17話 仲間①
王 「すまない、盾はあと2回が限界じゃ」
マナ 「…分かりました。(どうしよう)」
中長2 「ならさっさと、倒れてくれないか!」
そう言いながら、氷の鞭を2人に向け伸ばす。マナは間一髪走ってかわす。
中長2 「ちょこまかとにげるな。時間もMPも無駄になる」
マナには、ワープについて考えたり魔物が喋る事に対して思考を使う余裕がなかった。今頭にあるのは、仲間の安否と、王と自分でどうこの場を切り抜けるかだ。もし、ワープした相方がアタッカーのハルかナギであれば解決していただろう、しかしドクターの考えか、偶然かこの分け方でワープさせられてしまう。
つづけてマナは攻撃の避け方と、攻撃の方法を考えている。腕力がない故に、打撃も使えず、氷の鞭で抉られた地面の破片を投げて攻撃する事も叶わない。氷の鞭も回避に徹していても、何度も致命傷になりうるピンチの瞬間があり、そこを王が見極めて盾で防いでいた。王のMPも既に盾2枚しか残っておらず攻撃にはMPが足りない。
マナの治療は体を癒す事がメインだが、MPの回復効果も促進するので一時撤退が叶えば王の水魔法で攻撃に移れる。しかし先日、王はこの中長に捕まった際に自身の魔法で作ったハンマーを凍らされて砕かれている。もし攻撃を仕掛けても防がれるだろう。
この場に勝利のピースはない。もしこの状況が再びくるのであれば、王の攻撃魔法の熟練度を上げるか、マナに攻撃手段を持たせるしかないのだ。マナは思考を止めないが薄々勝ち目がないのは勘づいている。それでも、諦めず回避をするのは、ホール近くの魔物の気配が次々と消えていくからである。
マナは極力鞭が空を切らずに、地面に当たるように躱す。音で彼を呼んでいるのだ。
マナ 「(まだ、時間を稼がなきゃ)うっ!」
王は最後の盾を使って攻撃を防ぐが、鞭が盾に弾かれた後、中長は再び軽く手元を振ると鞭先が勢いを持ってマナの肩を掠める。
マナ 「痛っ!」
王 「やめろ!!わしの命1つでこの子を逃がしてくれないか」
中長2 「王の命の価値は確かに高いが、上からの命令なのだ」
マナは手持ちのアイテムから打開出来るものがないか探し見つけたものは、ジャー村の宿でもらったドリンクだった。
マナ 「(たしか、MPとスタミナに効果があるって言ってた。)」
マナは王の元へ走り出す。中長は容赦なくマナの足元を狙い、直撃は避けられたがマナは転んでしまう。抉られた地面の破片がマナの綺麗で柔らかそうな足へ無情にも刺さる。
中長2 「随分と手間を取らされた。さらば!」
王 「やめろ!!」
王がマナの前で両手を広げて庇う。しかし、鞭の先は王でもマナでもなく、ナイフに当たる。
マナ 「リク…」
リク 「遅くなってごめんな。よく頑張ってくれた」
リクは王の前に立ち、頭の上にナイフを掲げ鞭を防いでいた。
偶然にも、中長1からの剣を防いでいたハルと全く同じ体勢で重なる。
中長2 「いい所で新手ですか。人間はピンチになると他の者が邪魔しに来ることが多い」
リク 「上から目線の発言だな」
リクは王とマナを下がらせる。王はマナから、リクを守ってください、と渡されたドリンクを飲みMPを少し回復していた。マナは自身の傷を治している。
中長2 「(短刀使いか、あのカバンから一瞬金属音が聞こえた。控えの短刀を所持して、投げてくる攻撃と、魔法も警戒しておこう)」
中長2は冷静で、相手の動きや持ち物、言動に注意を払い、先に攻撃手段を予想して対処する戦いをする。
氷の鞭が何度もリクを狙うが、ナイフで受け続ける。ナイフ使いであると誤認させる為である。ナイフを使っているといざと言う時に、魔法を使えるというブラフとスナイプが効果を発揮し、更に本職の格闘家を隠せるのが大きい。手の内をばらさずに倒せれば儲けものだ。
だが本職を使わずして勝てるほど甘くはない。中長の後方に氷の矢が20本現れ全てリクの方へ向いている。リクは数の多さを考えると、ナイフでは受けれないと判断し、走り出す準備をする。
中長2 「さて、これを耐えられますか」
氷の矢は、リクに向け次々発射されていくが、リクは順調に躱していく。しかし、中長も徐々にリクの躱し方に慣れ、リクの体を掠めていく。
リク 「(まずいな、矢はあと5本耐えれるか)」
リクの思考を読んだかの様に、中長は更に矢を生み出し攻撃を続け、更に氷の矢に加えて氷の鞭を使う。
マナ 「(リク…)」
マナは手を合わせ、奮闘しているリクを見ている。
リクの腕に氷の矢が刺さる。リクはその次の矢をなんとか躱すが、手に氷の鞭が当たり、リクの風のナイフはとばされる。それでも、容赦なく氷の矢が放たれ続ける。
リク 「(思ったより強い、俺一人じゃ中長も倒せないし、魔法を使える相手には勝てないのか…)」
リクは振り返り、マナと王を見る。
リク 「(違う、ここで越えるんだ。それが出来なきゃ仲間を守れない)」
中長2 「使えない仲間ですね。さっきからお前に任せ切りで何もしていない」
リク 「お前に関係ない。俺に出来ない事をマナが出来るんだ。今は俺の出番なだけだ」
中長2 「かっこつけているが、別にお前も強くはないぞ」
リク 「うるせぇ、今からかっこよくなるんだよ」
錆びたナイフを2本取り出し、矢を防ぐ。顔を狙う氷 の鞭に合わせて蹴りを当て防ぐ。
中長2 「防いでばかりじゃないですか」
氷の矢が尽きる。さらに生み出そうとするが、リクの錆びたナイフが飛んでくる。それを氷の塊で防ぐ。
王 「(上手い、守り方もそうだが相手の攻撃を止め始めた)」
マナは、注意がリクに向いてるのを感じて風のナイフを取りに行く。それを中長が気づき、マナに鞭を放つ。
王が盾を出し、マナを守る。マナはリクに向けナイフを投げる。宙に舞うナイフを中長は撃ち落とそうとするが、さらに王の水の盾を出し守る。
中長2 「面倒ですね」
リク 「マナ!王!ありがとうございます」
リクは飛んできた風のナイフを掴み、中長に走り寄って行きながら、左手は錆びたナイフを投げ続ける。中長の鞭をナイフで受け、氷の矢は出す暇を与えないようにスナイプし続けて止める。遂にリクが中長に近づく。中長はリクの足と風のナイフを注視している。
リクの手元からナイフが離れる。それは投げた訳ではなく落としている。回転しながらナイフは地面へと向かって落ちていく。その謎の行動に中長の思考が止まる。
リクの右足が浮く、さらに近づかれるのを中長は警戒するが右足が地面につくことはなく、かわりに宙のナイフが当たり蹴りあげられる。中長が鞭をリクに振るった時にはもう遅い。リクの右足が再びナイフに触れ中長へと蹴り飛ばされる。
リク 「スナイプ・シュート!」
風のナイフは、中長の胸を貫き壁に刺さる。
中長2 「たった一撃しか当たって無いのだぞ、おかしい。私が負けるなんて」
最後の力を振り絞り鞭を振るう。
リク 「華京」
氷の鞭を蹴り砕く。中長は消えながらも少し笑う。
中長 「体術も心得てたとは、もっと見てみたかったものだ」




