刹那
刹那
安岡 憙弘
わたしはずっとまえからこのことにきづいていたのだがそれを文章にするという発想と力量はなかった。
事の転末はこういうことだ。つまり、幸福で満ちたり、不安の要素が全くない最中に“死にたい”という衝動が一瞬くもの糸のような線のような雷みたいな感じで0コンマ何秒走ることだった。
私は学生のころ前髪を切りすぎただけで本気にちかく死にたいと想ったまたすぐのびてくるというのに。
どんなミリ単位の自殺願望でもバカげているようでも笑いすててはいけない。それは本当に追いつめられた人のそれと(むろん較べはられないけれど)1つの確固たるリアリティーをもったものなのだ。




