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【完結】今日も2人だけで話そ? ~彼女2人が公認の二股恋愛!?~  作者: 茉莉多 真遊人
1年生 3学期

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4-Ex3. 2月……いよいよか

簡単な人物紹介

金澤(かなざわ) 仁志(ひとし):本作主人公。高身長、顔は普通よりちょい下。

能々市(ののいち) 美海(みなみ):ヒロインその1。低身長の小動物系女子。栗色の長髪持ち。

津旗(つばた) 聖納(せいな):ヒロインその2。胸部爆盛。黒髪で完全目隠れ、眼鏡あり。せーちゃん。

司書:図書室の受付お姉さん。仁志を「少年」呼びする。

 バレンタイン前のある日の放課後。ちょっと吹雪いているので、様子見で図書室に寄ってみると、割とがらんとした中で司書が図書の整理をしていた。


 3年もそろそろ卒業式を除いた最終登校日とあって、図書室では未返却の図書がないかを確認しているようだ。とはいえ、この時期にわざわざ借りるようなタイプが借りパクすることは少ないらしいので、「あくまで年度末の点検のついで」と司書が前に言っていたな。


 そんな司書が俺に気付いて、軽く手を振ってくる。


「少年、ちょうどいいところに来た」


 ちょうどいいところに?


 なんか図書の整理でも手伝わされるのか?


「司書さん? 何かありましたか?」


 俺が近寄って話しかけると、本が手渡される。


 やはり書棚の整理を手伝わされるのか。


 俺は文句1つ言わずに背表紙の管理番号を見て、該当する場所に本を並び替える。


「いよいよか、と思ってな」


 しかし、本命は整理の手伝いではないようで、急遽雑談が始まった。


 いよいよ?


「いよいよって、急に何ですか?」


「いや、2月だろう?」


 あぁ。ここでもバレンタインの話なのね。


 さすがに先日の美海とのやり取りもあって、バレンタインがピンと来ないわけがなかった。しかし、司書もバレンタインの話をしてくるとは。


「そうですね。まあ、縁遠過ぎて、美海との会話でバレンタインって言葉が出るまでピンと来なかったんですけどね」


 ちょっとした自虐を差し込んでおくと、司書が小さく笑った。


「ははは……だが、そんな日々も昨年までの話だろう? 今年は美海ちゃんと聖納ちゃんからチョコレートをもらえるんだろうから」


 2人からチョコをもらうか。


「そうなんですけどね」


「なんだ、浮かない顔をして」


 やっぱりどうも浮かない表情が顔に浮かび上がっているようだ。


 まあ、浮かない顔を隠すつもりもなかったってのはあるけど。


「いや、いつまでも二股していて、ついにバレンタインまで引きずったのかと思って」


「いいじゃないか。こればかりは少年の一存じゃ決まらない話だからな」


 司書は二股になった当初からの知り合いでもある。


 もっと言うと、俺に二股を唆した一人でもある。あのときは、美海や聖納からの懇願、そして、司書の説得を受けて、俺は二股という状況を受け入れることにした。


「そうなんですけどね。こう歯がゆいというか」


 当時受け入れたこと自体は自分で納得したことだ。だから、いまさら過去のことを蒸し返すつもりはない。だけど、やはり、二股を続けたくないという気持ちが強まっている。


「そう思うなら、もっと美海ちゃんや聖納ちゃんと近付いてみてもいいかもな」


 もっと美海や聖納に近付く?


 それは俺が知らないことを知った方がいいということだろうか。


「え? 2人ともこれ以上ないくらいに近付いていると思いますけど」


 俺も司書も本棚の方を向きながら会話をしている。


 何かをしながらの方がちょうどよかった。


「だとしたら、もう少し細かい部分も見てみるといいかもしれないな」


「細かい部分?」


 一瞬、手を止めてしまうが、再び本棚の整理に戻る。


 細かい部分とは一体なんだろうか。


「女の子の気持ちを知るために顔色を窺うのはいいことだが、何も気持ちが出るのは表情だけじゃないぞ?」


 司書の言い方からして、及第点はもらった感じがした。


 だが、それ以上のことを今、してみたらどうだと求められている。


「仕草とか、ですか?」


「そう、手や足、仕草、表情と別に目の動きとかな。案外、思ってもみなかった事実がそこにあるかもしれない」


「なるほど。表情以外……ですか……」


 心がけているつもりだが、司書には見えていて、俺には見えていないものがあるのかもしれない。


 それを司書は言外に伝えてくれていて、それは自分で見つけなければ意味がないのかもしれない。


「それはそうと、話を戻すとバレンタインだけど、図書室で渡してもらうのはどうだ?」


 俺の心中がバレンタインと無関係のところでぐるぐると回っていたところに、司書が不意にバレンタインの話に引き戻してきた。


 図書室でチョコを受け取る?


図書室(ここ)で、ですか?」


 俺が担当していた本棚の整理が終わり、近くにある別の本棚の整理を始める。司書もほぼ同じタイミングで整理が終わったようで、俺の近くの本棚の整理を始めた。


「そう。教室じゃ目立つだろうし、先生たちの目も厳しいぞ? さすがに昨今、完全没収からの廃棄はないだろうけど、放課後まで預かられるのと返却時の注意くらいはされるだろうな」


 それはちょっと面倒だな。


 それに2人のチョコが一時的にでも俺以外の人の手に渡るのはちょっと嫌だ。


 しかし、だからって、図書室?


図書室(ここ)なら違うと?」


「そりゃここは先生方が滅多に入ってこないからな。私の管轄だし」


 ……いやいや、おいおい。


「それでいいんですか?」


 さすがにそれはやり方が露骨というか、バレたら司書にも迷惑が掛かるんじゃないか。


「いいんだよ。別に先生方も躍起になって取り締まりたいわけじゃない。目に入るから対応せざるを得ないだけでな」


 たしかに手荷物検査なんてしたことないし、スマホも目の前で使っていなければ没収されることもないな。


 貴重品にせよ、そうでないにせよ、職員が預かるというのは紛失した際のリスクもあるし、関わりたくないってのが本音か?


「なるほど」


「だから、目の届かないところでやればお互いに不干渉さ」


 ……そこの正当性はともかくとして、まあ、曖昧にして互いに不干渉になっておくことの意味は十分にあるか。


「そんなもんですかね……」


 俺はそう返しつつも四角四面なタイプでもないので、頼れるものは頼っておこうかと気持ちを切り替えていた。


「ところで、書庫と準備室、どっちがいい?」


 ……また不思議な2択がきたな。


 どういうことだ? 書庫か、図書準備室か?


 うーん……そりゃガラス扉の前で受け渡しはするつもりないけど、ちょっと奥まった場所に行けば十分じゃないだろうか?


「え? 受け渡しなら、そこら辺でもいいんじゃ?」


 俺がそう訊ねると、司書がいきなりこちらを振り向いた感じがした。


 俺がそれに合わせて司書の方を見てみると、司書が驚いた表情を見せてくる。


「え? その後、ケダモノと化した少年が2人相手にイケナイことをするんだろう? そんな見える場所でいいのか?」


「…………」


 ほう……どういうことなんだろうなあ。


 なんか2人で悪だくみをしているのかな?


 たとえば、こっそりと精力剤をチョコに入れるとか、こっそりと精力剤をチョコに入れるとか、こっそりと精力剤をチョコに入れるとか、な!


「ん? あれ? あー……少年には言ってあるって言っていたから聞いてしまったが……しくじったか」


 しくじった、ではない。


 むしろ、止めてくれ。


 司書は2人の味方が過ぎるぞ。


「いえ、司書さん、ありがとうございます」


 俺は精一杯の笑みを司書に向けた。


 まあ、司書が引きつっているのは見逃していない。


 美海も聖納も、あれだけ伝えたつもりなのに、それでも使おうとしたな?


 どうせ俺ならなんだかんだで許してくれると、そんなゆるい感じで強行突破しようとしているのだろうな。


 そう思っているだろうってこともひっくるめて、ちょっと許せないんだが。


 ……どうしてくれようか。


 沸々と沸きあがる俺の怒りに司書が勘付いたようで、司書は両手を俺に向けて宥めようとしてくる。


「あ、あぁ……あの、その、2人を怒らないでやってくれな? 少年に喜んでもらいたいのは間違いないし、それに仲良くなりたいだけなんだから……」


 仲良くなりたいだけって……やり方ってものがあるだろう。


 そう思いつつ、司書のフォローもあって、あまり2人を怒る気になれなかった。


 やっぱり俺は2人に甘いのかな。


 ただ、ちゃんと分かってもらわないといけないことだけは間違いない。


「ええ。ちゃんと、もう一度、俺の意見を伝えるだけですよ」


「ははは……優しくな?」


「ええ、優しくしますよ」


 その後、司書のことは言わずに、もう一度だけ、リンクで不純物混入禁止のメッセージを強く、かなり強く伝えておいた。


 その後、2人から『はい……絶対に使いません……』とだけ返事がきたのだった。

ご覧くださりありがとうございました!

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