこかにいるのは確かだ。助けるのは当然だ。むしろお願いしたい。いまヒントは葵ちゃんのスマホだけだ」
そう言ってくれた。やった、仲間増えた!
三人で、健一さん助けるために状況整。色々と話しをしていく。
彩花、タブレット出して、「わかってること、リスト化しよう」って。
わたし、ノートに書いた。16日、健一さん、高原に飛ばされたっぽい。湖、草原、山脈、小屋でサバイバル。月二つ、白竜、守護者の老人。
元気っぽいけど、帰る方法わからない。
わたし、前からの疑問。
「ほんとに異世界? アプリ、なんでわたしに? わたしと健一さん、繋がりある?」
「佐藤って名前多いから、それは偶然だろうな。けど、健一の通勤と葵の通学、同じ電車使ってた可能性はあるな」
彩花も考えてくれてる。
「健一さんのスマホ、充電できないはずなのに、一週間動いてる?葵のスマホはアプリ以外に変な事ある?」
「普通に使える。でも電池の減りがちょっと早い気が…。健一さんに、電源のこと聞く!」
「昔の行方不明事件や神隠し、似たような話あるかも。健一だけの話じゃねえ可能性もあるな」
何が出来るか確認していく。
「健一さんに、高原の地形や風景、詳しく聞いて、現実の場所と一致するか探す」
「神隠しや行方不明事件もチェック」
「似た話しや物語、ニュース無いか調べてみよう」
話、めっちゃ盛り上がって、ハンバーガー頼んで腹ごしらえ。夕暮れまで話したけど、終わんなくて中断。
岳人さん、会計全部持ってくれて流石大人!
「また連絡な。LINE交換しとこう。細かく情報交換していこう」
三人でグループ作った。チーム感、めっちゃいい!
家帰って、ベッドでスマホ握った。彩花と岳人さんと話せて、めっちゃ進んだ!
日記アプリ開いて、入力欄タップ。
『野比さんと連絡取れて話し合いしました!伝言です。心配したぞ、待っていろ。全力を尽くすだって。良い人ですね、頼れそう!高原の地形や風景、詳しく教えて下さい。それとスマホの電源、どうなっています?』
保存を押したら、画面チラッて光った。
日記の写しのノート、預かっている。ノートに私の返事も写し、健一から来たらそれも書き写す事になった。後、返事きたらLINEにも書いて共有!
健一さんの次の日記、待ってる。彩花と岳人さんが仲間になって、めっちゃ心強い。長い日曜日、終わったけど、ワクワク止まんない。
最後まで読んでくれて感謝します!




