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バトルオブロード  作者: 森の番人
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第4話「試合後の反省」

「さて、この学校のことと遅刻がいかに人の信頼を失うかはわかってもらったと思う。ましてや、入学式と本校の生徒として認める式典で信頼というものがなければ取り消しというものも汚い社会ではある。まぁ、いいだろう。お前たちから何か質問はあるか。」

 ロリ?理事長はその可愛い顔からは想像が出来ないぐらいの怖さで説教を続けていたが終わりということで初めて見た時と同じ本当におじさんなのかっていう顔に戻った。

 怖い顔とは普通の生活を送っていると関わらないようにしてきた顔だが、昔よく似たような顔は見たことがあるから普通なら感じとる怖さは薄れているけど。

「それじゃ、なんで女装しているんですか。」

「え?」

 隣の英二は俺の質問に驚いて今まで黙っていたのに思わず声が出ていた。目の前にいる理事長はくすくすと笑っていた。

「やっぱり君は聞いていた以上に変な子だな。純粋な気持ちで聞いていることも伝わってきた。いいだろう。簡単にだけど教えよう。」

「え?」

 また、英二は声を出している。どんだけ驚いているのだろう。

「私は小さい頃にある演劇を見たんだ。その時に主演を演じていた人が美しいだけでなくとんでもなく演技が上手で子供の私は心を虜にされたんだ。家に帰ってその役者のことを調べてみるとその人は男性だったんだ。男の人でもあれだけ美しさを手に入れることが出来ることが心の奥底に眠っていた女の子になりたいという思いが溢れ出した。けど、家柄や周囲の人がそれに対しての理解がないことは知っていたので堂々と女の子になることが出来なかった。堂々と女の子になるためには地位と金がいることがわかったのでここまで力をつけてきたわけよ。その時が来るまでは可愛くあるために努力を惜しまなかったらこんなに可愛くなったわけ。努力だけでここまでなることは出来なくて運とその努力が出来る場があってこそ。なら私は努力が出来る場を用意してその人たちをサポートすることがやるべきことだと思ってこの学校でそれを用意したというわけよ。これでいいか?」

 自分のことを可愛いと自信を持っていえるだけの今までやってきた理事長が少し羨ましいと思ってしまう。

「大丈夫です。今年1番の疑問がすっきりと解決しました。」

「それならよかった。佐藤、お前は質問はないのか。」

「いや、ないが。」

「そうか、最後に2つ言うことがある。一つ目は君たちのクラスについてだ。Eクラスというのは意図的に弱い連中を集めたわけではない。むしろその逆だ。才能があったりする連中だ。しかし、その才能を使いこなせない、自覚していないため弱いと勘違いしている連中だ。今までのEはそのようにしていて才能を活かせるのではというリーダーとして連中を率いることが出来そうなものも数人混ぜておいたが癖のあるものばかりで中々才能を覚醒できずに潰れてしまって学校の笑い物のクラスになってしまった。」

「だから、Eクラスというだけで笑っている先輩とか来賓がいたわけか。」

「納得だ。」

「そう、今年でそれを最後にするところにちょうどお前たちが来たわけだ。眠った才能を覚醒させることが出来そうな最後の希望だ。クラスメイトを先頭で引っ張っていく存在になってくれ。それにお前たちの目標のためにもいきなりトップよりも底辺からの方が見る目が増えて達成するのに手助けになるだろう。」

「風紀委員に俺たちの情報を流したのは理事長だったのか。」

「そうだ。私だ。あれは私の学生の事を探る密偵の一人だからな。」

 英二が尋ねるとあっさりと認める。ここまで俺たちに普通の学生が知らないような情報を流すと裏があるようにしか思えない。

「さて、2つ目だ。こっちが本命だ。オリエンテーションで能力と技能が禁止と伝えられていただろう。」

「そうだ、あれって伝達ミスなのか。」

 英二が尋ねると理事長は首を横に振る。

「ある教師が横から小細工をしてな、能力と技能は使用可能としたんだ。それも取り消すことが出来ないように良いタイミングで。試合が始まってから中止にするわけにもいかないからそのまま続行にしたがお前たちがしっかりと勝利してくれたおかげでその教師がボロを出してくれた。」

「なら、理事長権限でクビに出来そうだけど。」

「藍田。そんな簡単にはクビには出来ないんだ。だから、このまま気がついていないフリをしておく。あいつなら作戦を失敗させたやつらに復讐をするだろう。なら、その燃える気持ちに油を注ぐために君たちは私の期待に応えてくれ。そうすれば今回の不手際のお詫びをする。」

 こちらの不満を事前に解決する方法を提示するとは伊達に理事長をしているとは流石だけど。

「まさか、それだけではないでしょ。」

 ちょっとお詫びの量が少ないのではとおねだりをしようと思う。

 理事長はその言葉に待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。

「それなら、―――――ってことで。」

 理事長の提案に百点満点で満足とはいかないけど使い道によってはかなりの切り札になりそうだ。

「英二はどう?俺はいいけど。」

「俺も問題はない。俺の目的のための手段にはもってこいのものだ。なら、目的達成のために力をつけるだけだ。」

 納得したようなのでよかった。

「そうか、ならそろそろ寮に戻ってもいいぞ。明日から授業が始まることになる。だから、遅刻はするなよ。なら、行った行った。私も仕事があるのでな、期待してるから頑張れ。」

 理事長は立って両手で部屋を出ていけと追い払う仕草をする。

「「では、失礼しまーす。」」

「ああ。」

 扉を開けて理事長室を出る。寮に戻っても良いということは今後の説明とかは明日行われて授業を行うと言うことらしい。なら、さっさと帰って明日の準備をしたらゆっくりしよう。


理事長こと財前時は問題児2人が部屋から出て行ったのを確認すると椅子であるゲーミングチェアを改造したものに座り直す。机の上のノートパソコンを開いて生徒データが入っているアプリを開いて問題児の情報を見る。

「藍田宗斗か、ついに彼がこの世界にやってきたのか。技とかも高校生にしては最高のものだ。彼女が自慢するのもよくわかる。あとは、あいつの息子の英二。2人ともここを選ぶとはな。2、3年のあいつらもようやく戦いがいのあるやつが出てきて喜ぶだろうよ。」

 入学者の情報は数ヶ月前には確認したが何度見ても面白い。

 一通り見終わったら仕事をするため情報の入ったアプリは終了する。

「楽しみだけど、その楽しみを邪魔するやつはここにいらない。私のモットーは『楽しく生きること』。それが子供ならまだしも出世欲だけでなく快楽のためにうちの可愛い生徒を道具にするのは死に値する。だから、問題児どもしっかりと働けよ。」

 文書作成ソフトを立ち上げる。題名は「新入生クラス対抗戦」。あちらがこれを望んでいる確率が高いこの企画を餌に。

「それじゃ、仕事を本当に始めますか。」


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