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ノートクエスト  作者: 伊達柴紫
第1章水の姫
12/19

12話 姉さん

4人はドリンク屋を出て宿を目指す。

 

マナ 「それなら、私が泊めさせてもらっていた宿に聞いてみるね」

 

 マナは水城から出た後、ボイラー近辺の3村を周りながら怪我人を治していた。大体は各村に1人以上は光国出身の治属性を使える者がいるが、マナの回復技術はその中でも上位にいた。ラムダでの教えが高水準らしい。

 怪我人を治して周りさらに自分の技術を高めていくマナに対してハル達は尊敬していた。先程自分たちがミルク村での出来事を褒められたが、マナがやっている事も立派なことだった。


 宿主は自分の娘の怪我をマナに治して貰ったことで、マナを招き無料で泊めジャー村での拠点にさせていた。マナがハル達の話をすると、3人まで無料にしてもらえた。

宿主 「他国からありがとよ!俺も戦いたいが力がねぇ、上手い飯作るから、たんと休んでくれ!」

ハル 「ほんとにすみません。ありがとうございます」

宿主 「いやいや。礼には及ばねぇよ…じゃあ水柱倒したら、この宿で休んで元気になったおかげだって言いふらしてくれ」

 宿主はにかっと笑ってそういった。


―――その夜 男部屋―――

リク 「旅って色んな困難もあるけど、こうやって出会いがあるから楽しいな」

ハル 「2人だと正直ここまでもたどり着けて無いだろうね」

リク 「あぁ。ナギの案内のおかげだな笑、2人と会わなかったら仮にゴーレム倒せていても、傷を負ったまま遭難だったな」

 リクとハルは、安心したため息を吐く。

 

ハル 「僕さ、マナが了承してくれたら、仲間になってほしいって考えているんだけどどう思う?」

リク 「俺も考えていた。明日誘ってみようぜ」

 この短期間に既に4人目の話をしている。2人の出会いを引き当てる力と人を見抜く力は全会一致で最高峰のものである。行く先々で事件が起こったり既に起こったりしているが、全ては魔物がこの島に蔓延っている事が原因であり決して彼らがトラブルを運んでいるのではない。

 

ハル 「マナも魔法使いこなしてたな。僕もこの国にいる間に国に縁のある水か氷の力解放しないかな」

リク 「俺も火の力をもっと操りたい。俺の道場にいた年上の先輩というか兄ちゃんみたいな人がいてさ、その兄ちゃんは火の力を応用して爆発を起こして自分のパンチを強化していたんだ。俺の使う炎飛燕流って本来さ名前の通り、体に火や炎を纏って戦う流派なんだよ。兄ちゃんは俺の何倍も強かった。俺より先に道場を出て旅に出たんだ」

 

ハル 「そうなんだね。やっぱり魔法を使いこなせるか否かは大きいんだね。…あ、じゃあその先輩にも旅を続けていれば会えるんじゃないの?」

リク 「たしかに。その時に恥ずかしくないぐらい力をつけなきゃだよな」

ハル 「僕も仲間として、恥じない強さ欲しいよ」

リク 「ハルは今でも強いし、バフデバフを掛けれるのに、そこに魔法が混ざればもっと化けるな」

 嫌味の一欠片もなくリクは素直にハルを褒めた。

 

ハル 「そういえばフルートを教えてもらった村の育ての親は、音に魔法の属性を乗せて攻撃に応用していた」

リク 「すごいな。魔法の杖とか道具を使って魔法をより高度に操って戦う人みたいに、楽器を媒体にして自分の魔法を操るんだな。世界は広いなぁ」

ハル 「世界の広さを実感すると、自分の小ささも同時に思い知らされるよ」

リク 「小さい事を知っているから大きくなる楽しみが分かるし、同じ悩みの人に寄り添えるさ」

ハル 「なんかいい事いうね」

リク 「やめろよ。照れる」

 リクは照れ隠しにライトを消す。

 

リク 「おやすみ。(相棒)」

ハル 「おやすみ。(親友)」


―――女子部屋―――

マナ 「その時姉さんと出会わなかったら2人は今も遭難中だったんじゃない?」

 二人は宿に備え付けの寝巻きを羽織ってベッドに横になりながら会話を楽しんでいた。

 マナはうつ伏せになって足をバタつかせており、ナギは睡眠前のストレッチをしていた。座りながらも上半身をベッタリとベッドに付けられる程の柔軟性だ。

 

ナギ 「そうかもな。まぁあいつらなら何だかんだやっていけそうな気もするけどな!で、何で姉さんなんだ?」

マナ「なんか、さっきリクにナギって姉さんぽいだろ?って聞いたから、言ってみたら思った以上にしっくりきちゃった。ナギ姉さん。やっぱりいい!」

ナギ 「おい、あいつ!勝手にあだ名つけやがって」

マナが想定していたよりも良い感触ではなく、ナギの表情を伺うが嫌な雰囲気ではない。


 

マナ 「でも、一緒にいる時の安心感とたしかに姉感あるよ?」

ナギ 「うぅー、そうか?でも忍村でも、小さい子に懐かれずっとまとわりつかれていたんだよな」

マナ 「少し迷惑そうな言い方してるけど、姉さんなら絶対優しく遊んであげてたんだろうなぁ」

 ナギは、自然と姉さん呼びされ、あだ名を訂正するタイミングを失う。

 

マナ 「私のいた所は孤児が集まる所だったの。光マスターのおじい様が皆の面倒をみて、望む子には治属性や光属性の操り方を教えてくれた。おじい様はは、この島最強と言われていて…」

ナギ 「忍村の村長もそう言ってた。あいつはいつまでも現役でこわい。早く若者に最強の座を譲ってやれ。って言ってたな。文句言いつつそのあとは絶対に、あいつは立派だとか、人間目指すはああいうヤツとか褒めてた」

マナ 「なんか、昔戦友とか、腐れ縁?とかだったみたいな言い方だね。それで、その光マスターが私を逃がしてくれた。多くのラムダに住んでいた子達が目の前で石や氷漬けにされた。それなのに私は闇柱に挑んで行ったりもできずに、ただただ逃げた」

 

 ナギにマナを責める気は全くない。それに、既に自分自身で責めきったあとだと、ナギは気づく。

 

マナ 「私の一番仲良かった子はね、光マスターの孫だったの。毎日年下の子の面倒をみて光属性の特訓も頑張る良い子だった。その襲撃の日に正義感の強いその子は、足を止め私達を追う魔物の軍団と1人で戦った。さらにその追手から逃れた私達の前に闇柱達が現れた。一瞬で多くが氷漬けにされた。光マスターは1人で闇柱と氷漬けにしてくる魔物の相手をして、私達を逃がしてくれた。命からがら逃げた時には私は1人だった。私は誰1人救わないで1人だけ逃げてきた。今でも誰も救えない」

 

ナギ 「それは違う。じゃあなんで宿主はこんなに優しくしてくれるんだ?マナが娘さんの怪我を治してあげたからだ。この宿に来るまでにも多くの人に感謝された。誰も救って無いわけが無い」

マナ 「私じゃなくても、できたはずだよ。私だけが助かっていいはずが…」

ナギ 「マナだけにしない為に、光国を奪還して皆を元に戻すんだ。そして皆が救われるのはマナのお陰になる。

多くの人に助けてもらって自分を責めちゃうなら、それ以上に助ければいい。それに心に傷を負ったままマナは進んで人を助けている。これはマナにしか出来ないことだと思うし、助けてもらった者の使命だとウチは思うぞ

 

 ナギの過去は聞いていないが、マナには似たような経験がナギにもあったのだろうと察した。思わず溢れ出す涙をナギの胸が受け止める。

マナ 「ありがとう」


マナ 「私もっとがんばるよ。決めた…」

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