6話 迷いの森
―――オレンジ村 宿―――
リク達は、宿で昨日食べてすっかりハマった炊き込みご飯をもう一度食べている。
ハル 「皆、おはよう。夜戻らなくてごめんねただいま」
ハルの髪はぐちゃぐちゃである。
マナ 「おはよう。おかえり」
ルカ 「凄い髪型だよ」
ハル 「新技の練習のせいでね」
ドミー 「レラ、風呂借りてもいいか?」
レラはこの宿の宿主で、ドミーと薬爺の友人である。
レラ 「いいぜ。ご飯も食ってくか?」
ドミー 「頼む。レラの飯は上手いからなぁ」
レラ 「ドミー……本当に元気になったんだな」
ドミー 「あぁ。そこのマナちゃんのお陰でな」
ドミーとハルはお風呂に入る。4人はご飯を食べ終わると迷いの森へ向かう準備を済ませる。
レラ 「(治療魔法もそうだが、ハル君が帰ってきてくれたからもあるだろな)」
リク 「本当に良い村だったな」
マナ 「ね!また炊き込みご飯も食べに来よう」
ルカ 「次来る時は皆で、ドミーさんに楽器習って5人で演奏会したいね」
ナギ 「評価と指揮はドミーさんにおまかせだな!」
4人は宿の前に立って話している。
ハル 「お待たせー」
準備を終えた4人の元にハルが駆け寄る。その後ろからレラがドミーの車椅子を押している。
リク 「もういいのか?」
ハル 「うん。先を急いでるし、またユナを連れてゆっくり過ごすさ」
ドミー 「俺が昨日教えた技は、汎用性が高く応用も効く上手く使っていけよ」
ハル 「はい!」
リク 「泊めていただきありがとうございました。ご飯も美味しかったです」
レラ 「あぁ。またいつでもおいで」
ハル 「行ってきます。ドミーさん体に気をつけてください。レラさんお願いします。薬爺もおねがい!」
薬爺 「まかせい」
ルカ 「(また、いつの間にかいる!)」
ドミー 「本当にありがとう。ハルは色々不器用な面もあるが自分の気持ちを隠すのは器用だ。色々気にかけてやってくれ。君たちの旅に幸ある事を祈っているよ」
リク 「ありがとうございます!ハルの事は任せてください。必ずユナちゃんを取り戻します」
5人はドミーとレラと薬爺と別れる。村を出る途中で食堂の店員のおばちゃんに炊き込みご飯のおにぎりを持たせてもらいオレンジ村を出る。
ハル 「(ドミーさんいってきます)」
リク 「ハル、少し表情明るくなったな」
ハル 「え?そう?」
ナギ 「少し落ち着いた表情になったな」
マナ 「オレンジ村入る時は、姉さんよりも焦った顔してたよ」
ナギ 「おいおい、ウチを基準にするなよ」
ルカ 「この村に寄って良かったね」
ハル 「うん。より一層覚悟が決まったよ。まずは忍村そして風城、その後は岩火闇柱を倒して全部取り返す」
ルカ 「今まで人類は大きな戦いで負け続けてきた。でも私達が変えよう」
マナ 「(皆待ってて、必ず元の姿に戻すから)」
―――迷いの森近く―――
ナギ 「まもなく迷いの森だ。そこで隊列順を決めておこう」
ルカ 「迷いの森が霧に包まれてるって言ってたよね」
ナギ 「うん。忍村の住人でも1度森を出れば戻るのは難しい。それが忍学校の卒業試験になるほどだ」
マナ 「忍学校卒業って事は一流の忍になるって事?」
ナギ 「あぁ。そんな感じだ」
ハル 「そんなレベルの人達でさえ、苦労するんだね。僕らはどうやって村までいくの?」
ナギ 「このコンパスを使う」
ナギは首にかけているコンパスを見せる。
リク 「それコンパスだったのか」
ナギ 「もしはぐれたら…」
マナ 「はぐれたら?」
ナギ 「一巻の終わりだな」
ルカ 「ナギ姉さんの今の発言ではぐれる予感する」
ナギ 「ん?あぁ、すまん」
ハル 「軽すぎだって笑」
ルカ 「霧って空気中の水分が冷えて出来るものって本で読んだけどリクの火でどうにかならないの?」
リク 「なるほど!頭いいなルカ!」
ナギ 「リクの火力じゃ、逆に消されて終わりだな」
リク 「なるほど!まだまだだなルカ!」
ルカ 「え、いやおい」
ルカ 「じゃあ隊列の順はどうしよっか」
マナ 「姉さんを先頭は決定でしょ」
ハル 「うん。あとは、きっと視界が悪いからマナの感知頼りになるからマナは真ん中だな。そしてマナの前にリクにして、ナギから何か合図あったらリクの火で後ろに伝えてくれ」
リ マ「了解」
ハル「僕とルカの並びはどっちでもいいけど、ルカの魔法の射線上に僕がいたら邪魔だから、最後尾をルカにしよう」
ルカ 「わかった。ゴーレム達に囲まれた時も思ってたけど、ハルってやっぱり作戦考える時、凄い頼りになるんだね」
ハル 「いつでも頼りになってるつもりだけど?」
ナギ 「作戦を立てる時は頼りになるな」
マナ 「そーゆー時だけはね」
ハル 「しょげるけどいい?」
リク 「しょげてないで行くぞ」
ナギ 「そうだな、準備はいいか?」
5人はさっき決めた順に並ぶ。
ハル 「ナギ隊長!まだしょげた心が回復しておりません!」
ナギ 「ハルなら大丈夫だ!出発!」
こうして5人は迷いの森へと入っていく。
ルカ 「本当に全然前見えないね。私からはハルしか見えないよ」
ハル 「僕もマナしか見えない」
リク 「ハル今かっこいい事言ったー?」
ハル 「うるさーい」
少し声を張って、リクとハルがやり取りする。
マナ 「左2 右1で魔物接近中!」
マナの前後にいるリクとハルが迎撃体制を取る。
リク 「木の魔物!?火纏 蹴り上げ[ヒート キック]」
木の魔物である、オドリギはリクの蹴り一発で消えていく。
ルカ 「一瞬リクの火が見えた。これははぐれたらリクの火に集まった方がいいかな」
ルカの声はハルには聞こえない。
ハル 「鳥の魔物か…。オレンジ村で空を飛ぶ敵にも対抗手段を作った。行くぞ!」
ハルはフルートを構え、深くブレスをする。
ハル 「(寒汰美冷[カンタービレ])」
カゼオドリの羽は凍りつき飛べなくなり落ちてくる。そこを剣に持ち替えたハルがスラッシュで切り伏せる。
ハル 「(そういえば、スラッシュも昔ドミーさんに教わった技だったな)」
マナ 「皆はぐれてない?」
ハル 「大丈夫!後ろにルカもいるよ」
そう言いながらハルはルカの腕を掴む。
マナ 「リク?姉さん?」
マナ 「ねぇ、もしかしてハルその手に掴んでるのオトリギの根じゃない?」
ハルの手の中にはルカの腕ではなく、オドリギの腕である根がある。ハルは咄嗟に放す。




