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充電器

作者: 汐音

充電が切れてしまった

ため息しかでない。

朝食の準備 片付け

子供達を幼稚園に送り、掃除 洗濯をしながら

出勤準備

仕事と家事、子育てに追われてくたくたなのに

夫ケンイチはマイペース

今日も同僚との飲み会だって、ラインであっさり


充電がないと動かないのよ

私の充電器はどこ?


今日も夫への復讐を考えてる


料理に塩をたくさん?

そんなんじゃ足りない


電池が切れたロボットのように床に座り込んだまま、泣き崩れた。

こんなはすじゃなかった


ケンイチによく似た娘がこっちを見ているので、

早く寝なさいと大声で叱ったら、抱いていた人形を落として

泣きながら部屋へ戻っていった。


ケンイチとレイカとは、美術雑誌を出版する会社の同期。

入社後間もなくから、美人で出版社の役員である父がいるレイカは職場の男性職員の注目を集めていた。

ケンイチは見た目は平凡ながらも、W大芸術学部出身で、父は古美術を扱う老舗の画廊を経営しているいわゆるお坊っちゃまで、のんびりとした風貌から人気が高かった。

同期の飲み会があるうちに、付き合いだすには時間がかからなかった。

そして、次の年の6月に結婚。2人の子供も生まれた。


ケンイチは結婚当初からの、付き合いで遅くなる生活を

変えようとはしない。

人と争うことを好まないからけんかもしない。

悪気もないところが、さらにたちが悪い。


お酒でも飲まないとやってられないと、冷蔵庫を開けたら

奥の方に消費期限のきれた、調味料やスパイスがたくさん

入っている。


どれとどれを混ぜたら、殺せるかしら

片っ端から出しながら、レイカは笑いがとまらなくなった。

明日の朝食はアイツが好きなハンバーグと目玉焼きにしよう


レイカは毒々しい色のスパイスを混ぜながら

ケンイチの帰宅が久しぶりに待ち遠しいと思った。

そして、身体中にパワーが充電されているのを感じていた。






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