天使、試験を受ける2
ぶんっ!
「なんでっ!?」
試験官の女の人に「剣とか使うんですか?」と聞こうとした瞬間、試験官の人が完全に顔を狙ってグーパンしてきた。
(なんで「始めっ!」みたいな合図も無しに始めるの!?自分だって可愛いんだから人の顔に恨みなんてないでしょ!?)
心の中で抗議しつつ試験官の次の攻撃に備えるためとりあえず構える。
だが次の攻撃は放たれなかった、試験官の人は「うそ……?」と小さい声を出して棒立ちしている。
すると今度は笑い始めた
「く、くくく……」
き、きもいっ!情緒が不安定な人、何するか分からなくてきもいっ!
ユニがドン引きしていると試験官の女性はお手伝いをしてる受付嬢の人に預けていた槍を受け取り、殺気を向けてくる。
「アンタは合格だ」
「え?もう終わりですか?」
ならなんで槍を受け取ったの、というかこの殺気は?と首を傾げる
「冒険者としては合格…今からやんのは『ランク査定』だよ、得物があるなら持ってきな」
「なるほど……?」
わからん
何故合格したのかよくわからないけどそういうことなのだろう、とにかく今からランクを決めるらしいのでアイテムボックスから『聖剣』を取り出す。
どうせなら上の方のランクを取りたいので全力だ、ランクが低いと受注出来ない依頼があるかもしれない。
「アイテムボックス持ちかい……ならまぁBランクくらいだろうね」
「査定前からランクを決めていいんですか?」
腕ではなくアイテムボックスのみでランクを付けられちょっとムッとしてしまう。
「ふふっ、いや私が悪いな、すまない。勿論ちゃんと腕は見るしそれ次第ではもっと下にもするがな、それと」
「それと?」
「私を倒せばAランク以上だぜ!」
試験官はそう言い放つと同時に私の顔に鋭い突きを放ってくる。
素直に謝罪してくれるし笑顔も可愛いしで「あら、いい人そう…」って思ってたのにまた不意打ちみたいなタイミングで顔を狙ってきたよこの人!
身体を捻り頭を傾けることでそれを躱し、反撃に出る。
反撃は先日ギルドで絡まれた時に使用した抜刀術である。
試験官の手首と足首の計4箇所を『ほぼ同時に』切る、城にいた頃一番練習した技だ。
ガガガガンッ!!
……何が起きた?
ユニはパチンと剣を収めると同時に後ろに跳び距離を取る、得物の長さが違うため愚策に思えるがその行動は正解であった。
ヒュンッ!
先程までユニの顎があった場所を石突きが通る、あれに当たっていたら今頃『ブラウザバック』のお世話になっていたでだろう。
そして城にいた頃から防がれてはいたが、初見であれを防がれたのも完璧に近い形でカウンター技を決められそうになったのも初めてだった。
貴重な経験とそれでもまだ立っていられている自分の運の良さに笑いそうになりつつも思考を止めない。
そう、ユニは自分に決定打が無いことを察していた。
剣術は一番自信のあるものが通用しなかったし魔法も人並みには使えるがそれが通用するとは思えない。
手持ちの中で一番通用する可能性の高い魔法は雷系上位魔法の『雷閃』であるが、これは使ったあとは動けない時間が出来るし確実にそれを当てられる自信も無い。この試験官が上位魔法の弱点を知らなければどうとでもなりそうだがそれは望み薄だろう。
(どうしようか、魔法が隙無しで発動出来ればいいんだけど……うん?あっ)
思い付いた作戦は正直できるかどうか試したことが無いためわからない、わからないがこの手しかない。
そうと決めたユニはすぐに魔力を練り作戦を開始した。
思ってたより長くなったので3まで続きます。
試験3は今晩にでも更新する予定です!
もしも面白かった、続きが読みたいと感じて頂けたらモチベーションのために評価&ブックマークよろしくお願いしますー!