8話 水城事件
水国 中心都市ボイラー 水城内
兵 「姫、国王が戻ってきません」
姫 「また?お父さんの散歩癖には困ったね」
兵 「もっと姫からも強く言ってください!門限は18時までです」
姫 「もう何度も言ってる。お父さんはこの国が好きすぎるんだよ」
水国の国王は、自分の国が大好きで毎日午前中にやる事を済ませ、昼に家を出て夕方まで散歩して国民達と触れ合うのが日課であった。
時々、門限の18時を過ぎる。国王も戻る気はあるが、ある日は見かけた子供が1人で家に帰っていたので、送り届けたらしい。そう言われると兵達も強く言えない。そういった所を含めて民も兵も国王を慕い、好きなのであった。
―――中心都市ボイラー 裏路地―――
「国王さんよ、ヘマったな。悪いがあんたには人質になってもらうぜ」
国王 「なぜ、すぐ殺さない」
トカゲの魔物が国王を縄で縛りあげ、話している。
「柱の命令なんだよ、中長まで上り詰めた俺だが柱には逆らえねぇ。あんたを人質に城にいる姫を貰う」
国王は、縛られた手から水のハンマーを出す。
国王「この国で争いはしたくないが、娘に手を出すならしょうがない」
中長 「あんたじゃ、俺には勝てねぇよ」
国王 「お前は、わしを殺す勢いでは攻撃ができない」
中長は腰の剣を抜く。
中長 「大人しくさせることは許可がでているんだよ」
中長が王の肩を斬りつけようとすると、水の盾が国王の肩に現れ防ぐ。中長の剣は弾かれ、体勢を崩す。その隙を見て国王は体当たりをして、ハンマーで後ろから叩きつけようとする。
中長 「まじか。少しは強いじゃねぇか」
「お前もヘマをするなよ。私まで連帯責任にされてしまう」
奥から現れたもう一体のトカゲの魔物が、国王の水のハンマーを凍らせ、砕く。そして氷の鞭で国王の首を叩きつけ、気絶させる。
「なぜ私がお前が同列の中長なのだ」
水の中長は2人いるようだ。しかし、この裏路地の出来事を見ているものは居なかった。
―――その日の夜中 水城―――
中長1 「邪魔するぜ」
中長2人とその後ろに、フレアゴーレムと同じ程の大きさの魔物がおり、さらにその後ろに大量の魔物を引き連れている。夜中とはいえ、このような事態に備え、何人かの兵は起き武装していた。
「おい、姫様の所に行き状況を伝えろ。絶対にこの場に来ないようにして、右大臣を護衛につけて裏口から逃げろ」
特兵長のバッチを付けた者が、近くの兵に小声で伝える。
水柱 「今から、ここを俺の拠点にする。姫を出せ。他の者は武器を捨てろ。さもないと国王の首をはねる」
5体組の魔物が国王を縛る縄をそれぞれ握っている。
特兵長 「姫は先日旅立たれたこの国には既にいない」
水柱 「嘘をつくとはいい度胸だな、それとも王の首をとばしたい裏切り者か?」
姫 「私ならここよ!!」
特兵長は姫の隣にいる兵を睨む。
特兵長 「(来ちまったか)」
水柱 「ドクター」
ドクター 「はいはい、任せい」
ドクターの前に紫色の丸い扉が現れる。その超常的な出来事に、特兵長は嫌な予感がして叫ぶ。
特兵長 「姫を守れ!!!」
突如、兵と姫の後ろから紫の扉が現れてその中からドクターと呼ばれる魔物が姿を見せる。
ドクター 「失礼」
姫を後ろから引っ張り紫の扉に引き込む。そして、元いた水柱の隣にドクターと姫が出てくる。
水柱 「よし、姫は確保した。あとは好きに暴れろ」
魔物達を城の中へ突入させる。兵はそれを迎え撃つ。
姫 「私をどうするつもり!!」
水柱 「俺の花嫁にする」
姫は想像もつかない返答に絶句する。
姫 「 (お父さんだけでも、逃がしてあげないと皆が戦えない)」
姫 「水塔!!」
姫と王以外を分断するように水の柱を生み出す。姫は水で作ったナイフで王の縄を斬る。水の柱の中に5体の魔物が入ってくる。
「オレ達は、スーパー小長ファイブ!」
姫 「お父さん起きて!そして全力で逃げて」
小長1 「オレ達を無視するとは!」
小長2 「でもリーダーこの姫に傷は付けれないですぜ」
国王が目を覚ます。姫はそれを見たと同時に大きな波を2つ起こす。1つ目は姫を中心とした円状の波が全方向に広がる。それに巻き込まれ魔物達は隊列を崩され、水耐性のある小長5体も難なく流される。2つ目の波は、国王を流す。
国王 「ルカ!何をするんだ」
姫 ルカ 「お父さんが、捕まってたら皆戦えないからこうするしかなかったの。必ず皆と私を助けに来てね」
そう言うと波を発射する。先程の1つ目の波で魔物たちは扉から離れたとこまで流されていた。そして国王を運ぶ波は扉を水圧でこじ開け、城外まで運ぶ。
ドクター 「王に逃げられたぞ」
水柱 「姫がいればいい。それに、なんだこの威力と魔法の精度 マスター並ではないか。ますます気に入った」
中長2人と、水柱は先程の波に流されず耐えていた。ドクターは紫の扉を使い回避していた。
中長1 「姫を守れ!とか叫んでいた兵はどこいった?まさか、姫の技で流されたなんて事はないだろうな」
水柱達の後ろの魔物達が、急に血を流し倒れて消えていく。まるで斬られたかのような傷を負っていく。
水柱 「ドクター、小長と中長と姫だけ逃がせ」
ドクター 「いつからお前がわしの上になったんじゃ。まぁ、契約した分は働くがな」
水柱に言われた通りに、小長と中長とルカを紫の扉に入れ、自分も入っていく。入り切る前に、ドクターの背中に斬り傷がつく。
水柱 「さっきの兵の仕業だな。透明化と言ったところか。まとめて始末してやる」
透明化している特兵長は、息を潜め水柱の後ろから斬りかかる。
水柱 「鬼落雷」
水柱の目の前に雷が落ちる。戦場となった城のホールの地面は水魔法が飛び交っていたので濡れていた。そこに雷が落ちることで、魔物達と兵士達は同時に痺れ倒れていく。水柱の読み通り透明になっていた特兵長も姿を現す。
水柱 「今のを喰らっても立ち続けるか。鮫雷」
水柱の手元から特兵長に向かって雷が走る。特兵長は瞬時に回避の姿勢をとるが魔物に足を捕まれ直撃してしまう。特兵長は尚も立っているが、意識を失ってしまった。
水柱 「こんな所に、苦手属性の柱の魔法を二発も耐えれる奴がいたか」
ホールの兵士は全員倒れており、魔物もほとんど消えていた。
【水城 陥落】




