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【完結】今日も2人だけで話そ? ~彼女2人が公認の二股恋愛!?~  作者: 茉莉多 真遊人
1年生 2学期

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3-Ex8. 12月……プレゼントはどうするの?

簡単な人物紹介

金澤(かなざわ) 仁志(ひとし):本作主人公。高身長、顔は普通よりちょい下。

能々市(ののいち) 美海(みなみ):ヒロインその1。低身長の小動物系女子。栗色の長髪持ち。

津旗(つばた) 聖納(せいな):ヒロインその2。胸部爆盛。黒髪で完全目隠れ、眼鏡あり。せーちゃん。

(あや):仁志の妹。小学6年生。かわいいけど、イタズラ好きで抜け目がない。

 結局、クリスマスパーティーは3人でしようってことになった。理由は他の人がいるとイチャイチャできないからとのこと。そんな理由で3人だと嬉しいやら恥ずかしいやらだが、2人がそう言ってくれるなら3人で盛り上がりたいよな。


 そんな感じで和やかにクリスマスパーティーの計画をグループリンクで話し合っていたら、俺は最大級の問題にぶつかった。


『みなみ:ねえ……クリスマスのプレゼント交換ってできるかな?』


『仁志:もちろん!』


『津旗 聖納:私もプレゼント交換したいです!』


『仁志:もちろん! どっちかだけとするなんてことはしないから』


 そう、恋人なら当然するだろうクリスマスプレゼント交換だ。で、問題は、俺、美海と聖納に買わなきゃいけないので、必然的に予算が半分になるというものだ。ただでさえ、この3人の中で小遣いが一番少ない上での半分だから中々難しい。


 だけど、絶対にしたい。


 何故なら、俺が中学生のとき、『彼女がいたらしてみたかったこと TOP10』にランクインしている『クリスマスに彼女とクリスマスプレゼントを交換し合って、お互いにプレゼントを喜びながらイチャイチャしたい』が達成できるからだ。


 なんだかんだで、だいたい半分くらい達成できているのか? ちゃんと数えてないな。


「俺、いくら持ってたっけ……」


 さて、俺の財布の中身は……うーん……まあ、年始になればお年玉が手に入るから、プレゼントですっからかんになってもいいとして、それでも一人5,000円もいかないか。


『津旗 聖納:予算を決めて合わせませんか?』


 聖納がここで提案してくれた。ここで何となくの予算感が決まるのはありがたい。


『みなみ:そうやね。あんまり高いとお互いに大変やし』


『仁志:あー、そうだな』


『津旗 聖納:ということで、仁志くん、いくらくらいにしましょうか?』


 え……ここで俺? あ、そうか。俺の財布が一番厳しいからか。


 聖納の気遣いに感謝しつつ、ここは選択の幅を広げるためにもギリギリを攻めるしかないと覚悟を決めた。


『仁志:そうだな……だったら、4,000円前後でどう? 俺は2人にそれぞれ贈るつもりだから、合計で8,000円くらいって感じ』


 1人4,000円で合計8,000円。この金額辺りが現実的というか、実際の俺の限界ギリギリだし、美海や聖納も考えやすい金額になるんじゃないだろうか。


『みなみ:うん、わかったー』


『津旗 聖納:いいえ、2,000円までにしましょうか』


 しかし、美海が賛成した後に、聖納はそれよりも半額の予算を示してきた。


 どういうこったい。まさか聖納の想像が2,000円くらいだったとか?


 だとしたら、俺に聞いた意味とは?


『みなみ:え?』


 さすがに美海も不思議がって、そのメッセージの後に「???」を浮かべる猫のスタンプを送っている。


 俺も同感だ。


『仁志:じゃあ、なんで聞いたよ……』


 ちょっと非難がましく見えるかもだが、言ったのにすぐさま変えられたのだからそれくらいは許されてもいいだろう。


『津旗 聖納:仁志くん、絶対に、出せるほぼ全額で考えていますよね?』


『みなみ:あー……』


 ……聖納は俺のことを考えてくれていたようだ。俺が限界を言ってくると考えて、あえて言わせてきたあたり、俺の負担を一番に考えてくれていたのか。それに比べて、俺は聖納の考えに思いを巡らせることもなく、ただムッとしただけか。


『仁志:はい……仰るとおりです……』


 聖納、なんか悪く思ってごめん。


『津旗 聖納:なので、2,000円にしましょう』


 聖納は決定と言わんばかりに予算2,000円を推してくる。


 美海も先ほどの言葉にならないメッセージを送っているあたり、聖納に十中八九賛成するだろうな。


『仁志:と言っても、2,000円じゃ買えるものもだいぶ限られてくるよな……』


『津旗 聖納:そうですけど、そうやって仁志くんが私のために、いろいろと考えてくれる方が嬉しいです』


『みなみ:うん、そうやよね。ウチも2,000円で賛成!』


 これはもう覆せないな。


『仁志:2人ともありがとうな。一生懸命考えてみるよ』


 俺はメッセージとスタンプを送った。その後に、美海も聖納もスタンプを送ってくれて、一旦、グループリンクを閉じる。


「さて、予算1人2,000円か」


 スマホを横に置いて、ベッドの上であぐらをかいて考えに耽る。


 2,000円って、割ときつい。4,000円くらいあると手袋やマフラーなんかの冬小物も選択肢に入ってくるけど、2,000円ともなるとさすがに微妙だ。もちろん、探せばあるだろうけど、美海や聖納が普段身に着けている小物を考えるとどうしてもグレードダウン感が否めない。


 俺の冬小物だったら、2,000円くらいのものでも普段と変わらないからいいんだけどなあ。


「お兄ちゃん、いい?」


 ふと、考え込んでいるとノックの音ともに彩の声が聞こえてくる。


 今日は父さんに、彩に、と訪問客が多い。


「いいけど、どうした?」


 俺の許可が下りて入ってくる彩は、白くてモコモコっとした上下のパジャマを着て、まるで羊のようだ。その彩がニヤニヤニヤっとした表情のまま、俺に近付いて隣に座ってくる。


「ねえねえ、美海ちゃんや聖納さんへのクリスマスプレゼントはどうするの?」


 ……唐突に俺の悩みに介入してきたぞ、こいつ。


「質問がタイムリー過ぎる」


 俺の言葉に、彩が両手を口元に近付けて女の子っぽい仕草をしていた。


「えー、だって、さっきお父さんから、クリスマスイブの朝におばあちゃんちへ出発するし、お兄ちゃんは家で留守番って話を聞いたから、お兄ちゃんが美海ちゃんや聖納さんとクリスマスパーティーでもするんじゃないかなって思って」


 名探偵か?


「推察が鋭すぎる」


 俺が驚いていると、彩が不敵な笑みをこぼす。


「ふっふっふ……で、何を買うつもり?」


「それで悩んでるところ」


 俺が決めかねていると知ってか、彩はずずいっと顔を近付けてきて、「相談に乗るよ」という言葉を口にすることなく表情で訴えかけていた。


「そうなんだ。いくらくらいにするの?」


 興味ありそうだし、女の子だし、プレゼント選びの参考にするのはアリか。


「1人2,000円って今決まった」


 彩がちょっと考え込むポーズをしてから、何かピンと来たのかハッとした様子を見せる。


「ふーん。あ、だったらさ、お絵描き好きの友だちが持っていていいなって思ったのがあるんだけど。それいくらだろ?」


 彩は美海と聖納が美術部だってところから、彩の友だちが持っているお絵描き道具か何かを連想したようだ。


「お、いい情報っぽいな。どんなもの?」


「えっと……ちょっとごめんね」


 俺が期待を込めて置いていたスマホを手に持つと同時に、彩はどかっとあぐらをかいていた俺の上に乗っかってくる。


「なんで乗っかってくるんだよ」


 彩が上に乗っかってくるなんて2年ぶりくらいか? そう考えるとけっこう最近まで抱っこしていたような気もするが、まあ、小学生でも中学年と高学年じゃ全然違うか。


「いいじゃん、2人で画面見た方が調べやすいし」


 その後、彩から教えてもらった内容で調べてみると、たしかに予算内で2人にぴったりで良さそうな感じだ。


「おぉ。これいいな。これとこれをセットにすると、2,000円弱だし。結局2人とも同じなのはちょっと気になるけど」


「同じくらい大事ってことでしょ?」


「まあ、そうだな」


 ……どちらも1番になりたいと思ってくれているし、裏を返すと、そうなった以上はどちらかがはっきりと1番だと決めなきゃいけない気がする。


 どちらも好きだし大切なのは間違いないんだけど、俺は本当に2人とも同じくらい大事に思えているだろうか。


 どこかそれが違和感になって、頭の中でモヤモヤとしている。


「ふっふっふ……女の子のプレゼントは女の子に聞いた方がいいよ。お兄ちゃん、ドラゴンと剣のキーホルダーとか選びそうだし……」


 剣に巻き付くドラゴンのキーホルダーって!


 彼女に渡すプレゼントなのに、中学生が買う自分への修学旅行のお土産と一緒なわけがないんだが!?


「さすがに選ばんわ! そこまで分からんわけじゃない!」


 彩は一度俺の腕を絡めてぎゅっとした後、俺のあぐらから飛び出すように跳ねた。彩が振り返ってこちらを見てくると、なんともまあイタズラ好きな笑みが浮かんでいる。


「そっか。それなら安心した。クリスマスパーティー楽しんでね」


 彩はニヤニヤとしたまま手を振って部屋から出て行った。


 嵐のようにやってきて過ぎ去るような奴だな……。


「まったく、ありがとうな」


 聞こえることのないお礼を呟いた後、俺はさっそく母さんに商品ページを連絡して買ってもらうようにお願いした。頼んでもらったら、後で財布から必要な額を母さんに渡せば完了だ。


 こうして彩の協力もあって、2人に合いそうなクリスマスプレゼントを選べた。

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