20.『ずっと友達で』(鷹翔
読む自己で。
BL……なのか? とにかく、注意。
「で、風邪引いたんだ」
僕はベッドに寝転ぶ中を見て溜め息をついた。
惚気けるわ、風邪を引くわ、忙しい人間である。
「美波さんは?」
「別に恋人になったからって毎日、寝泊まりするわけじゃないからな」
「ふぅん、そうなんだ? 僕はてっきり住み込んでいるのかと思っていたけど」
そういえば彼女ができたことでもう募集はしていないのだろうか?
中が望むなら家に住んであげても――いや、住みたいんだけどこっちが。
「中、家に住んでいい?」
「味噌汁しか提供されなくても文句を言わないならいいぞ」
「じゃあ住むね、客室の住人になるね」
だってなんだかんだ言っても距離を感じるし、近くにいたいんだ。
「喉乾いてない?」
「おう、だって鷹翔が飲料水買ってきてくれただろ?」
「そっか。じゃあラノベでも読んで時間をつぶすかなー」
適当に数冊を見繕って床に寝転がり読書開始。
とはいえ、基本的にどの作品もヒロインと主人公が恋愛して終わりだ。
舞台が異世界だとしても、戦いをしたとしても、恋をして結ばれて。
「あ、それメインヒロインが美波に似ているやつだな」
あー、これをそのまま可愛いと伝えて美波さんを照れさせた例のか。
碓かに似ているし可愛い。中が思わず言いたくなる気持ちも分かる、が。
「……中は主人公に似てないね」
「当たり前だろ、創作世界の主人公みたいに格好良くねえからな」
……そういうことが言いたいわけじゃなかったのに……。
「中はこの主人公みたいに優しくできるじゃん。誰も拒まないで接することができるから好かれてるじゃん。その点もいいと思うけど」
「ははっ、ありがとな鷹翔よ」
そうやって素直にお礼を言えたりするところもいいと思うけどなあ。
別にそういうのを求めて言ったわけではなかったが、……かなり嬉しかった。
「美波さんと仲良くね」
「ああ、初めてなんだからな」
初めてか……なんかずるいな。
「中、僕にもちょうだい」
「は?」
「初めて」
「んー、無理だろ、だって今更初めてのことなんてないだろ?」
……って、僕もなにを考えているんだか。
奪えるわけがないじゃないか。○○すれば初めてをもらえるとしてもだ。
「冗談だって! それより寝なよ」
「えぇ……鷹翔がよく分からないことを言ってきたからだろ?」
「はははっ、ごめん!」
初めてではないにしろ、僕は中と友達でいられるだけで十分だ。
これからも友達ではいさせてもらおうじゃないか。
多分、鷹翔はバイなんだと思うんだけどね。




