16話 予期せぬ突入
―――水城内 王の間―――
ルカは王の玉座に縛られ、無理やり座らされている。
水柱 「もうすぐ出来るそうだ。ドクターが完成させ次第お前に打ち、魔物化させる」
ルカは黙って無視を続ける。ここで出た『魔物化』という言葉は、この物語の重要語句の1つである。
水柱 「黙ってても綺麗だからいいけどよー、もっと楽しくおしゃべりしよーぜ」
話しかける魔物の言葉に耳も傾けず、ひたすらに逃げ出す策を考え続けていた。
―――ボイラー 水城へ続く道―――
ハル 「本当に、皆城が乗っ取られていることに気づいて居ない様子だな」
ナギ 「あぁ。でも確実に魔物が混ざっているな」
王 「もう、城の近くだ守りも厚いはずだ」
3人は小声で話している。王を含めた5人はフードを深く被り姿を隠していた。先頭をハルとナギが歩き、その後ろをマナ、王、リクの順で歩いている。
ハルとナギの前からフードの4人組が向かってくる。
マナ「(こんなに数がいるなんて)」
リクも万が一に備えて前からの攻撃に備えていた。
ハルは目の前のフードの4人組が、刃物を取り出すのを見逃さない。ナギにアイコンタクトで合図をして、2人もいつでも剣を握れるようにしている。緊張感が走りながらも両者は進む。
マナ「(特定できた。)周りのフード全員魔物だよ!」
後手になる事を懸念してやむを得ず放った叫び声に反応して両者が動き出す。ハルとナギは目の前の4体を相手している。リクは王とマナの護衛に徹する。
ハルは目の前の魔物の刃物から目を離さずに、剣を構える。しかし魔物の選んだ攻撃方法は放水であった。ハルは顔に水を喰らってしまい目をつぶる。そこを斬り付けようと魔物の一体が乗り出すが、隣の魔物が抑える。その判断は正しい。もし、先程の瞬間ハルを斬るために飛び出せば、逆にナギに斬られていた。しかし結果は変わらずナギが思い切り飛び出し4体を斬り伏せる。斬られた魔物の内の一体が消える前にナギの足に氷魔法を当てて凍らせ地面と接着させる。
ナギ 「乱風」
自分の足元の氷を冷静に砕く。だがそこを陰から狙撃手が狙っており水の矢飛ばしてきた。
それをハルが剣で受ける。
ナギ 「助かった」
ハル 「お互い様だ」
リクは、後ろから狙ってきている狙撃手を、錆びたナイフを投げてスナイプで倒す。
マナ 「リク上!」
屋根の上から魔物達が剣を振り下ろしながら飛び降りてくる。王が水の盾を出し、空中で盾にぶつかった魔物たちは体制を崩しながら落下してくる。
リク 「ありがとうございます。列華脚」
飛び上がって、横に回転蹴りを放ち1回の動作で4体の魔物を倒す。飛び上がった際に見えた奥にいた狙撃手に向けて今倒した魔物の武器を投げつける。
リク 「マナ!あとどこにいるか分かる?」
マナ 「リ…」
リクが着地して後ろを見ると、マナの声が一瞬聞こえ、指先を最後に紫の扉に消えていった。
リク 「(何が起こった?王とマナが誘拐された!?)」
リクは少し離れて戦っていたハルとナギの方を見る、しかし2人の姿はない。リクは単独行動になってしまうが、まだ多く潜伏している魔物が残っている。マナの感知無しでリクはこれを相手する。
―――水城 2階廊下―――
ナギとハルは紫の扉から落下する。ハルが先に落ちそこにナギが落ちて来るが、ナギはしっかりと受け身をとる。
中長1「俺の相手、剣持ってるじゃねぇか。丁度いい。アイツに差をつける為の糧になってもらうぜ」
そのトカゲの魔物は好戦的で、すぐに腰の剣を抜く。
ハル 「(ここにも、話す魔物がいるのか。スラムンに先に会ってなかったら驚いて動けなかったかもしれないなありがとう、スラムン)」
ナギ 「階級はなんだ?」
中長1「水の中長の片翼だ。覚えておけよ、お前らの命を奪う者だぜ」
中長は、ハルとナギを同時に相手するつもりだ。ゴーレムの様に大きさや硬さもないが違う強さがある事をハルもナギも分かっていた。だからこそハルは警戒しながらもいい機会だと思っていた。
中長1 「来ないなら、こっちから行くぜ」
中長は地面を強く蹴りだし、距離を縮めてくる。それを読んでいたハルはタイミングを合わせてスラッシュを放つ。しかし、中長はハルの間合いに入る瞬間に足を止めハルの剣をかわす。ハルがまだ剣を振っている最中の一瞬の駆け引きである。ハルが受けの構えを取る前に中長の剣がハルの腹を捉える。そこをナギが2本の剣を交差して中長の剣を受ける。
ハル 「(ありがとうナギ、特訓手伝ってもらった新技で礼を返す時だ)閃斬!」
中長の守りは間に合わず、腹の表面を斬られる。
中長1 「いい技持ってるんじゃねぇか」
ハルは最近特訓していた新技を完璧に決めるが、中長は倒れない。ナギもハルに続き斬りかかる。中長は防御をするが、ナギが持ち前のスピードでガードの薄い所に移動し斬りかかる事で、ダメージを負っていく。
中長1 「(ここだ。水牢!)」
大きな水の玉を吐き出し、ナギを閉じ込める。ナギは咄嗟の事で息を吸えておらず苦しむ。ココア村でスラムンの取り込みの実験で、商人が危惧していた事が別の形で実現する。
ハル 「(ナギを助けなきゃ)」
ハルはナギの方に駆け寄るが、それを中長が邪魔する。ハルと中長の剣がぶつかった瞬間中長の蹴りがハルの横腹につきささり、ハルの力が抜ける。
中長1 「焦ったな」
中長がハルにトドメを刺しに剣を振り下ろすが、ハルは片目をつぶり苦しみながらも、剣を頭の上に構え受ける。
ナギ 「(すまん、ハル今行く)」
ナギは手から風魔法を噴出して、水牢から飛び出てくる。中長は後ろで解放されたナギを気にしたいが、目の前にいる弱っているはずハルの目から気迫を感じ、ハルから目を離せないでいた。なので、ナギの方は向かずに背中から水鉄砲を乱射する。
ハル 「(きっと、スラッシュならトドメに出来るけど、あの技のはきっと受け止められる…なら、受けれないスピードにすればいい。)スラッシュ・閃!」
中長1 「グハッ……!いや、まだだ」
手に持っている水の剣を大きくし、大剣と化させる。斜め上から振り下ろすが、ハルは剣で受けながら中長に走りよる。
ハル 「スター・プリック」
中長の腹にハルの一突が決まる。
中長1 「負けちまったか、何が目的から知らねぇが、水柱はこんな風にはいかねぇぜ」
そう言いながら、中長は消えていく。
ハル 「やったなナギ2人で中長を倒せた。僕たち強くなってってるよ」
ナギ 「んあっ?」
ナギは風を起こして体温が下がりきる前に服を乾かしており、風の音で聞こえていない。ハルが喋ってるのを見て風を中断する。
ナギ 「そうだな、今回ウチは全然活躍出来なかったけど、ハルの実力は上がってると思うぞ」
ハル 「ありがと!いや、ナギに助けてもらったよ。(あれ?僕の声聞こえてたのかな)」
―――水城 1階ホール―――
ここでは氷の鞭を操るトカゲの中長の元にマナと王がワープしていた。
王 「すまない盾は、あと2回が限界じゃ」
戦闘能力の低い二人はピンチに陥っていた。




