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今日も2人だけで話そ? ~彼女2人が公認の二股恋愛!?~  作者: 茉莉多 真遊人
1年生 1学期

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1-31. 7月……がんばろ?(3/4)

簡単な人物紹介

金澤(かなざわ) 仁志(ひとし):本作主人公。高身長、顔は普通よりちょい下。

能々市(ののいち) 美海(みなみ):ヒロインその1。低身長の小動物系女子。栗色の長髪持ち。

津旗(つばた) 聖納(せいな):ヒロインその2。胸部爆盛。黒髪で完全目隠れ、眼鏡あり。せーちゃん。

松藤(まっとう):仁志の友だち。バスケ部。美海と小学校からの知り合い。

鶴城(つるぎ):仁志の友だち。バスケ部。美海と小学校からの知り合い。

美河(みかわ):仁志の友だち。バスケ部。美海と小学校からの知り合い。

 8クラスだから8チーム、するとトーナメントで優勝するには3回勝つ必要がある。少なくとも2回勝たないと、逆側のグループになっている松藤と勝負することすらできない。


 初戦。バスケトリオの1人、鶴城のいる1組と当たった。


「ふう……8組、割と強いメンバーやんなあ。あーあ、めっちゃ疲れたわ。残りもがんばってな」


「おう。ありがとな。がんばるよ」


 接戦ではあったものの苦戦とまではいかず、思ったよりもすんなり勝てた。


 正直、バレーのチームメンバーは悪くなくて優勝も狙える。このクラスマッチ、全種目、優勝狙いのクラスは1年生だとほぼない。


 要はクラスごとに運動部を据える重点種目が異なり、残念なことに俺のいる8組はフットサルというかミニサッカーで優勝を狙うってことでスタミナ最強戦力のバスケ部やテニス部を充てられている。で、バレーだが、一応次点扱い、かつ、部活の関係でサッカー部の一部と卓球部がメインで、文化部系ながら背の高い俺も戦力扱いにはなっている。


 ちなみに、キラキラ感があるので、人気なのはバレーよりもテニスだ。で、卓球はほかの球技と全然違って正直難しく、運動神経よりも経験の有無が大事で、経験者でないとそもそも試合にすらならないこともあって、こう言ってはなんだが運動神経関係なく余り物が放り込まれた。


 俺も最初は卓球でやり過ごそうと思っていた。我がクラスのクラスマッチ参謀のこまっちゃん情報で他のクラスは中学校での経験者を投入するって話があったのもあるから負け試合っぽかったし。


 ちなみに、バレーのメンバーを最強にしてほしいとこまっちゃんに言ってみると「私情は挟まない。オレたちが狙うのはミニサッカーが最優先だ」という一言で片付けられた。


 断られたものの、常に全体最適を狙う信頼できる男だと確信できる。


「ひーくん、すごーい!」

「仁志くん、さすがですー!」


 しかし、この眩しいくらいの応援は卓球じゃきっとなかっただろうなと思うと、バレー勝負を受けてよかったなと思う。俺の長身も活かせるし、素人どうしで柔らかブロックも(なまく)らスパイクでも何とかなる。


 というか、実力じゃない気がする。俺の一挙手一投足に聖納が喜び飛び跳ねて、聖納の胸が揺れるたびに男子の視線が集中していたので、意図せずに視線誘導(ミスディレクション)で勝ったんじゃないかな。


 それにしても、胸よりもすごいのは、飛び跳ねても微動だにしない目隠れ前髪じゃなかろうか。強すぎるし、まあ、半分しか見えない笑顔もかわいいし。


「調子に乗りやがって……」

「あいつ、絶対泣かしたる」

「ぶちのめす」

「なんで二股して彼女どうしが仲良いんだよ……」


 その分、ヘイトも稼いでいる。うん、いや、まあ、分かるけど。もうちょっと心にその思いをしまっておいてくれないかな。特に、味方までヘイトするのはやめてくれ。


 俺は試合が終わると俺を待ち構えていた美海と聖納の方へと近寄っていく。


「応援ありがとう」


「ひーくん、まだ時間あるよね? 一緒にせーちゃんの応援しない?」


 明るく元気な声で、眩しいくらいの笑顔で、美海はそう提案する。


 俺には不思議でしかない。この3人は友だちどうしではなく、彼氏とその彼女2人なんだ。でも、そう感じない。なんか、やっぱ、調子が狂う。


 俺の頭が固いだけか? そうでないと信じたい。美海が小学生なんてまだまだ幼いときから何を抱え込み続けているのか。それが重たいものでも俺は一緒に持ってあげたい。


 でも、このクラスマッチが終われば、そう、もう少し強引にでも美海の気持ちを聞こう。


「あ、そうするか」


「ええっ!? 私の応援ですか?」


 聖納の反応は「恥ずかしい」をそのまま仕草にした感じで、口の端が下がった半開きで、両手を自分の胸の前でぶんぶんと振り回している。なんかちょっと微笑ましい。


「せーちゃん、がんばってね!」


「う、うん……」


「聖納、無理せずに自分ができるだけのことをすればいいと思うよ」


「は、はい!」


 俺と美海に見送られて、聖納がコートへと入り、クラスメートの女の子と仲良さそうに位置決めをしてスタートする。


「せーちゃん、がんばれー」


「聖納、焦らないようになー」


 その後しばらく試合を見ていたが、聖納がバレーボールを持つと、一瞬、本物のボールがどこにあるのか分からなくなる。


 分身の術というか隠れ蓑の術というか、多分、色香の術なんだろうけど、女子相手には効かないだろうしなあ。


 それにしてもデカいな……。


「ひーくん? どこ見てるんかなー?」


 美海に考えていることを見透かされているようだ。今日はほとんどジト目の美海しか見ていない気がする。


「せ、聖納の応援だから、聖納だぞ? まあ、でも、はい、ごめんなさい。聖納の大きな胸を見ていました……」


 うん、最近、素直な感想を隠す気がなくなってきた。


 俺、正直者だから、というよりも、まあ、100%バレてるから、言い訳するだけ無駄だからって方が正しい。


「そうだよね……」


 美海が俺の言葉を聞いてから、なんと、下を向いて自分の胸をぺたぺたと気にしながら触っていた!


 いや! そういう仕草はたまらんのよ! こう、恥ずかしいけど、ちょっと気にして、自分の胸を、こう、ね! ……ごめん、語彙力消えて暴走していた。


 とにかく美海の今の仕草は全俺の心に響いた。


 それに美海も決して小さくないと思うぞ!


「美海……美海のも好きだぞ」


「……バカッ!」


 痛い! 割と本気で殴られたのか、肩がジンジンする。


 でも、その見返りは大きい。


 顔を真っ赤にして膨れ面にしながらも「本当? 私のも好き?」って感じで、眉が八の字になってこっちを見つめる美海が本当にかわいい。


 そんなことしながらも聖納の応援をしていて、聖納のチームは善戦したものの最後は押しきられて負けてしまった。


「負けちゃいました」


「がんばったんだから気にすることないよ」


「そうやよ、せーちゃん、すっごくがんばってたもん!」


 俺と美海が落ち込んでいる聖納を励ましていると、聖納が俺の方を向いて、自分の頭をポンポンと叩き始めた。


 美海はその仕草がまだ分かっていないようで不思議そうな顔で俺と聖納を交互に見ている。


「あ、あの、がんばったごほうびください!」


「うん、よくがんばったな」


「!?」


 俺が聖納の頭をポンポンと軽く手を置くようにしてから、数回撫でるように左右に手を動かす。


 美海の顔がすごいものを見ているといった様子でくりくりっとした真ん丸な目をさらに大きくして、焦げ茶の瞳が今にも飛び出てきそうだった。


「えへへ……んふふ……はあ……温かくて幸せ……ありがとうございます……」


「!?」


 一方の聖納はポンポンに加えて、なでなでされることまでは想定していなかったようで、いつもよりもちょっと甘い声が漏れ出ていた。


 うん、ちょっと叡智である。


 その声に美海はさらに驚き、俯く。


「美海? どうした?」


「えっと、次はウチだから……ウチもがんばるから……だから……」


 美海が俯きながらぼそぼそと聞こえるか聞こえないかくらいだが、頭に手を置く仕草で俺のポンポンなでなでを要求していると分かる。恥ずかしがり屋の美海はきっと顔をいつものように真っ赤にしているんじゃないだろうか。


 正直、嬉しい。


 美海が俺を求めてくれることに心が満たされていく。


「ちゃんと美海にも同じことするから」


「うん!」


 その後、美海のチームは決勝戦まで勝ち上がって、無事に勝利を収めることができた。なので、俺はポンポンなでなでを3回授与するという大役を果たした。


 で、俺の方だが……。


 いや、それが……。


「金澤、すまんねえ。松ちゃんも倒したるから、引き分けくらいに持ち込んだるから期待しまっし」


 2回戦。美河(みかわ)がいる2組に善戦するも、1回戦を分析されていたようであんまり動けていなかったチームメンバーの方に集中砲火を受けてしまい、あえなく2回戦で敗退という結果になる。


 つまり、松藤(まっとう)と戦うことすらできなかった。で、松藤のチームは無事に決勝戦進出だ。


 どう考えても、自動的に俺の負けである。


 視界の端で俺を見る松藤の姿があった。俺が軽く手を振ると、松藤はそれに応じて手を振っていた。


「引き分けじゃダメなんだがな……」


 俺が残念そうに歩いていると、美海と聖納が慰めに来てくれる。


「ひーくん、残念だったけど、すっごいがんばってたよ!」

「仁志くん、すごかったですよ! バレー部かと思ったくらいです!」


 ちょっと救われたような気分だ。


 だが、結果は変わるわけじゃない。


 つまり、俺はこんなところで落ち込んでいるわけじゃない。俺は自分で美海からきちんと聞かなければいけないからだ。


 でも、これが本来あるべき姿なのかもしれない。俺はよく分からない美海の気持ちから逃げようとしていたのかもしれない。


 それを神様が許さなかった、とするなら、俺はきちんと向き合わなければいけない。


「ははは……ありがと」


「???」

「???」


 だけど、今はちょっと気持ち的にダメだ。明日、終業式の後にちゃんと聞こう。


 さすがに、これは夏休みまで伸ばせない。


 少なくとも、夏休みに美海と身体を重ねるまでに少しでも糸口を見つけないと。


 俺はきっと美海を抱けない。

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