階段を進み続ける騎士
あるところに、一人の騎士がいました。
騎士は、まっ赤な階段を下っていきます。
その階段の先は、まっくらで何も見えない。
でも騎士は、それでも先へ進んでいきます。
なぜなら騎士の目には、光が見えているからです。
他の誰にもそんな光は見えません。
だから、誰もその階段を下りてはいきません。
でも、騎士には見えるから。
迷うことなく、どんどん先へ進んでいきます。
その階段の先は、途切れているかもしれません。
もしかしたら、何か扉があってどこかの部屋に繋がっているかも。
ありえない事に、化け物がひそんでやってきた人をぱくっと食べてしまうかも。
それらを騎士は何も知りません。
やがてくる未来も知りません。
でも、それでも、ずっとずっと階段を下り続けています。
もしも、階段に終わりがなかったとしたら。
その騎士は、これからもずっと、下り続けるのかもしれません。