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愚痴・お勉強の時間

【仕方ない】作者は悩む ここでテンプレ回避を出来ないものか、と【仕方ないんだ】

作者: まい

 心の(おもむ)くままに書き散らし。


 テンプレは悪なのか?


 なぜテンプレが生まれたのか?


 主に冒頭に多用されるテンプレへの、自分なりの分析を物語風にしてみました。

「こんな“作文”なら、俺でも書けるっしょ」




 こんな事を思ってしまったが最後。


 彼は今、ゴールの見えない迷路に迷い込んでいる。



~~~~~~



 素作(もとづくり) 家人(やと)


 それが彼の名前である。


 彼はこれと言った趣味が無く、どっかのメディアが垂れ流す『○○がブーム!』に乗っかり続けたが、結局どれもこれもが「なんか違うな」「俺には合わない」となってしまう、哀れな男。


 見た目は特筆すべき所が無い容姿なので、描写は割愛。


 そんな彼が、なんとなく見ていたアニメに影響を受けた。



「これ、素人(しろうと)の小説投稿サイトに原作が有るの!?」



 そう。


 ネットでそのアニメの情報をちょっと漁っていたら、そこまで簡単に行き着いてしまったのだ。


 それで試しにと、他の作品もつまみ食いしてみた結果が、冒頭の台詞である。



「国語の授業で書かされた作文より(ひで)()文章ばっかじゃん! 国語の成績が最優秀だった俺なら、プロ作家になってアニメ化も楽勝だろ!!」



 そう思うだろ? 小学生中学生の頃にならった事すら出来ていない文章を見てしまっては。


 しかし、そう思ってしまうのは仕方がない。


 仕方がないのだが、それが迷路の入り口である。



~~~~~~



「次は書き出しだよな。 設定だと異世界転生だが、転生するまでの経緯はどうする?」


 ここが迷い時である。


「転生ってことは、主人公が死ななきゃ始まらない。 出だしだし、読者の歓心(かんしん)を得るために出来るだけ強いインパクトが欲しい」


 つまり、派手に(コロコロ)したい訳だ。


 ならば簡単に考えられるのは……。


「どこの道路でも走っていそうで、質量もあって、人間がぶつかるだけでどうにかなりそうな……うん。 となれば、大きなトラックに()かれて死ぬ……」


 テンプレだ。


「他の事故が起きれば、死亡者が出そうな乗り物事故……電車に轢かれる」


 これも、そこそこに見かける転生きっかけ。


「だったら飛行機事故は?」


 でてくる死亡者数的に、集団転移や転生とするならありそうだが、今回は集団では無い話をぼんやり想定している。


「これじゃあキャッチーな転生にならない。 だったら沢山の目撃者の中で? ならば、危ない通り魔の凶行……」


 アニメ化した超有名な、な○う作品で使われて以降、そこそこに見かけるようになったテンプレ。

 ……まあソレ以前からもしばしばあったが。


突飛(とっぴ)であり得ない事故……となれば神の手違い、と言う名の超常現象」


 ベタなテンプレ。


壮絶(そうぜつ)な死に様と言えば、飛び降り」


 テンプレ。


 以降も色々考えてみたが、大体どれもこれも、どこかで見た様な案ばかり。


「どうすんだよ、これ」


 テンプレを回避したがるのは、見栄である。


 自分はそこらの作者とは違うんだよ。 そう言い張りたいが為の見栄である。


 見栄でないにしても、冒頭から読者の目をひこうとすれば、目立つ死因を選ぼうとして似通(にかよ)ってしまうもの。



~~~~~~



 なんとか死因をひねり出したは良いが、続いては“その後”だ。


「転生……どうすんだよ」


 彼が詰まるのは、どうやって転生させるか。


 こんな展開、あんな展開とか良いな。

 事前におおざっぱなシナリオの想定もしていたが、ちょっと調べてみると良く見かけるシナリオらしく、まずは全体シナリオより目先のことに集中しよう……となった。


「青年の姿で活動させる設定だけど、どれも()()たりじゃないか」


 神と簡単な会話をさせてから送り込むかどうか。


 青年の姿で世界に送り込むなら、出現地点。

 街の近くだと人の目があるから、そこから少し離れた場所じゃないと落ち着いて物語を始められない。

 でもそうすれば、それはテンプレ。


「しかも街道に出たら出たで、出ただけだと話が始まらない。 導入後として人を出せばテンプレ」


 そう。 物凄(ものすご)く便利なのだ。


 道で出会う人の使い勝手の良さが。


 しかもその出会った人がピンチになっていれば尚更。


 何せその人達を使えば、ピンチを救った相手の口から、世界のおおざっぱな説明が自然な流れで出来る。


 ついでに助ける行動で主人公の善性(ぜんせい)を。

 あっさり助けた事で、主人公の強さを。


 これだけで示せるのだ。


 そして助けられた側の地位によっては、当たり前にコネが出来て、大きな事件に主人公が自然に関われる。


 異世界に来てすぐなどは、人脈(コネ)が無い。

 物語を始めるきっかけを作るには、主人公以外の言葉をかわせる知性体が必要なのだ。

 それをこう、スルッと出せる。


 こんなに便利な事は、そうそうない。


 利便性(それ)を否定して書いてみると、なんだか長ったらしくて、説明臭くなってクドく感じるのだ。


 そんなテンプレを回避して、さりげなく主人公の性格や姿の(キャラ)説明ができる筆力なんて、作者にはない。


 閑話休題(おっとはなしがそれた)



 自然発生的な主人公式でないなら、どこかの誰かの子供として産まれるパターンだ。


「前世の記憶を持ったまま少なくとも1年位は強制赤ちゃんプレイ。 それを強要されるのは正直つらい……でも途中で記憶を取り戻すのもテンプレ」


 どっちにしろテンプレである。


 異世界転生チート物が前者で、悪役令嬢転生物が後者。


 両方とも種類があるにはある。


 前者に受難を組み合わせるかどうか。

 家族からいびられる、育児放棄(ネグレクト)、追放。


 後者もほぼ同じ。

 追加で欲しがり妹、陰謀被害、冤罪(えんざい)等。


 更に、故郷や家族が魔物のスタンピードで、強力な魔物の暴走で、戦争で(うば)われて復讐の旅に……なんてのはベッタベタなテンプレ。



「貴族の子供で、自由な冒険者にさせるなら、不遇主人公? テンプレじゃないか」


 いわゆる追放ざまぁ。 テンプレルートである。


「ならば村の田舎」


 変化が無ければスローライフで盛り上がりもなく終わる。


 そして変化と言うのは、大体が胸糞展開である。


 不吉な子供として村を()われるパターン。

 村に居場所がなくなる。 村自体が無くなる。

 口減らし、出稼ぎ。


 どれもこれもテンプレかもしれないほど、ありふれた展開だ。


 胸糞でなくとも、主人公関係の何かが外部から来た商人・冒険者・貴族の目にとまって……なんてのもベタベタのベタ。


 しかも、主人公を手に入れようと外部の者が画策(かくさく)すれば、胸糞展開に転ぶ。 が、それもテンプレ。



テンプレ(これ)を回避するにはどうする……?」



~~~~~~



 迷路(なやみ)はまだ続く。


「冒険者ギルドがある世界にしたけど、アレを入れるのか?」


 アレとは、ギルドに加入しようと施設へ入った時に、ゴロツキから絡まれるテンプレである。


「そこらの戦闘員と比べても、主人公は強いんだって示すのにちょうど良いんだよなぁ。 でも、テンプレなんだよなぁ」


 彼は悩む。


 彼の言葉で分かるだろうが、かなり便利なのだ。


「でも、そんな絡んでくるヤベーのが居るギルドなんて、利用者がいなくなるよなぁ……」


 ゴロツキ冒険者が絡む原因を色々付けて言い訳にできれば、とても便利なので使いたくなる。


 …………少し前まで、テンプレを回避しようとしていたのは、何だったのだろうか?


 考えるのを止めたのだろうか?




「撃退方法……騒ぎの後始末。 うわぁ、考えることが一杯だぁ」

 テンプレを使いたがる理由を、自分はこんなんじゃねーかな?

 なんて予想してます。


 もちろん何も考えず“テンプレだから”と書く人も居るだろうし、考え抜いた末にテンプレへたどり着き、それが恥ずかしいからと何も考えず使う(そんな)連中のふりして使う人もいるでしょうし。


 商売っ気ばかり強くして、人気(なのか?)だからってランキングの上位を“参考に(コピー)”した作品が出まくって、それがテンプレ扱いになったり。

 それで要らん要素まで参考にするのは失笑ものだけど。

 例えば変な“て・に・を・は”だったり、変な位置でする脱字とか、ら抜き言葉とか、配慮されず“ぎなた読み”になった文章とか、カタコト級にまで圧縮された可哀想(かわいそう)な文章だとか。


 …………おっと、恨み言が漏れてしまった。 失礼。


 物語の展開なんて大体出尽くしていて、作者が考える()()()()()のシナリオをひねり出しても、それは既に飽きるほど使われるシナリオ(テンプレ)だったり。



 とにかく便利だったり、自然と行き着いちゃうんですよ。


 あの貨幣(かへい)を日本円に脳内変換しちゃうヤツも、正直要らないテンプレって気もしなくはない。

 でも読者……なにより作者の価格(価値)設定や経済感覚を、掴みやすくする意味では有っても良いと思いますし。



 序盤で主人公の能力とか立場とか性格とか、そんなのを見せる場面として。

 大きな物語の導入として、その物語の知識を読者へ植え付ける装置として。



 舞台装置としての、飲み屋併設冒険者ギルドとか、冒険者の酒場とかもそう。


 酔っぱらいのホラ話、又は町でホラ吹きと有名な男が「本当なんだよ! 信じてくれよ!?」とかって。

 冒険する目標となるキーワードを大声で()()()たてているのを、近くの卓で聞いたり。


 死にかけて、なんとか逃げ延びた冒険者の苦労話として、盗み聞いたり。


 そう言った話に冒険心が刺激されて「俺達でその話が本当か、確かめに行こうぜ!」と盛り上がる。


 そこから始まるワックワクのドッキドキな大冒険。 ファンタジー系TRPGでお約束の導入。


 ね、切っ掛けとして便利でしょ?


 便利であり、手間がない。


 既に使い古されている導入だから、説明する手間が最小で済む。


 みんなが使う。


 定番(テンプレート)になる。




 あ。 以前に書き出しで悩む話とか書いてますので、そっちに触れる部分は極力カットしてますが、被ってる部分もあるのはご容赦(ようしゃ)願います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンプレ回避の努力は必要ですよね! 難しいけど。 [気になる点] でも読者側からするとそこそこのテンプレ要素は安心感がありますよね? 全部てんこ盛りじゃ無ければテンプレも必要かと(どっかの…
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