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2-16. 4週目……躊躇いは一切ありません!(1/2)

これまでのあらすじ。

 夏休み。俺、金澤(かなざわ) 仁志(ひとし)は、小動物を思わせる小柄なかわいい女子能々市(ののいち) 美海(みなみ)と目隠れ眼鏡の爆乳女子の津旗(つばた) 聖納(せいな)と2人公認の二股恋愛中である。

 夏休みの4週目、世の中が盆休みのとき、俺は一人で留守番するということになった。まあ、それは建前で、実際は父さんが気を利かせて? 叡智なことをする場所を提供してくれたわけだが……。

 美海とは午前中から夕方までほぼほぼそういった行為に耽っていた。気持ち良かったし、気持ち良くさせてあげられたのは本当に良かった。その後、いろいろと話していく内に聖納との行為も強く意識するようになった。

 そして、今日、聖納がやってくる。

 ピンポーン。


 朝早くに鳴ったインターホンに俺は半分寝ぼけ眼の状態で叩き起こされた。スマホの時刻表示を見ると……まだ7時前じゃねえか! 勘弁してくれよ……もう誰だよ、こんな朝っぱらから。子どものイタズラだとしても勘弁しないからな!


 俺が少し不機嫌になりつつインターホンの画面を見ると、どうやら居なくなったか、隠れたか、カメラの目の前には誰も映っていなかった。まさか早朝に幽霊なわけもあるまいし、子どものイタズラかな。


 俺はもしかしたら俺が反応することで子どものクスクス笑う声とかが聞こえないかと思って、一応インターホン越しに会話をすることにした。


「はい、どちら様ですか?」


 俺がインターホンに出た瞬間、暗めの紺色の髪の毛がぶわっと現れる。


 あまりの衝撃的な映像に、俺の心臓が首元まで飛び跳ねたかのように驚いた。


「仁志くん、おはようございます!」


 聞き覚えがある元気いっぱいの声、しかし、その声質は朝一番よりも夜遅くという感じの落ち着きもある声。


 そう、聖納がインターホンの前に突如現れたのだ。


 聖納は目隠れ系の眼鏡女子のため、失礼だけど正直一瞬、マジで幽霊かと思った……。


 心臓にものすごく悪すぎる……。おかげで一瞬にして目が覚めたわけだけど。


「うっっっっっわっ! え、聖納!? え? あれ? 本当に聖納? 10時って言わなかったか?」


 そう、美海と同じように聖納にも10時からと言ってあった。早いと親御さんも心配になるだろうし、朝から呼ぶのもなんか行為をたくさんする前提みたいで恥ずかしいからだ。


「はい! でも、待ちきれなくて来ちゃいました!」


 うん、待ちきれなくて来ちゃった、じゃないんだよ。


 美海だって、もうちょっと早くに来たいって言っていたけど、俺が10時と言ってなんとか時間を守ってもらったのに。


 しかし、雨が降っていないとはいえ、こんな朝一で女の子を外に放置するわけにもいかない。


 俺は小さな溜め息を吐きつつ、聖納に見えないながらもやれやれと首を横に振った。


「いや、時間は……もう、分かったよ、ちょっと待ってて、今開けるから」


「はい!」


 うん、いい返事だ。時間も守ってくれるともっといいんだが。


 俺が玄関のカギを開けて扉も開けると、ウキウキを隠せずにぴょんぴょん跳ねている聖納が玄関で待っていた。


 聖納もかわいい。それは間違いない。


 聖納は動物でたとえると犬っぽいところがある。美海も最初、どこか犬っぽいなと思っていたけど、仲良くなってみると猫っぽさに気付く。


 意外と愛して系の美海と、暴走気味に尽くす系の聖納。この違いは今のところ俺の中で互角というか、同じくらいかわいいと思うし、好きになれる要素でもある。


 待て待て、俺、美海が一番だろ?


「はい、どうぞ」


 俺に許可を得た聖納が玄関へと滑り込むように入ってくる。


「おじゃまします!」


 聖納は映画を観た時とまったく同じコーディネートでやってきた。


 襟に大きなフリル付きの白色のブラウス、肩ひも付きのカーキ色のハイウエストロングスカート、所々の穴から素足が見えるこげ茶色のブーツサンダル、カーキ色のマリンキャップに黒のミニボストンバッグという姿は、やっぱり若干ゴシックっぽい感じ。


 それと、前と同様に、強調される胸!


 肩ひも付きのハイウエストロングスカートって、わざとかなって思うくらいに目の前にドドンとその大きな胸が強調されている。絶対、これで俺を誘っているんじゃないかと思いたくなるくらいだ。


 あと、朝に1回くらい処理しておこうと思っていたのに、予想外に早く来られたから、もうすぐにでもサルになりそう……。


「俺一人だから別にいいよ」


「いえ、やはり、人様のお家に入るなら挨拶はしっかりしないと」


「そ、そうか」


 こういうとこは真面目なのな。


「仁志くん、朝ごはんはまだですよね?」


 鋭いな、というか、まあ、当たり前っちゃ当たり前か。こんな時間で、短パンに肌着のシャツ1枚状態の俺はどう見ても寝間着で今起きました感しかない。


「あ、あぁ……」


「だったら、作っちゃいますね! 冷蔵庫の中の食材を使ってもいいですか?」


 朝から聖納の手料理が食べられるのは悪くない。むしろ、良い。


「あ、ああ、あ、ありがとう」


 しかし、なんだか、聖納にも美海にも悪い気がする。


「では失礼して」


 聖納は玄関の扉を完全に閉めてカギを掛けた後、いきなり服を脱ぎ始めた。


 あまりの衝撃に俺の目は点になって、慌てて半回転して聖納を見ないようにする。


 は? なんで、いきなり服を脱いでんのさ!?


「な、なんで脱ぎっ!?」


 パサパサパサッと、服を脱ぐ衣擦れの音が耳にやけに響く。


「え? お料理を作るので裸エプロンになろうかと」


「は、はだ!?」


 えっと、待って、待って、待って!?


 全然、思考が追いつかないんだけど!?


 え? 彼氏の家に来て、飯を作るから、裸エプロン?


 どんな理屈だよ!? いや、どんな理屈でもあり得ねえから!


「じゃん♪ あれ? どうして後ろを向くんですか? 後でいっぱいいーっぱい叡智なことするんですし、仁志くんに身体を見せることに躊躇(ためら)いは一切ありません!」


 言い切っちゃったよ!?


 躊躇って? 少しは躊躇って!? 俺が躊躇うから!


 さっきから脳内ツッコミが激しいんだけど!


「少しは躊躇ってくれるか!? って、なにそれ?」


 俺が驚きでツッコミが漏れ出ている中、再度聖納の方を向いてみる。


 でっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!


 男の悲しき性ゆえに、エプロンからはみ出て若干変形気味の胸に焦点が合ってしまう。


 その一方で、俺のことを気にした様子もない聖納がカバンから取り出したのは細くて割と短い革のベルトだった。


「え? 首輪ですけど?」


 聖納が何で聞いてくるのと言わんばかりの不思議そうな声色で説明してくる。


「はい?」


 俺の思考は停止した。


「裸にエプロンと首輪ですけど? あ、これから靴下も身に付けますよ? もしかして、タイツとかストッキングとかの方がよかったですか?」


 さも当然のごとく言ってのける聖納に、俺はいいねと一瞬首を縦に振りそうになった。


 って、縦に振れるわけあるかあああああっ!?


 目隠れ、眼鏡、爆乳、裸エプロン、首輪、靴下ってもう性癖の超特盛セットみたいな感じじゃねえか! そもそも、これ以上変な性癖を詰め込むんじゃないよ!


「いろいろ詰め込み過ぎだろ!? 俺にそんな趣味はない——」


 断じてない! とは言い切れない!


 興奮しない! とも言い切れない!


「あら……んふふ……朝ごはんよりも、こっちの方がいいですか? ご、しゅ、じ、ん、さ、ま?」


 聖納はそう言ってしゃがみ込んで、俺の内股をつつーっと擦っていた。


 それでメイド設定かよ! かなりぶっ飛んだメイドだぞ!? ところで、カチューシャはどこだ!?


 と、朝からこんな刺激的な状況に、俺の理性が瀕死になりかける。


 もうダメかもしれない……そう思ったが、俺の理性は、俺の理性は! 首の薄皮一枚で持ちこたえた! サルに堕ちてはいけないと、本能に負けてはいけないと理性が踏ん張りを見せる。


「待てい! さすがに朝から(さか)るわけには……」


「……そうですか。では、朝ごはんを作りますから、顔を洗ったりシャワーを浴びたりしてちょっと待っていてくださいね」


 聖納は先ほどまでの猛攻から一転、急に退いて、ご飯を作りに向かった。


 後ろ姿で見える綺麗な尻がふりふりと振られているのは、どう考えても俺を試しているようにしか見えない。


「あ、あぁ……」


 耐えろ、耐えるんだ、俺。


 つうか、俺、もっとロマンチックなやり方で叡智なことに持ち込みたいんだけどな。


 こう、聖納をキュンとさせたいというか。美海のときもそうだけど、いきなり叡智なことじゃなくて、なんか良い雰囲気になったら流れで、みたいなさ。


 聖納はもうド直球過ぎてさ。


 嫌いじゃないけど、むしろ、男として求められている感じがあって好きだけど、でも、聖納の初めてをもらうわけだし、俺も覚悟を持って臨んでいるわけだし、少しはロマンチックにしてあげたいなってさ。


 そう思いながら、シャワーを浴びて出てくると、台所から美味しそうな匂いがいくつもしてくる。


「仁志くん、ちょうどですね。できましたよ、温かいうちに食べちゃってくださいね。ささ、座ってください。本当は炊き立てのご飯がいいのですけど、すぐにはできないので、冷凍されていたものを使わせてもらいました」


 俺が言われるがままに座っていると、お尻をフリフリしながら聖納がささっとご飯を盛ったり、味噌汁をよそったり、スクランブルエッグとパリッと焼いたソーセージを皿にざっと入れたり、レタスとミニトマトのサラダを盛りつけたりしていた。


 この短い時間で俺の家の配置をマスターしたのか? 家事スキルが高すぎるな。


 で、俺が手を合わせていると、聖納はどこかへ行こうとしていた。


「あれ? 聖納は一緒に食べないのか?」


 聖納がくるっと回ってエプロンをひらひらと舞わせる。


「ええ、私はもう朝ごはんを食べてきましたから。洗濯をしますね」


 洗濯!?


 いやいや、そこまでお世話になるわけにはいかない。


 というか、飯を作ってもらった時点で既に申し訳なさでいっぱいなのに、さらには洗濯とか、これじゃまるで新婚の奥さんみたいじゃないか。


「いや、さすがに、そこまでお世話には……」


 俺が断ろうとすると、聖納が近寄ってきて、そっと俺の手に自分の手を合わせてきた。


 聖納の柔らかな手の感触と目の前に広がる大きな二つの胸が俺の脳内をあっという間に支配する。まあ、どうしても釘付けになるよね。


「私がしたいからするので、お願いですからさせてください」


「そ、そうか……じゃあ、お願いしようかな」


 聖納の懇願するようなかわいらしい声に、俺は一瞬にして敗北した。


 勝てるわけがない。


「はーい」


 聖納がルンルンといった様子で洗濯機の方へと向かって行く。


「朝から我を忘れてサル確定しそう……ん、美味いな。やっぱり、聖納のご飯は美味い……けど、若干後味が独特だな? マズいわけじゃないけど、妙だな」


 俺は妙な感覚に襲われながらも、聖納の美味い料理に舌鼓を打って、あっと言う間に平らげてしまった。


 美味しかったからか、ちょっと元気? というか、身体に熱がこもる感じ? になる。


「食べ終わりましたか?」


 洗濯機の操作を終えたと思われる聖納が俺の方にパタパタと近寄ってきた。前から見ると、聖納の胸が割と左右に振れるんだなとか思った。


 あれ? 聖納から目が離せない?


「今ちょうど、ごちそうさまでした」


「お粗末さまでした。片付けちゃいますから仁志くんは部屋で待っていてもらえますか?」


 聖納を抱きしめたくなる衝動を抑えつつ、俺は首を横に振る。


「いやいや、そこまでお世話にならないよ。そうだ、だったら、一緒に皿洗いしないか? ……って、あれ? ちょっとふらつく? なんかちょっと体が熱いかも?」


 俺が片付けを一緒にしようと立ち上がると、ちょっと頭がぼーっとしてきた。


 もしかして、風邪?


 だったら、聖納には悪いけど、風邪をうつしたら悪いから帰ってもらわないと……。


「効いてきました?」


 え? 何? 何だって?


 今、聖納、「効く」って言った?


「効……く……?」


 俺の聞き返した言葉に聖納がもじもじとしながら嬉しそうに口の端を上げている。


「はい、今日は初めてですし、滅多にできないでしょうから、トコトンがんばってもらおうと精力剤を少々……」


 せ、精力剤? 漫画やアニメじゃあるまいし……そんな即効性のあるものなんて……でも、それかはともかく、身体が熱いし、聖納を見る俺の目つきがきっといつもと違う自覚がある。


「聖納……あのなあ、これじゃ、俺……」


 俺がふらつく足取りをしていると、聖納が俺を支えながら、自分のカバンの中を見せてくる。

そこには避妊具のゴムのほか、AVや18禁の同人誌でしか見ないような道具がたくさんごちゃごちゃと入っていた。


 おいおい、これ、全部、聖納の私物なのか?


「仁志くん、寝室に行きましょ? 大丈夫、避妊具もおもちゃもたくさん買ってきましたから。仁志くんのすべてに応えられるように、私が仁志くんの彼女だと身体に教えてもらえるように」


 俺のすべてに応える?


 だとしたら、もっと話を聞いてほしいんだが……。俺は本能のままに聖納としたいわけじゃない。


 だが、もう抑える理性は首の皮一枚すら残っていない。


 こうなったら、身体に教えてほしいという聖納の望み通りになってやろうじゃないか。聖納がギブアップと言ってもやめてやらないからな。


「いいだろう……俺をこんなにパワーアップさせたことを後悔させてやるからな?」


「きゃあああああっ……んふっ……楽しみです」


 俺に少し乱暴気味に手を握られた聖納は嬉しそうな小さな悲鳴を上げた後に俺の歩くスピードに合わせて首輪に裸エプロンのままついてくるのだった。

ご覧くださりありがとうございました!

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