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今日も2人だけで話そ? ~彼女2人が公認の二股恋愛!?~  作者: 茉莉多 真遊人
1年生 2学期

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73/140

3-3. 9月……まだ私の出る幕じゃないですよ?(1/2)

簡単な人物紹介

金澤(かなざわ) 仁志(ひとし):本作主人公。高身長、顔は普通よりちょい下。

能々市(ののいち) 美海(みなみ):ヒロインその1。低身長の小動物系女子。栗色の長髪持ち。

津旗(つばた) 聖納(せいな):ヒロインその2。胸部爆盛。黒髪で完全目隠れ、眼鏡あり。せーちゃん。

 美海と会った日から数日経った日の昼休み。この頃には実力テストの結果が返ってきて、クラス全体がようやく俺よりも自分に集中しないといけないと改めて気付かされ、俺や俺の周りへの注目度も少しずつ波が引くように落ち着いていった。


「そう言えば、俺、聖納を呼び出すってほぼ初めてじゃないか?」


 先日の美海のやり取りを経て、俺は聖納と2人きりで直接話す必要があると強く感じていた。そこで俺は、美海の不安を少しでも和らげるためにも、聖納の真意を確かめるためにも、思いきって聖納と2人きりで話す時間を設けることに決めた。


 美海にも聖納と2人で話すことをきちんと伝えているし、聖納にも美海から了解されていることを伝える。


 すると、聖納からは「仁志くんから誘ってくれるなんて嬉しいです……お弁当を作って持っていきますね」というメッセージとともに、「承りました」というスタンプも送られてきた。もちろん、「お弁当は少なめでいいよ」とメッセージを送っておいた。


「なんかそう考えると緊張してきたな」


 そう、そんな残暑の昼休み。


「仁志くん、お待たせしました! ごめんなさい、4限が少し長引いちゃって」


 俺が「イチゴなオ・レ」をゆっくりとストローでチューチュー飲みつつもそんな逡巡を繰り返している間に、申し訳なさそうな声とともに聖納が少し遅れ気味にやってきた。


 聖納は一言で言えば、性癖になる属性を盛り盛り爆盛り女子だ。


 まず目に映るのは夏服のポロシャツを前に突っ張らせているギガ盛りの胸部だ。これだけでもかなりすごいのだが、お尻も大きい割にお腹周りはすっきりとしていてスタイルがものすごく良い。


 その次に目を引くのはやはり顔の半分を隠す前髪だろう。黒々とした黒髪は落ち着いた感じを出しているものの、前髪が目の下まで伸びている目隠れ状態であり、眼鏡の下側の青い縁だけがかろうじて見えるくらいだ。しかし、それは聖納なりの個性やファッションというわけではなく、彼女の悲しい過去とそれによって受けた顔の傷を覆い隠すための分厚い拒絶の壁だ。


 あとは性格を表現するなら大人しいときは大人しくて俺を甘やかすような母性に溢れていることもあるが、一旦暴走すると無敵列車と化してしまって、ものすごい勢いで周りというか俺を巻き込むこともある。


 とかく、属性が多い印象の女の子だ。


「いや、全然待ってないよ」


 ちなみに、聖納は運動部でも中々見かけないような大きめのサブバッグを持ってきている。


 そうそう、それと、聖納はたくさん食べる子で俺じゃ敵うわけもないくらいに食べる。頭が良いので栄養も必要なのだろうけど、身体へも栄養が十分に行き渡っている。


 弁当の量……大丈夫……だよな?


 俺は一人で三段重を食べる覚悟もしつつ、ひとまず聖納に優しい言葉をかける。


「よかった! ……あっ」


「ん?」


「仁志くん……お腹空きすぎて弱っていませんか? 声がちょっと小さいような……」


 思わず吹き出しそうになる。


 聖納の中で、俺は5分も10分も待てない育ち盛りとでも思われているのだろうか。


「ははは……いや、そんなことないよ」


「お腹があまり空かないのですか? 成長期はたくさん食べた方がいいと思います! 大きくなれませんよ?」


 聖納は俺の母さんかな? 本当に育ち盛りだと思っていて、たくさんご飯を食べさせようとしている気がする。まあ、たしかに高校生だし、しっかりご飯は食べた方がいいとは思うけど、俺、運動部とかじゃないし、そこまでじゃない気もするが……。つうか、俺、背ももう十分高いし、体重も標準よりちょっと重いくらいだから、もういいかな。


「俺はもう縦にも横にも伸びなくていいと思うんだが」


「そう言われてしまうと、仁志くんは今のままでもすごく素敵ですからそうかもしれませんね」


「素敵って……急に言われると恥ずかしいな」


 俺は思ってもみなかった褒め言葉に不意打ちを受けてポリポリと頬を掻く。


「ふふふ……照れる仁志くんかわいいですね。今日はですね、私もちょっとご飯を減らそうかなって思ったので、今回は三段重を1つだけにしました」


 目の前に広がるそれなりの大きさの三段重。これを2人で食べる時点でご飯を減らした感じはない。しかし、その三段重を一人でぺろりと平らげてしまう聖納だからこその発言だ。


「聖納も?」


「はい、私ももう成長はいいかなって。これ以上大きくなると、また買い直さないといけなくなるので……」


 聖納はそう言って明け透けなくらいに自分の豊かな胸を持ち上げて強調してきた。ちょっとだけ舌をチロッと出しているところが、聖納なりのからかいとも受け取れる。


 ……まだ大きくなると言うのか!?


「まだ大きくっ!? げほっ、げほげほっ!」


 思わずむせた。今でもすごいのにまだ成長すると言うのか……。


「ふふっ、仁志くんの目つきがすっかり叡智ですね。ふふっ」


「あ、いや、ごめん。見すぎだよな。だけど、聖納もそんなことするからだぞ? うん、だから、目の前で揺らさないでくれ」


 聖納がこれ見よがしにゆさゆさと揺らしている。


 残念なことに俺の目は釘付けだ。闘牛の牛だってもう少し周りを見ると思うが、俺は聖納の胸にしか目がいかない。


 本当にまあ、しかたないんだよ、男だもの。


 いや、それにしてもデカいよな。前に直に見た時は形も色も綺麗だったし、いつまでも触っていられるくらいに柔らかかったことも思い出す。


「んふふ……私は仁志くんだけに見てもらう分にはいいですよ」


「俺がよくない……動けなくなるから」


「あら……それは困りますよね? ご飯の後に……ここでちょっと運動しますか?」


 俺は再びむせそうになるも何とかこらえて、からかい過ぎている聖納をジッと見つめる。


「その方がもっと困るから! さすがに学校で言っていい冗談じゃないぞ?」


「私はいいんですけど……それはそうと、ご飯にしましょうか」


「……そうだな」


 俺の注意はどこ吹く風とばかりに、嬉しそうにニマニマニマとした笑みを浮かべる聖納はから揚げを箸でつまんで俺の口元まで近付けてくる。


「はい、仁志くん、あーん」


 当たり前のようにごく自然に「あーん」を聖納が淀みのない美しい所作でしてくる。


「いいけど、全部があーんだと食べる時間が長くなるから、お互いに数回くらいでいいかな?」


「はい、分かりました。あーん」


「あーん」


 俺は聖納が差し出してくるから揚げを一口で頬張った。


 ちょうど俺が一口で難なく入れられるくらいの大きさにしているところが聖納らしい。


「美味しいですか?」


「美味いよ。というか、聖納の手料理がマズかったことなんて一度もないだろう?」


 聖納の料理はお店で出てくるんじゃないかってくらいのレベルで美味い。


「そう言ってもらえると嬉しいですけど、実は失敗も多いんです」


「え? そうなの? そんなの信じられないくらいにいつも美味しいよ? きっと聖納の想いがこもっているんだろうな」


「そんな、私の愛情がこの世で一番のスパイス、だなんて!」


 うん、言ってないよ?


 言ってないけど、すごく嬉しそうにする聖納を見ていると、わざわざ訂正するようなことでもないからただゆっくりと首を縦に振るだけした。


 それから数回、お互いに「あーん」をし合った。聖納が美味しそうに食べているところを見ると、まあ、愛情が最高のスパイスだというのは間違っているわけでもない。


 こうやって聖納の心の傷が少しでも癒えるといいんだが、俺が聖納の自尊心を上げようと褒めたり喜んだりすると、俺への依存度も上がっているように感じる。


 それに、最初も俺は聖納が俺の下から傷つくことなく離れてもらえるように接していたが、いつの間にかその気持ちが少しずつ薄れていて、聖納の守り方を考えるようにもなっていた。


「ごちそうさまでした」


「おそまつさまでした」


 食べ終わる頃には昼休みも後半に差し掛かっていた。


 俺の腹はすっかり満足しているが、ただ聖納の弁当を食べたくて呼び出したわけじゃない。


「……なあ、急に聞いて悪いけど、あの、文化祭での発言があるだろ?」


 だから、少し唐突ながらも俺は話を切り出すしかなかった。


「……ええ」


「あれって本気なのか?」


 聖納は一瞬だけ身構えるような雰囲気を発したが、俺の続けた言葉を聞いて安堵したように結んでいた口元を綻ばせて笑みを浮かべた。


「……ええ、本気ですよ? 私、仁志くんにとっての1番になりたいです。あの時、美海ちゃんには悪いからリンクのメッセージでは否定しましたけど」


 あぁ、やっぱり、そうか。


 聖納は1番目彼女になりたいと思いつつ、まだ2番目彼女ということで美海に少し遠慮しているようだ。だが、その美海がいない今は、俺にすべてを打ち明けてくれている。だったら、俺も思っていることをそのまま告げないと公平じゃない。


「そうか。だけど、その割には何もないから、ちょっと拍子抜けしたというか……」


「え? はい。そうですね。だって、まだ私の出る幕じゃないですよ?」


 俺は聖納の言葉と不敵な笑みに戸惑いを隠しきれなかった。

ご覧くださりありがとうございました。

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