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【完結】今日も2人だけで話そ? ~彼女2人が公認の二股恋愛!?~  作者: 茉莉多 真遊人
1年生 夏休み

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2-14. 4週目……趣味は絵を描くことです!(1/2)

簡単な人物紹介

金澤(かなざわ) 仁志(ひとし):本作主人公。高身長、顔は普通よりちょい下。

能々市(ののいち) 美海(みなみ):ヒロインその1。低身長の小動物系女子。栗色の長髪持ち。

津旗(つばた) 聖納(せいな):ヒロインその2。胸部爆盛。黒髪で完全目隠れ、眼鏡あり。せーちゃん。

 世間で言うお盆休みの8月中旬。1週間ほどのお盆休みがある父さんは母さんと彩を連れて父さんと母さんの実家へと出発した。


 そう、俺は高校生になったこともあって、1人暮らしの予行演習という名目で留守番を父さんから任せられた。まあ、父さん曰く、それはあくまで建前で、家を空けてやるから、外やラブホなんて使わずに家で彼女と叡智なことでも楽しめということらしい。


 その中高生を持つ親らしからぬ提案に、俺は戸惑いを覚えつつも夏休みに美海と聖納と叡智なことをするという約束をしていたため、渡りに船とばかりに覚悟を決めた。


 それで俺は3人デートをしたその夜に、グループリンクで美海と聖納に盆に俺が一人で家にいることを告げた。すると、美海も聖納もグループ通話をするからとメッセージを打ってきて、グループ通話に切り替えて、興奮気味に話しかけてきた。


「行く! ウチ、火曜に行く!」


「私も行きます! 木曜はどうですか?」


 乗り気というか、なんだったら俺よりも期待感が高まっているんじゃないかって思った。


 とにもかくにも、こうして、俺はいよいよ美海や聖納と身体的な繋がりを持つことになる。


 いよいよ、童貞卒業か。昔はその言葉だけでワクワクドキドキしたんだけど、今はちょっとばかり緊張している。


「さて、いよいよ、こいつの出番か」


 前回のお家デートの際に机の中に忍ばせていたゴムを手に取った。


 デカデカと0.02と書いてある箱は開けてある。本番で焦りたくなかったから1個だけ試しに付けてみた。窮屈な気もしたが、付けられないほど痛いわけじゃないから意外とピッタリってことなんじゃないかと思っている。


 男としては太く大きく硬い方がいいんだろうけど、多分、俺は普通かそれよりちょっとくらいしか大きくないサイズなんだよな。多分。


 あと、美海や聖納のことも考えるとジェルが多めの方がいいのかって悩んで、たっぷりジェルタイプって方を買った。それと、ラテックスってアレルギーが出る可能性があるのかって、サイズがなかったけどポリウレタン製にした。さらに、薄い方がいいのかと思っていたけど、装着するのに手間取る可能性があるって書いてあって、0.01にしないことにした。


 ……こんな感じで、スマホでとにかく調べまくった。調べられるだけ調べて、装着方法も調べたし、失敗しない叡智の仕方もしっかりと勉強した。


 多分、今、俺ゴム博士とか叡智研究員とか名乗れそう。


「とりあえず、10時に美海が来るし、支度しないとな」


 俺は一旦ゴムを元の場所に戻す。机の上にドンと置いておいたら露骨過ぎてドン引きされそうだしな。まあ、2人ともする気ではあるのだろうけど、露骨なのはガツガツしている感じがして美海にだと嫌われそうな気がする。逆に聖納には望まれていそうな気もする。


 そんなこんなで掃除したり洗濯したりして美海を待っていると、10時前くらいに玄関のインターホンが鳴った。


 インターホンの画面を確認すると、栗毛の頭頂部が見えてから美海の顔が映る。どうやら深々とお辞儀をしていたようだ。また緊張しているな。まあ、俺も前回とは別の意味で緊張しっ放しだけど。


「お、おはよう、美海」


「ひーくん、お、おはよう」


 インターホン越しの挨拶はお互いにぎこちない。外はかなり暑いのか、美海の頬が薄い赤色をしていて、若干汗ばんでいるようにも見える。早く家に入れて涼んでもらわないと熱中症になりかねないな。


「今開けるから待って」


 俺がインターホンにそう言い残して玄関へと急いでカギを開けて扉も開けると、ぎこちない笑みを浮かべた美海がじっと立っていた。


 自転車で来たからか、今日も美海は下が黒のショートパンツだが、上が白のシャツに光沢のある薄手のショートジャンパーを羽織っている姿になっていた。


「お、おじゃましまーす」


「今俺しかいないから、あー、えっと、そんなに緊張しなくてもいいよ」


 むしろ、俺しかいないから、これからのことを想像して緊張しているのか?


 美海の緊張が俺にも移って俺ももっと緊張する。


「あ、うん、そうやよね。きょ、今日もお弁当を作ってきたから」


 美海がはにかみながら、両手でお弁当の入ったトートバッグを俺に見せてくる。


 たしかに、昼飯をどうしようか考えていなかったな。


「ありがと。美海の料理も好きなんだよな」


「……も?」


 美海の笑顔がすっと消えて無表情で首を傾げる。


 やべ、聖納の手料理と比較してしまった。


「ごめん、比べるの悪いよな。コンビニのパンとか弁当とか、ファミレスとか、あと、母さんの作った飯とか! そういうのと比べちゃって、美海の料理もって言っちゃった。ごめん」


 いろいろと並べ立てて、「母さんの作った飯」と言った途端に美海の顔が驚きの後に急に軟化したようにニマニマニマっと嬉しそうな笑みへと変わっていく。


「う、ううん! ひーくんのお母さんの料理と比べるとまだまだやけど、愛情なら負けてないと思うんよ!」


 なんか彼女と母さんを比べるとかマザコン感あるから嫌なんだけど、でも、美海が喜んでくれるならいいか。


「ありがと。嬉しいよ」


「えへへ」


 美海に普段の笑顔が戻ってきて、俺は弁当を預かって冷蔵庫に入れた後、美海を連れて自分の部屋に連れて行く。


「さてと——」


 いきなり叡智なことをするみたいな提案をするのは憚られて、俺が何をしようかと美海に訊ねようと口を開いて美海の方を向くと、美海がちょこんと床に敷いた座布団の上で正座になって座っていた。


 かわいい。しかし、なんだか姿勢良すぎないか?


「えっと、本日はお日柄も良く」


 ……見合いか? 俺も正直緊張しているけど、美海の方がその数倍も緊張していそうだ。


 ここは部屋の主としてなんとか普段通りに戻してあげないとな。


「美海、落ち着いて。何か飲むか? 麦茶なら作ってあるんだけど、一応、オレンジジュースも買ってあるし、ほかにも紅茶なら——」


「しゅ、趣味は絵を描くことです!」


 趣味は聞いてない。飲み物を聞いているんだが。


 緊張しすぎて、お笑い芸人のコントで見るような見合いっぽくなっている。


「美海? 飲み物を——」


「えっと、お母さんの作るハントンライスが好きです」


 食べ物じゃねえ! 飲み物だよ、飲み物! 急にハントンライスとか言われると困るんだが!? え、今から作る? 白身魚のフライ揚げちゃう? タルタルソース作っちゃう? オムライスに乗せちゃう?


「美海? おーい、飲み物だぞ?」


「あと、映画鑑賞も好きです。最近、流行りの恋愛映画を観まして——」


 戻ったあああああっ! 趣味に話が戻ったあああああっ!


 だから、飲み物を聞いているんだって!


 だいたい、それ、知ってるよ!? 一緒に観に行っただろう!?


 緊張しすぎて、多分、自分でも何を言っているのか、分かってない感じがするな。


「美海」


 こうなりゃショック療法だ。


「ひゃう!?」


 俺が後ろから美海をぎゅっと抱きしめると、美海はビクンと跳ねた後に言葉にならない声を上げた後にようやく静かになる。


 どうやら美海を落ち着かせることには成功したようだが、むしろ、俺の本能が落ち着かなくなってきた。理性が必死に本能とせめぎ合っているが、このままだと負けそうだ。


「落ち着いて。見合いに来たわけじゃないだろ?」


 じんわりと美海の温かさが俺に移って感じられるから、きっと俺の温かさも美海に伝わっているだろう。それどころか、美海の背中に押し付けている身体から俺の鼓動も美海に伝わっているんじゃないか。


「そ、そうやね。今日は叡智をしに来て……あっ……あうううううっ……」


「いや、俺も叡智なことを期待してたよ」


 ……理性のダメージは深刻だ。もうもたない。


「ガツガツしているみたいで、恥ずかしい……」


「ははっ、たしかに、ガツガツしているのが怖いって言っていた美海なのにな。だから、俺もガツガツしないように気を付けているしな」


 ガツガツという言葉でハッとして、俺の理性が持ち直し始めた。


 ガツガツしない、ガツガツしない、ガツガツしない。


「……でも、最近は違うよ?」


 ガツガツしな……えっ?


「え?」


「ひーくんになら、ガツガツされてもいいというか……ガツガツしてほしいというか……もっとグイグイと男らしく迫ってほしいというか……」


 ガツガツしてもいい? ガツガツしてもいい? ガツガツしてもいいのか?


「美海……そんなこと言われると我慢できなくなる」


「うにゅ……今も、ひーくんの好きにしてほしい」


 理性! 踏ん張れ! 理性! まだだ、まだ……これは試しているだけかもしれない!


「……何してもいいのか?」


「う、うん……あ、で、でも、避妊だけはしてほしい」


 美海は自分のカバンから茶色い紙袋を取り出していた。薬局で買うとこういう感じで見えないように包装してくれる。わざわざ俺に見せてくるわけだから、きっとゴムなのだろう。


 美海も買ってくれたのか。


 ……美海に売った店員はどう思ったんだろうか。


「もちろん。俺も買ってあるから」


「そ、そうなんや。いっぱいあるなら、たくさんできるね」


 いっぱいしてもいいの? え、もしかして、今日は本当に叡智だけ?


「いっぱいしてほしいのか?」


「うん!」


 まさか元気いっぱいの返事が来ると思っていなかった。


 この時、俺の理性が瀕死になって引っ込み、男としての本能はようやく勝ちの雄叫びを上げる。


 興奮で少し鼻息を荒くし始めた俺は美海のショートジャンパーにまず手をかけ始めた。


「美海……」


「あ!」


「え?」


 美海の何かを思い出したかのような声に、俺の手がピタッと止まる。


「あのね、来るときに汗かいたから、シャ、シャワー浴びたい……かも……」


 一瞬、構うもんかとも思ったが、お互いに初めてだし無理にしたら嫌われると思った俺は、理性が一瞬で復活して風呂場へと紳士的に案内するのだった。


 結局、ガツガツできていないんだよな、俺。

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