11話 4人目①
ハル達3人と、その女の子は水国の美味しいドリンクが飲める店で4つのグラスを囲み向かいあって話し合っていた。
女の子「私の名前はマナ。光国のラムダ出身です。襲来の際に逃げ込んでここまで来ました」
光国には先日、闇柱を筆頭に大量の魔物が襲来し、ラムダという神殿を残し、他は魔物の手に落ちていた。多くの人が犠牲になったことは、他国にいたハル達の耳にも届いていた。因縁の闇柱の起こした被害である、リクにとっても相当胸が痛くなる出来事であった。
リク 「その襲来本当に許せない。俺はその闇柱を倒すために旅をしている。火国出身のリクだ」
ハル 「風国育ちのハルです」
ナギ 「風国の忍村から来たナギだ。よろしく」
3人はここ数日に体験して来たことを話す。マナもナギの忍という発言に興味を示していた。
ナギ 「やっぱりこの2人ついこの前会ったばかりには見えないよな」
マナ 「見えないね」
仲がよく見えると言われて、ハルとリクは全くもって嫌な気がしていないといった顔を見せる。
マナ 「皆は凄いね。魔物に立ち向かって、ミルク村も3人がいたから被害者がいなくてすんだんだね」
マナ 「あと、『聖水』の事なんだけどね…」
ハルは椅子から立ち上がり顔をマナに近づける。
マナ 「ラムダにも聖水があるって聞いたことがあるよ。その水をかければ魔物に石にされた人や、氷漬けにされた人を助けられるって聞いたよ」
ハル 「本当に!?」
リク 「ハルが聖水の噂を聞いたのは火国って言ってたよな、他の国でもそういう話があるんなら本当に存在するし、光国にあるんじゃない?」
ハルは妹を戻す手段が本当にある事に安心する。
ハル 「じゃあ、闇柱を倒さなきゃだね」
ハルは柱の中でも1番強いと言われている魔物を倒さないといけない事実に対して、怖気づくよりも砂にされてしまった妹を助けられる可能性を見出した希望に心を浸す。
ここで、ハルとリクの現在の目的が一致する。
ナギ 「おぉ。有力情報よかったな」
ハル 「うん!ありがとうマナ」
マナ 「どういたしまして!」
リク 「こりゃあ、早い所力をつけて光国に行かなきゃな。なぁマナ俺たちはこの国で何をすればいい?」
マナ「さっきの続きね」
マナは国王がルカに逃がしてもらった所まで話していた。
マナ「そして中心都市ボイラーの街に出た国王は、国王捜索に出ていた兵達と合流し、兵達に近くの村に救助要請を頼みに行って貰ったの。私はその兵の内の一人に今の話を聞いたの」
先程までハル達との距離感が分からず丁寧語と砕けた話し方が混同していたが、いつの間にか丁寧語ははずれている。
リク 「助っ人として、兵に目をつけられたのか?」
マナ 「私は光国から逃げ込んで、まず火国を通って水国
に入ってボイラーまで着いたの。そこで買い出しをしているルカ…えっと、水国の姫と仲良くなって城に招かれて、その時に私の顔を見ていた兵の1人に城の状況を教えてもらったの」
マナのフワフワとした話し方は、聞き心地がいい。しかし声質に聞き惚れていられるような話中ではないので、リクは集中し直す。
ナギ 「なるほどな。王は今どこにいるんだ?」
リクとハルは店の中に盗み聞きしている人がいないか、後ろを振り返る。
マナ 「この場に悪い人や魔物はいないから大丈夫。王はまだボイラーにいるから、もし3人が協力してくれたら私が案内するよ」
マナの店内に悪者がいないという事を確信している発言に、3人は引っかかる。
リク 「もちろん、協力するよ。そもそも聖水の情報集めと、柱を討伐する為にここに来たから」
ハルとナギも頷いている。
マナ 「本当にありがとう!あ、皆の戦い方と職業教えて貰ったから、改めて自己紹介するね」
マナ 「光国ラムダ出身で、職業は僧侶。今は戦う手段がないけど、何か工夫をしたり光属性を鍛えて戦える様になりたいと思ってる。治属性で今できる事は大きく分けて、傷を塞ぎ一時的に機能を回復させる速さ重視の応急処置と、ゆっくり時間をかけて完治させるもの2つ。」
リク 「さっき俺達にしてくれたのは?」
マナ 「応急処置を先にして、今話してる間に完治させたから普通に動かして大丈夫だよ。応急処置は、その人の治癒能力を促進させるものだから、すぐに無理をすると後で疲労がのしかかるデメリットがあるの」
ハル 「なるほどね…治してくれてありがとう!戦闘中は、応急処置でひとまず動かせる様にできるけど、その後に疲労が来るのか」
マナ 「大体アドレナリン?ってもののおかげもあって戦闘中に急に疲労で倒れたりはしないかな」
リク 「じゃあ、例えば戦闘の後にゆっくり休める状況なら応急処置頼りでいいんじゃないか?」
ナギ 「怪我には痛みを伴うんだぞ、それに無限に治癒能力を促進できるわけじゃないんじゃないか?」
マナ 「そう、連続で行うとどんどん治癒能力は落ちていく。だからむしろ少し時間がかかっても後ろに下がって完治させた方がいい時もあるの」
リク 「あぁそうか。なるほどな。わかった!」
ハル 「城に僕らが乗り込むとして、マナも来るのか?」
マナ 「私の友達だもん。それに皆が傷ついたら私が治すよ!あと自慢するほどのものじゃないんだけど特技がありまして。人の悪意とか、魔物が放つ殺意とかも感知できるの。それが勘違いで終わった経験はないよ」
「完治」、「感知」、「勘違い」リクは話を聞きながら「かんち」いっぱいでてきたなぁ、などくだらない事に気づく。
ハル 「さっき、財布をとった魔物については?」
ナギ 「あれは、ヒオドリの習性だな。キラキラしたものを集めようとするのは別に悪意じゃない」
ハル 「なるほど」
リクの食中毒無効、マナの感知、この2つの特技の他に2つの特技がこの場にいる人の中にある。1人は隠しており、もう1人は特技とも思っていない。




