第十章 突然のデートのお誘い?
【明日、時間ある?】
連絡先を交換してから一週間。
夜二十二時過ぎ。凪くんから突然、そんなメッセージが来た。前回、晩ご飯をじいちゃんの家で一緒に食べた時もそうだが、彼の誘いはいつも突然だ。
【こんばんは。仕事終わった後なら空いてますよ】
【何時に上がれんの】
【残業しなければ18時です】
【分かった。じゃあその時間で。あんたの職場どこ?】
「どこって……まさか」
【お迎えとかいらないですよ?】
【あんたのためとかじゃなくて、俺もそんなに空き時間があるわけじゃないから。待ち合わせするよりこっちから行ったほうが早い】
……それはそうだけど。
思いつつも教えていいものか悩んでしまう。
天下のShangri-laの凪が一般人の私を迎えに来るなんて。
もし週刊誌にでも撮られたら、困るのは凪くんだ。私のせいで迷惑がかかってしまう。
【じいちゃん、もうすぐ誕生日なんだ。プレゼント買いたい。面倒だろうけど、ちょっとだけ付き合ってほしい。】
迷っていたら画面に表示された新たなメッセージ。
合点がいった。そういうことなら、断る理由なんてない。
【そういうことなら、私で良かったらぜひ喜んで】
【ちなみにこっちはノープランだから】
画面越しに見えないはずの彼のドヤ顔が見えて、思わず絶句する。それから私は、一人でくすりと笑った。
【それ、胸張るところじゃないのでは?】
【あんたのセンスに懸かってるってことだろ】
【責任重大すぎる……】
【だから頼んでんだろ。で、職場どのへん?】
私は会社の住所を伝え、定時に仕事を終えられるように頑張ると伝えた。
【当然だろ。しっかり頑張れよ社会人】
【何故に上から目線なんですか】
【俺のほうが仕事忙しいから】
【それは重々存じてます】
私が返すと、クマのスタンプで「くるしゅうない」と届いた。
文面だけでなくスタンプまでしっかり偉そう。しかし、彼らしくてやっぱりまた笑ってしまった。
間違いなくこの画面の向こうには凪くんがいるのだと、そんな 当たり前の事を思って、それだけでドキドキしていた。
明日、彼と二人きりで会う。じいちゃんへの贈り物選びのためだし、デートなんて口にすることすらおこがましいけれど。
「明日だけは絶対定時で上がるぞ」
独り言を決意のように呟いた。




